老犬になるにつれて出来なくなる『6つのこと』 いつまでも元気でいてもらうために意識すべきポイント

老犬になるにつれて出来なくなる『6つのこと』 いつまでも元気でいてもらうために意識すべきポイント

過ぎゆく年月は、愛犬の心身にさまざまな変化をもたらします。愛犬は飼い主よりも速いスピードで年を取っていき、出来なくなることが増えてくるのです。そのような中で、愛犬にいつまでも元気でいてもらうために、飼い主に出来ることもあります。この記事では、老犬になるにつれて出来なくなることと、愛犬にいつまでも元気にいてもらうために意識すべきポイントについてご紹介します。

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記事の監修

大阪府立大学生命環境科学部獣医学科卒業。その後、約10年に渡り臨床獣医師として動物病院に勤務。予防医療、行動学、老犬の介護問題に興味を持っています。正しい知識と情報を多くの方に伝えたいという思いからWEBライターとして動物関係の記事を執筆しています。

老犬になるにつれて出来なくなることは?

眠る老犬のゴールデンレトリーバー

人間がそうであるように、犬も年を取ると出来なくなることが少しずつ増えてきますが、具体的にどのようなことが出来なくなるのでしょうか?以下から、老犬になるにつれて出来なくなることをご紹介します。

1.若い頃と同じ距離やコースの散歩

犬も加齢とともに筋肉や関節、体力が衰えてきます。そのため、若い頃と同じ距離やコースの散歩が出来なくなってきます。老犬が散歩に行きたがらなかったり、行ってもすぐに帰りたがったりするのはよくあることです。

飼い主はこのことを理解し、愛犬の健康状態や老化度に見合った散歩をするようにしましょう。

2.素早い反応

若い頃は飼い主の呼びかけや指示に素早く反応していた愛犬も、年を取ると反応が鈍くなります。その主な原因は、老化に伴う聴力や認知機能の低下です。

また筋肉や関節の衰えによって、行動がゆっくりになることもあります。例えば、座っているときに呼ばれても、さっと立ち上がれなくなります。

3.長時間起きていること

老犬になると体力の低下によって疲れやすくなるため、長時間起きて活動することが出来なくなってきます。老犬は疲労の回復にも時間がかかるため、成犬の平均睡眠時間は12〜15時間ですが、老犬は18〜19時間です。

健康に特に問題はないのに日中も寝ていることが多くなってきたら、老犬の仲間入りをしたと考えていいでしょう。

4.体をブルブル振ること

シャンプーや雨で体が濡れたときに、若い犬は体をブルブル振って水滴を飛ばします。しかし老犬になると、このブルブルが出来なくなります。

若い犬はごく自然に体をブルブル振りますが、実はある程度の体力や体のバランス感覚がなくては出来ない動作です。そのため加齢とともにブルブルが出来なくなったり、ブルブルすると転倒してしまったりすることがあります。

5.トイレでの排尿

これまできちんと出来ていたトイレでの排尿が、老化に伴って出来なくなってくる傾向があります。老犬になるにつれ、トイレ以外の場所での排尿が増えてくることがあるのです。

その原因の一つとして、足腰の衰えによってトイレの場所に行くまでに時間がかかり、途中で漏らしてしまうことが挙げられます。また、膀胱の筋肉の衰えや膀胱炎などの病気による頻尿、そして認知症もトイレ以外での排尿の原因になります。

そのため粗相は叱らずに原因を探り、病気が原因であるようなら動物病院を受診することが重要です。老化による足腰の衰えや頻尿が原因である場合は、トイレを行きやすい場所に変えたり、数カ所に増やしたりするなどの工夫をしましょう。

6.段差の上り下り

老犬になるにつれて筋力が低下してくると、段差の上り下りが難しくなってきます。ソファに上がろうとしてジャンプしたものの、落下してしまうこともあります。

高い場所への上り下りは、足腰に負担をかけたり骨折の原因になったりするため、ソファにはスロープを設置しましょう。

また、若い頃はスイスイ上っていた散歩コースの階段を躊躇するようになることもあります。その場合は無理をせず、平坦な道を歩かせるようにしましょう。

愛犬にいつまでも元気でいてもらうために意識すべきポイントは?

