犬がマダニに刺されたときの症状
犬はマダニに刺されたとき、様々な症状が見られます。症状について理解し、日頃のボディチェックや健康管理に役立ててください。
1.発赤・腫れ
マダニは、口器というくちばし状の部位を寄生した動物の皮膚に突き刺します。そして、吸血する間抜けてしまわないように、セメントのような物質を出して固定します。
そうしてマダニに刺された部分は、赤くなったり腫れてしまったりします。また、しこりのように一時的に皮膚が固くなってしまうこともあります。
2.皮膚炎・かゆみ
マダニは犬の皮膚に口器を突き刺すだけでなく、セメントのような物質を出します。それらの成分やマダニの唾液によって、犬がアレルギー症状を引き起こすこともあるのです。
唾液がアレルゲンとなってアレルギー性皮膚炎を引き起こすと、炎症を起こして強いかゆみが出るため、犬は皮膚をかきむしってしまいます。
爪で皮膚を掻いてしまうと、皮膚が傷ついて出血したり、雑菌が入ってただれたりしてしまうこともあります。発症したものを放置しておくと、症状がどんどん悪化していってしまうので早めの処置をしましょう。
3.貧血
マダニは満腹になるまで吸血するため、目に見えるまで体が大きく膨らみます。長期間寄生されたり、複数のマダニがついてしまうと、吸血量が多くなってしまいます。
そのため、マダニが多くついてしまうと貧血症状を引き起こすこともあります。
犬がマダニに刺されたら発症する疾患
犬がマダニに刺された時の症状は上記の通りですが、それらの症状は以下のような疾患の発症を浮き彫りにしているものかもしれません。
飼い主として、愛犬がマダニに刺されたらどのような病気になってしまうのか、知っておくことをおすすめします。
ダニ麻痺症
犬のダニ麻痺症は、成長したメスのダニが吸血する際に分泌する唾液によって、犬の体の筋肉が麻痺を起こしてしまう状態の疾患です。
元々ダニの唾液には刺された痛みを感じさせないための麻酔のような成分が入っていますが、特定の種類のダニはより強力な神経毒を含む唾液を分泌するのです。
筋肉を動かす末梢運動神経や脳神経(迷走・顔面・三叉)、交感神経が影響を受けることがあり、ふらつきや後肢の脱力、顔面筋の弛緩、嚥下障害、呼吸困難などを発症します。
感染症
マダニは様々なウイルスや原虫を保有していて、感染症を媒介することも少なくありません。
マダニが媒介する感染症で特に多いのが「バベシア症」だといわれています。これは、マダニの体内から移った原虫が犬の赤血球を破壊してしまうもので、元気の消失や食欲不振、発熱、黄疸などの症状があらわれます。重度の貧血を起こして、最悪の場合死に至ることもある恐ろしい疾患です。
そのほかにも、以下のような感染症を媒介することがあります。
- 日本紅斑熱
- ライム病
- Q熱
- エールリヒア症
- SFST(重症熱性血小板減少症)
基本的にマダニが寄生してから48時間経過すると、感染率が上がるため、寄生していることに気がついたら早めに対処することが大切です。
犬にマダニがついたときの対処法
犬の体にマダニがついていたり、吸血していたりすることに気がつくとびっくりしてしまうと思います。しかし、そこで焦ってマダニを引っ張って取ろうとするのはやめましょう。
前述した通り、マダニは犬の皮膚に刺した口器が抜けないように特殊な物質を分泌しています。そのため、無理に引き抜こうとすると、皮膚が傷ついて感染症を起こしたり、マダニの頭部だけが残って皮膚が化膿したりすることがあります。
マダニがついていることがわかったら、できるだけ早く動物病院に連れていき、除去してもらうようにしましよう。状態によって、患部の炎症を防ぐための消炎剤や抗生物質が処方されることもあります。
マダニを取った後頭部が皮膚内に残ってしまったら放置はせず、残りは獣医師に除去してもらってください。感染を防ぐためにも駆除剤投与までをしっかり動物病院でおこなってもらい、傷口を丁寧に処置することが大切です。
まとめ
マダニは山だけでなく、都市部の公園やちょっとした草むらにも数多くいます。日本で暮らしていれば、ほぼどの地域でもマダニが寄生する可能性があると考えましょう。
そのため、マダニによって引き起こされる症状やトラブル、適切な駆除方法を知り、毎日のボディチェックや健康管理に役立ててください。
また、楽しく安心して外遊びができるように、定期的な予防対策も大切です。