愛犬の体にしこりを発見したときに考えられる病気4選 焦るべきときと大丈夫なときの見分け方

愛犬の体にしこりを発見したときに考えられる病気4選 焦るべきときと大丈夫なときの見分け方

愛犬の体を触っていたら、しこりやいぼに気がついて心配になっている飼い主さんもいるかもしれません。この記事では、犬の体にしこりができる病気について解説するので、ぜひ知っておいてください。

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記事の監修

大阪府立大学生命環境科学部獣医学科卒業。その後、約10年に渡り臨床獣医師として動物病院に勤務。予防医療、行動学、老犬の介護問題に興味を持っています。正しい知識と情報を多くの方に伝えたいという思いからWEBライターとして動物関係の記事を執筆しています。

1.皮膚腫瘍

寝ている柴犬

体にできるしこりでわかりやすいものは表皮にできる腫瘍である「皮膚腫瘍」です。皮膚がぽこっと盛り上がるようになっていて、見た目だけでも気がつきやすいと言われています。

皮膚がぷっくりと膨れているようなしこりですが、触り心地はぷにぷにしていて柔らかいものから芯があるようにやや硬く動きにくいものまで様々です。

皮膚腫瘍には良性のものと悪性のものがあるので、皮膚にしこりを見つけたからといって慌てすぎる必要はありません。

カリフラワー状のイボができる乳頭腫は、老犬に多く見られますが、ウイルスによるものは若い犬でも発症することがあります。ただし、ウイルスに起因する乳頭腫は数か月で消失する場合がほとんどです。

そのほかにも、皮脂腺過形成/上皮腫や皮内角化上皮腫なども、基本的に良性の腫瘍とされています。

悪性の皮膚腫瘍には、肥満細胞腫や扁平上皮癌、悪性黒色腫(メラノーマ)、線維肉腫などがあります。良性腫瘍との見分けは、しっかりと検査をしなければわからないため、いずれにしても皮膚に気になるしこりがあれば、獣医を受診しましょう。

2.腺腫、腺癌

体をチェックされている犬

腺腫・腺癌は、全身のあちこちにある腺細胞の腫瘍です。良性のものを「腺腫(せんしゅ)」、悪性のものを「腺癌(せんがん)」と呼びます。

腺細胞とは、消化を助ける成分や体の働きを維持するためのホルモン、目や耳・鼻などから出る分泌液、生殖に関する分泌液などを分泌するものです。これらが集まって、鼻腔内や耳、胃
腸、乳腺、子宮、前立腺、肛門、甲状腺などを構成しています。

腺癌の場合、全身状態にも悪影響があらわれますが、できた場所によって症状が異なります。

3.脂肪腫

腕を気にするビーグル

「脂肪腫」は、皮膚の下で脂肪が増殖してできるかたまりです。ある程度大きくなると皮膚表面から触っても膨らみがわかるため、悪性腫瘍などと勘違いする人も少なくありません。

しかし、脂肪腫は良性の腫瘍で高齢犬に比較的よく見られるものなので、あまり心配しなくていいでしょう。特に胸部や腹部、脇の下などにできやすいといわれていて、少しずつ大きくなりますが、基本的に体に悪影響を及ぼすことはないとされています。

ただし、脂肪腫に似ている「脂肪肉腫」は悪性腫瘍のため、できるだけ早い発見と適切な治療が必要です。こちらは急速に大きくなりやすく、転移をする可能性もあるので、切除手術をおこなう場合が多い疾患です。しかし、脂肪肉腫でも大きさがあまり変わらないことがあるので、病院で検査を受ける必要があります。

4.リンパ腫

診察台の上で不安そうな犬

血液の癌の一種であるリンパ腫の中でも、犬に最も多く見られるのが「多中心型リンパ腫」です。このタイプのリンパ腫は、下あごや脇の下、ひざ裏などにあるリンパ節が腫れてしこりになるので、触ることで気がつく可能性もある疾患です。

しこり部分が熱を持ったり、どんどん大きくなっていったり、複数のリンパ節にしこりができたり、というような症状が見られます。血液の癌の一種ですが、抗がん剤での治療が可能です。リンパ節にしこりがあった場合は、基本的に早期治療が望ましいので、すぐに動物病院を受診してください。

まとめ

検査されている犬

犬の体にしこりがあると、癌を想像する飼い主さんは少なくないでしょう。しかし、体にできる腫瘍には、命を脅かす悪性のものだけでなく、体調に影響を与えない良性のものもあるため、しっかりと診断を受けることが大切です。

しこりの大きさがあまり変わらないものや、皮膚表面に出ているいぼのような形のものは良性のものが多いと言われることもありますが、例外もあって必ずしもそうとは限りません。

犬の体にできたしこりが、治療が必要なものであるかどうかは、素人が判断できるものではないので、気になった場合はすぐに動物病院で検査を受けるようにしてください。

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