散歩中のMダックスフンド

寄る年波には勝てないと分かっていても、多くの飼い主は愛犬にいつまでも元気でいてもらいたいと願うことでしょう。ではその願いを叶えるために、飼い主はどのようなことを意識したらいいのでしょうか?

1.筋力アップ

犬の健康と元気な生活を維持するためには、筋力アップが欠かせません。筋力が衰えると関節に負担がかかり、歩行に支障が出ます。そうなってしまうと元気に動き回ることが出来なくなり、老化を早めることに。

この負の連鎖に陥らないために、若いうちから筋肉を鍛えておくことが大事です。日々の散歩は筋力維持に役立ちますが、意識して上り坂を歩くようにすると、衰えやすい後ろ足の筋肉を鍛えることが出来ます。

老犬になっても元気に歩けるうちは、散歩コースに上り坂を取り入れるようにしましょう。

2.脳に刺激を与える

脳に刺激を与えることは、認知症予防になります。愛犬が認知症にならないように、日頃から脳に刺激を与えることを意識しましょう。

散歩は毎日同じコースではなく、たまに違うコースを歩くと、犬の脳にいい刺激を与えることが出来ます。もし歩くことが難しくなった場合は、抱っこやカートで外へ連れ出すのがおすすめです。外のさまざまなにおいや音が、脳への刺激となります。

また、遊びで脳に刺激を与えることも出来ます。においを嗅ぐことは犬の脳にとっていい刺激となるため、おやつ探しゲームや市販のノーズワークトイで遊ぶといいでしょう。

おやつ探しゲームとは、部屋のどこかにおやつを隠して犬に探させる遊びです。おやつを見つけられたら、しっかり褒めてあげましょう。

3.適切な食事

犬の元気な体を作るのは適切な食事です。犬に必要なタンパク質、脂肪、炭水化物、ビタミン、ミネラルといった栄養素をバランスよく摂取させましょう。

ただし、必要な栄養素の割合はライフステージによって異なります。そのため、ドッグフードは犬の年齢に合ったものを与えることが大切です。また食べ過ぎは肥満を招くので、食事やおやつは適量を守りましょう。

人間用に調理された食事は、犬には塩分や糖分、脂肪分が高いため、与えてはいけません。

4.適度な運動

犬がいつまでも元気でいるためには、適度な運動が不可欠です。適度な運動は、万病の元である肥満を予防し、筋肉や関節の健康維持にも役立ちます。毎日の散歩や遊びを通じて、しっかり体を動かしましょう。

老犬になったからといって散歩をやめてしまうと、筋肉の衰えや脳の刺激不足などによって老化が進んでしまいます。獣医師から止められていないのであれば、散歩はできる限り続けるべきです。

とはいえ、年齢とともに体力が低下するため、犬の様子を見ながら散歩の距離やコース、回数を調整する必要があります。

5.定期的な健康診断

定期的な健康診断は、犬の健康を維持する上で非常に重要です。たとえ犬が病気になったとしても定期的に健康診断を受けていれば、早期発見、早期治療ができる可能性が高くなります。それは結果的に、犬が元気でいられる期間を延ばすことになるでしょう。

成犬期(小型犬:7歳まで、中型犬:6歳まで、大型犬:4歳までが目安)は年に1回、シニア期前半(小型犬:8歳以上、中型犬:7歳以上、大型犬:5歳以上が目安)は半年に1回、シニア期後半は(小型犬:12歳以上、中型犬:10歳以上、大型犬8歳以上が目安)は4カ月に1回のペースで健康診断を受けるのが理想的です。

まとめ

老犬のビーグル

子犬だった愛犬もいずれ老犬となります。老犬になるとさまざまな変化が見られ、次のようなことが出来なくなってきます。

  • 若い頃と同じ距離やコースの散歩
  • 素早い反応
  • 長時間起きていること
  • 体をブルブル振ること
  • トイレでの排泄
  • 段差の上り下り

老犬になるにつれてこうしたことが出来なくなるということを理解した上で、愛犬にいつまでも元気にいてもらうために

  • 筋力アップ
  • 脳に刺激を与える
  • 適切な食事
  • 適度な運動
  • 定期的な健康診断

といったことを若いうちから意識していくことが大切です。愛犬のこれからの犬生で今日が一番若いです。ぜひ今日から、これらのポイントを意識していきましょう。

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