犬に「ダメ対応」を続けるとどうなる?
飼い主さんが犬にとる対応は、犬の性格や飼育のしやすさを左右するとても重要なものです。1回、2回ダメ対応をしてしまったからといってすぐに愛犬に影響が出るものではありませんが、何度も続けてしまうと犬の問題行動へと繋がりかねません。
威嚇する、吠える、噛むなど、人間主体の社会生活を営むには困りごととなってしまいます。犬の本能からくる行動も多いので、一概に犬が悪いわけではありませんが、飼い主さんが対応に困ってしまう場合には改善が必要でしょう。
犬にやってはいけない「ダメ対応」とは?
では、犬にやってはいけない「ダメ対応」について、具体的に解説していきましょう。「ついやってたかも」という方もおられるのではないでしょうか。
1.名前を呼んで叱る
愛犬がいたずらなどをしたときに「○○ちゃん!ダメ!」と、名前を呼んで叱る飼い主さんもいると思いますが、これはダメ対応です。
なぜなら、叱られるたびに名前を呼ばれると「自分の名前=叱られる」と誤学習してしまうからです。
愛犬の名前は叱るなどネガティブなときではなく、褒めるなどポジティブなときに使います。愛犬を叱るときは「コラ!」「ダメ!」など、短い言葉&名前を呼ばないように統一しましょう。
2.ルールや指示がその時々によって違う
飼い主さんと愛犬の間にルールが設けられていることは多いと思います。例えば、「キッチンに入ってはダメ」「服や家具を噛んではいけない」など、ともに暮らしていくのに必要なルールはもちろんあるでしょう。
しかし、そのルールや指示がその日その時によって違う、ということはNGです。昨日はよくて今日はダメ、という状況が続くと犬は混乱します。しつけにも悪影響ですし、何より飼い主としての信頼が損なわれます。
なお、人によって指示が違うこともダメ対応ですので、家庭内で愛犬に対するルールや指示、叱り方を統一するよう心がけましょう。
3.要求吠えにすぐに応える
おやつがほしいときやケージから出してほしいとき、愛犬が「要求吠え」をすることはないでしょうか。
犬は「自分の希望を叶えてほしい」というストレートな要求を「吠える」という行動で示すことがあります。
愛犬の要求にはつい応えてあげたくなりますが、これもダメ対応のひとつです。その対応のせいで、犬は吠えると要求が通ることを学習し、自分の要求が叶えられるまで吠え続けるなどエスカレートしてしまいます。
「まて」「おすわり」などのコマンドを出して落ち着かせてから要求に応える、もしくは吠えるのをやめてから対応するようにしましょう。
4.事後に叱る
愛犬に留守番をさせて帰宅したら、部屋が滅茶苦茶になっていた…という経験はありませんか?
しかし、決してそれを発見したこのタイミングで叱ってはいけません。犬の方は、すでに過去になっている留守番中にいたずらをしたことなど、その時点ではすっかり忘れています。そのため、犬としては「なんで怒ってるの?」という思いを抱いてしまいます。
犬のしつけでは、「悪いことをしたら、そのタイミングで叱る」「良いことをしたら、そのタイミングで褒める」というように、その場その時の対応が鉄則です。
5.ネガティブな言葉を発する
愛犬が悪いことをしたときや、飼い主さんの気分が沈んでいるときなどネガティブな言葉を発していませんか?
「何回言ったらわかるの?」「向こうに行って」などつい無意識に出てしまう言葉にも十分に気を付けてください。犬はその言葉が本心かどうか理解できません。
もちろん犬は、人間の言葉を完全に理解することは不可能です。しかし、飼い主さんの表情や声のトーンから、自分に対してネガティブな言葉を発していることは察します。なんとなくで意味を理解するのです。
そのため、愛犬に対して、言葉がわからないだろうとたかをくくっていじわるな発言はしないようにしましょう。あなたと愛犬との信頼関係が壊れてしまうかもしれません。
まとめ
犬と暮らしくいくなかで、名前を呼んで叱ってしまったり、ついつい要求吠えに応えてしまったりすることもあるかもしれません。
しかし、かえってその対応が犬との関係を悪い方向に向けてしまっている可能性があります。せっかく築いているはずの信頼関係も、知らない間に壊れてしまうかもしれません。
とはいえ、諦める必要はありません。まずは愛犬に対して正しい対応をしていくことで、飼い主さんのことを少しずつでも信頼してくれますし、しつけもしやすくなるでしょう。
この記事でご紹介した「ダメ対応」に心当たりがある場合は、意識的に改善してほしいと思います。少しずつ、でも着実に、愛犬との関係がさらに良好なものになっていくはずです。