1.しつけのハンドサインを教える
しつけをしたり犬と関わったりするとき、声を使ってコミュニケーションをとる人は多いと思います。若いうちはそれで特に問題が起きないと思いますが、年齢を重ねて聴覚が衰えてくると上手くコミュニケーションがとれなくなってしまうことがあります。
犬の感覚器は、病気などを除いて老化現象では聴覚から衰えます。聴覚の機能低下は、ある日突然聞こえなくなるのではなく、少しずつ聞こえなくなってくるため、飼い主さんでもそれに気がつきにくいとされています。
そのため、声をかけても犬が反応しなかったり、指示を出したのに無視したりすることが増えて、犬も飼い主さんも困惑したり関係性が悪くなったりすることは少なくありません。このようなことを防いで、犬が安心して過ごせるように、声を使わないコミュニケーションの練習もしておいた方がいいでしょう。
犬の耳が聞こえているうちから呼びかけるときは犬の目の前に行ったり、「おすわり」「伏せ」「待て」などの指示を手の合図(ハンドサイン)で理解できるように教えたりすることをおすすめします。
2.ボディケアを毎日の習慣にする
歯磨きやブラッシング、耳掃除などのボディケアは、もちろん若いうちから必要なことですが、年齢を重ねるにつれ、さらにその重要度は増していきます。
若く健康なうちは被毛や皮膚、歯も丈夫で、ちょっとした刺激があってもトラブルは起こりにくいと思います。しかし、年を重ねて体が衰えてくると、乾燥や汚れ(雑菌)などに刺激されて皮膚が炎症を起こしたり、歯茎が下がってきて歯周病になったり歯が抜け落ちたりすることがあります。
愛犬の体のトラブルに早い段階で気付いて対応できるようにするためには、若い頃以上にこまめなボディチェックとケアが必要です。
口や耳、足の裏など細かい部分を触られることを嫌がる犬は多いので、いざというときにしっかりお手入れができるように、練習しておくべきでしょう。老犬になってから無理にボディケアをすると、大きなストレスになってしまうので、若いうちから少しずつ慣らしておくことをおすすめします。
3.洋服を着る練習をする
犬種や体格に関わらず、老犬になる前に洋服を着る練習をしておくといいでしょう。
若いうちは洋服を着る必要性がなくても、年齢を重ねると様々な病気やトラブルが起こりやすいので、体に包帯を巻いたりエリザベスカラーをつけたり、という機会も増えると思います。また、体の機能が衰えると、介護のために体にハーネスをつけて散歩をしたり、おむつをつけて生活をさせたりすることもあるでしょう。
体に何かをつけることに抵抗を感じる犬は、治療や介護に必要なものも受け入れられなかったり、強いストレスを感じたりすることがあります。老犬になると、ストレスも体に悪影響を及ぼすことがあるので、そのようなことがないように若いうちから洋服や靴などを身に着ける練習をしておくといいと思います。
4.高い場所へのジャンプをやめさせる
元気で活発な犬は、思い切り走り回ったりジャンプをしたりして遊ぶことも多いと思います。それは犬のストレス発散や体力づくりに役立つことですが、高い場所から飛び降りたり、ピョンピョン飛び跳ねたりするのは、できるだけやめさせた方がいいでしょう。
年齢を重ねると、足腰の関節が弱くなったり、筋力が低下したりして、体をしっかりと支えられなくなります。そうした体の変化に犬自身が気がついていないと、若いころと同じように動いて体を痛めてしまうことがあります。
飛び跳ねることが当然のことになっている犬に、「老犬になったからやめろ」というのはとてもむずかしいことです。そのような事情を言葉では理解できないため、老犬になる前に日常的にジャンプしたり大きな段差を利用したりすることをやめさせるようにしておくといいでしょう。
まとめ
若くて元気だと思っていた犬も、あっという間に年を取ってしまいます。そして、体と心に変化が起こる老化現象は、いつの間にか少しずつ起こっているものです。
老化現象がみられるようになった愛犬が、ストレスなく快適に過ごせるように、老犬になる前から少しずつ生活習慣や関わり方を変えていくようにしましょう。