犬が見せる老化サインは?
犬が歳を重ねると、白い毛が増える、目が白っぽくなる、鼻や肉球がカサカサになるといった外見の変化だけでなく、仕草や行動にも変化が見られます。以下では、仕草や行動に表れる犬の老化サインをご紹介します。
1.寝ている時間が増える
よく見られる犬の老化サインの一つとして、睡眠時間の増加が挙げられます。犬は老化に伴い体力が低下し、疲れやすくなるため寝て過ごすことが増えてきます。
また筋肉の衰えや関節の痛みといった身体的な問題によって、犬が動くのを避けるようになることも、寝ている時間が増える要因の一つです。
愛犬が多くの時間を寝て過ごすようになった場合、単なる老化のサインとして受け止めるだけでなく、健康状態に問題がないか一度獣医師に相談することをお勧めします。
2.よく物にぶつかったり、段差でつまずいたりする
老化とともに物にぶつかったり、段差でつまずいたりすることが増えることがよくあります。その主な原因は、視力と筋力の低下です。
視力が低下すると視界がぼやけ、物の位置や段差の高さなどを正確に把握することが難しくなります。また足腰の筋力が低下すると、動きが不安定になったり、緩慢になったりします。こうしたことが起因して、物にぶつかる、段差でつまずくといったことが増えるのです。
3.ソファなどに上がらなくなる
犬の老化が進むにつれ、日常の動作で苦労することが増えてきます。ソファやベッドなどの高い場所への上り下りが難しくなることは、その典型的な例です。これには筋力の低下や関節の痛みなどが関与しています。
歳を取ると筋肉の量や質が低下し、若い頃のような動きができなくなってきます。特に後ろ足の筋力が低下すると、高い場所へのジャンプが困難になることが多いです。
また犬は加齢とともに関節痛を起こしやすく、その痛みが増すのが嫌で高い場所への移動をしなくなる傾向があります。
4.反応が鈍くなる
犬が見せる老化サインの中でも、飼い主が気づきやすいのが反応の鈍化です。
例えば、飼い主の呼びかけになかなか反応しない、オスワリの指示を何回か繰り返さないと従わない、お気に入りのおもちゃを見せても以前のように喜ばないなど、日常の中で愛犬の反応が鈍くなっていることを実感することが増えてきます。
反応の鈍化は、老化に伴う聴力や視力、認知機能の低下が主な原因です。聴力が低下すると、犬は飼い主の声や周囲の音を正確に聞き取ることが難しくなり、視力が低下すると、物体を認識する速さや正確さに影響が出るため、犬の反応が遅れることがあります。
さらに、認知機能の低下により犬の思考や判断が遅くなることも、反応が鈍くなる一因となります。
5.トイレの失敗が増える
犬の老化のサインとして、おしっこの失敗の増加も挙げられます。年齢を重ねた犬は、おしっこの失敗が増える傾向があるのです。これには複数の要因が関係しています。
まず老化に伴って犬の膀胱の筋肉が衰えることで、おしっこを長く溜めておくことが難しくなり、頻尿になることが一因です。また腎臓病や膀胱炎など、年齢とともに罹患リスクが増える病気の影響でおしっこの回数が増えることも、失敗が増える原因になります。
さらに、足腰の衰えによってトイレの場所に辿り着くまでに時間がかかり、途中でおしっこを漏らしてしまうこともあります。
愛犬に老犬サインが見られたら?
愛犬が歳を重ねる中で、上記のような老化サインを見せ始めたら、それはシニア犬としての生活が始まったことを意味します。
この新しいライフステージに飼い主が適切に対応することは、愛犬が安全で快適に過ごすために不可欠です。具体的にどのような対応をしたらよいのでしょうか?
1.安全な環境づくりをする
シニア犬になると足腰や感覚器官の衰えから、物にぶつかったり段差につまずいたりして、家の中でケガをするリスクが高まります。そのため愛犬の老化サインに気づいたら、安全な環境を作ることが非常に重要です。
まず、滑りやすい床にはコルクマットや毛足の短いカーペットを敷いたり、滑りにくくなるワックスを塗るなど、足腰への負担や転倒リスクを軽減することが大切です。
また、シニア犬は家具と家具の間や家具と壁の間など、隙間に入り込むと出られなくなってしまうことがあります。
入り込んだ隙間から抜け出そうとしてもがくとケガをする恐れがあるため、愛犬が入り込んでしまいそうなスペースには物を置くなどして、隙間を埋めるようにしましょう。
そして視力が低下すると物にぶつかりやすくなるため、壁や家具の角にはクッション性のあるコーナーガードをつけましょう。そうすることでぶつかった際の衝撃が和らぎ、ケガの予防になります。
さらに、家の中の愛犬の行動範囲に段差がある場合は、そこでつまずいてケガをしないように、スロープや広めのステップなどを置いて段差をなくしましょう。
2.低反発ベッドや高反発ベッドの使用を検討する
睡眠時間が多くなるシニア犬にとって、寝床が快適であることは大事です。そこで、低反発ベッドや高反発ベッドの使用を検討することをお勧めします。これらのベッドは体圧を分散させるため、愛犬の足腰や関節の負担を軽減します。
ただし低反発ベッドは体が沈み込み、高反発ベッドはあまり体が沈み込みません。そのため低反発ベッドは柔らかい寝心地ですが寝返りが打ちにくく、高反発ベッドは硬めの寝心地になりますが寝返りが打ちやすいです。
どちらを選ぶのかは、愛犬の健康状態や好みを考慮して決めるといいでしょう。
3.トイレを行きやすい場所を変える、増設する
シニア犬になっておしっこの失敗が増えると、愛犬自身にとっても飼い主にとってもストレスになるでしょう。おしっこの失敗を減らすためには、トイレを行きやすい場所に変えたり増設したりすることが有効です。
例えば、もし寝床で過ごすことが多いのなら、その近くにトイレを移動してあげると愛犬がトイレに行きやすくなります。
トイレの場所の変更や増設をしたとしても、おしっこの失敗があるかもしれません。その際は決して愛犬を叱らずに、速やかに掃除しましょう。
4.散歩は続ける
愛犬が老化サインを見せるようになっても、散歩は続けるべきです。「もう年だから」と散歩をやめてしまうと、脳の刺激不足や筋力の衰えを招き老化が進みやすくなります。獣医師から禁止されていないのであれば散歩に連れて行きましょう。
とはいえ加齢とともに体力は低下するため、無理のない距離やコース、回数にする必要があります。愛犬の様子を見ながら距離などを調整しましょう。
もし愛犬の歩行が困難になってきたら、抱っこやカートで散歩するのがお勧めです。それだけでも気分転換や脳への刺激になります。
まとめ
犬は老化が始まると、さまざまなサインを見せます。その老化のサインは外見の変化だけでなく、よく物にぶつかる、反応が鈍くなるなどの仕草や行動の変化としても現れます。
飼い主はそれらのサインに早めに気づき、適切に対応することが大切です。ぜひ本記事を参考に、愛犬が安全で快適なシニア期を過ごせるようサポートしてあげてくださいね。