犬に「ノギ」が超危険な理由
『ノギ』というと聞きなれない方もいらっしゃるかもしれません。ノギは、イネ科植物の穂の先端にある鋭いトゲ状の突起のことをいいます。初夏から秋にかけてさまざまなところに生えるとても身近な植物です。
ノギのあるイネ科植物は人間にとっては、「服にくっついて面倒」ぐらいな程度のものですが、犬にとってはとても危険なのです。
そこで今回は、犬にとって「ノギ」が超危険な理由について確認していきましょう。
1.踏んでケガをしてしまうから
犬が落ちているノギを気付かずに踏んでしまったり、背の低いノギのある植物を踏みつぶしたりして、ノギ部分が足に刺さりケガをしてしまうという事故が、初夏から秋にかけては後を絶ちません。
肉球に刺さって危ないというのはもちろん、足の指と指の間にノギが刺さるとわかりにくいので注意が必要です。足や肉球に刺さったノギをほうっておくと化膿したり、そこから感染症を引き起こしたりする危険性があります。
散歩の後に足を気にするようになる、よく足の裏をなめる、痛がって引きずるような行動を愛犬がしているのなら、ノギが刺さっていないか確認してみてください。
2.目に刺さるから
ノギの実る位置は丁度犬の顔の高さにあるので、草むらを散歩中に誤って目に入ってしまう危険性もあります。異物として問題があるだけでなく、ノギはトゲ状なので目に突き刺さってしまうケースもあり危険です。
角膜などに傷をつけ、目に深刻なダメージを与えたり、深く突き刺さってしまった場合には失明してしまう可能性もあります。目が赤くなっている、目から異様に涙が出ている、目が開かないなどの異変があれば、動物病院を受診しましょう。
3.耳や鼻に入って傷つけてしまうから
耳や鼻に入って傷つけてしまうというのも危険な理由のひとつです。ノギそのものはあまり大きなサイズではないため、簡単に犬の耳や鼻に入ってしまいます。
入口付近で簡単に取り除けるのであればまだいいのですが、耳や鼻の奥に入ってしまうと普通のご家庭では見えなくなってしまうことも。ノギがどんどん入り込んでしまい、体の中の器官や脳にまで到達してしまう可能性もあります。
ノギは小さいですし、耳や鼻の奥は飼い主さんからは見えづらいかもしれません。もし愛犬が耳をしきりに気にしている、耳をいつもよりかいている、頭をよく振っている等の仕草や、鼻水や鼻血が出ているなどの状態が見られれば、早急に確認することが大切です。
飼い主がすべき「ノギ」対策とは
では、飼い主としてすべき「ノギ」への対策にはどのようなものがあるのでしょうか。
ノギが生えている場所には近づかない
草むらや空き地、川沿いや道端など、ノギのあるイネ科植物はどこにでも生えます。飼い主さんが散歩コースをよく把握し、ノギのある植物が生えているような場所には近づかないようにしましょう。
愛犬がニオイを嗅ぐのに夢中になって、ついつい深い草むらなどに入っていってしまわないよう散歩中はうまくリードしてあげてください。
靴をはかせる
ノギのある穂の部分は、枯れると地面に散らばります。場所によっては落ちているノギに気づくのが難しいこともあるでしょう。ノギが足に刺さらないよう、犬用の靴をはかせるというのも対処法のひとつです。
ノギが貫通しないよう、靴底のしっかりした犬の外用靴をチョイスしましょう。
いきなり靴をはいて散歩に行くというのは難しいかもしれませんが、まずは短時間から始め、ご褒美なども活用しながら徐々に慣らしていってください。
散歩後にはボディチェック
ノギが刺さってしまった場合、早めに気付いて対処することが大切です。
散歩後にノギがつきそうな場所を歩いた日は、必ず帰宅後に愛犬のボディチェックをしましょう。
足の裏をみて肉球や指の間にノギが刺さっていないか、ノギやひっつき虫のような植物が毛にからまっていないかなどを触りながら確認します。
ノギの刺さり方によっては、簡単に抜けない場合もあるかもしれません。強引に引っ張るとノギのトゲ部分だけが残ってしまうケースも考えられるので、無理せず動物病院を受診してください。
まとめ
今回は、犬にとって「ノギ」が超危険な理由と、飼い主がすべき対策についてご紹介しました。
人間にとってはノギはただの面倒な植物ですが、犬にとっては体を傷つける大変危ないもの、ということがおわかりいただけたことでしょう。
ノギを見かけたら近づかず、また安全を確認できない深い草むらなどは避けるようにして、愛犬を守りながら楽しく散歩してくださいね。