犬に醤油が危険な理由
醤油の主原料は大豆ですが、これに塩を加えて麹菌で発酵させてから絞って作ります。大豆のアレルギーがある犬もいると思われますが、それより犬の身体にダメージを与えるものが「塩」です。
醤油は舐めてみるとしょっぱいですよね。これは単純に塩分が多く含まれているからです。メーカーや製品によりますが醤油の塩分濃度は15%程度で、海水の塩分濃度(3~4%)のおよそ4~5倍にもなるのです。
つまり、醤油をそれなりの量で摂取するということは、塩分もそれなりの量を摂取しているという事になります。
人間でも塩分の過剰摂取は高血圧や腎臓病、尿路結石などの病気を招く恐れがあり、一度に大量に摂取してしまうと死に至ることもあるため注意が必要です。人間の場合は体重60kgの人が塩を一度に30~60g摂取すると塩中毒になるとも言われています。
塩を30gと言われるとそんなに食べないと思われがちですが、塩は水に溶けやすいため液体になると簡単に摂取できてしまう危険があるのです。例えば海水は1ℓに 30~40gの塩を含んでいますが、醤油の塩分濃度はその5倍ほどなので、200mlに塩が30g入っているという事になります。
犬の場合は人間よりはるかに体重が少なく、小型犬で5kg未満の子の場合は、2.5g程度の塩分を摂取すると塩中毒を起こす可能性が高くなります。これは、大体大さじ1杯分の醤油に含まれる塩分量と等しく、3kgほどの小さい子であればもっと少ない量で中毒を起こしてしまうのです。
食欲増進のために利用する場合、可能な限り醤油は薄めて使いましょう。
犬が醤油を摂取した場合のリスク
では、犬に醤油を与えてしまったり、犬が自分でうっかり舐めてしまった場合、どのようなリスクが考えられるのでしょうか。
1.心臓への負担が大きくなる
醤油に含まれる塩分をたくさん摂取すると、血液中のナトリウムイオン濃度が急激に上昇し、血管内に水分を貯めこもうとします。その結果、血液量が増加し、心臓のポンプ機能に大きな負荷がかかってしまいます。
また、とても喉が渇き水を多く飲んでしまうため、浮腫みの原因にもなります。この水分がまた血管に取り込まれてしまうと血圧も急上昇します。
2.腎臓への負担が大きくなる
血液量が増えると血圧が上昇し、塩分の排出を行う腎臓のろ過機能に大きな負担がかかります。
また人と異なり、全身に汗腺がないため、そこから塩分の排出もできないため腎臓の負荷が大きくなる傾向があります。
3.骨粗しょう症のリスクが高くなる
醤油の塩分にはナトリウムが多く含まれています。余分な塩分は血中のナトリウム濃度が高くなると体外へ排出されますが、同時にカルシウムもまた排出されます。
すなわち、塩分の過剰摂取がカルシウム排出に結びついてしまうため、骨がもろくなってしまい、結果的に骨粗しょう症を引き起こすリスクがあるのです。
4.尿路結石になる
前章で醤油の塩分の過剰摂取でカルシウムが溶け出す説明をしましたが、骨からカルシウムが溶け出すことで、尿路結石のリスクも高まります。
尿路にカルシウムが主成分の石ができると、尿が出にくくなったり激しい痛みを伴ったりしますし、尿路が傷つき細菌感染を引き起こす可能性もあります。
犬が醤油を舐めてしまった場合の対処法
前述の通り、犬が醤油を摂取することには様々なリスクがありますが、万が一愛犬が舐めてしまったり飲んでしまった場合、飼い主としてどうしたらよいのでしょうか。
愛犬が口に入れた量が少量であれば、一旦様子を見る方法もあります。しかし、どのくらい舐めたのか、本当に飲んだかよくわからない場合は迷わず動物病院へ連絡をしましょう。
大型犬であれば体重もあるため、多少舐めてもなんともないことが多いのですが、小型犬の場合はわずかな量でも致死量に達してしまうことがあるため、注意が必要です。嘔吐、下痢、ぐったりしているなどの症状が見られたらすぐに受診してください。
まとめ
今回は、犬が醤油を摂取した場合の危険性についてまとめました。
小型犬の場合は少量でも危険な場合があることを考え、醤油をはじめとする調味料は犬がイタズラできない場所にきちんと片づけておきましょう。
ただし塩分は、大量に摂取すると危険なものですが、生き物が命をつなぐうえでは欠かすことができない成分でもあります。全く塩分を摂取できないと、低ナトリウム血症という死の危険がある病気を発症することもあります。
人間同様、犬にも塩分は控えめではあるべきですが、生きていく上で必要最低限は上手に摂取できるよう、食事内容などを考えてあげてくださいね。