オーランドの銃乱射事件の被害者のためにセラピー犬が出動
6月12日にフロリダ州オーランド起きた、アメリカ史上最悪となった銃乱射事件。
その被害者や遺族を癒すために、セラピー犬が全米各地から派遣されたのをご存知でしょうか?
派遣されたセラピー犬は、テキサス州をはじめ、イリノイ州やネブラスカ州、テネシー州など各地から選抜され、現地フロリダへ派遣されました。
派遣された12匹のセラピー犬は「K9 Comfort Dogs」のメンバーであるゴールデン・レトリバーたちです。
セラピー犬となるには、賢く忠誠で温和な性格で、被害者たちの傷ついた心を寄り添うことでケアする専門の訓練を受けています。
今回の派遣は、「ルーテル教会慈善事業」が取り仕切って行なわれました。
セラピー犬と、共に行動する相棒のハンドラーとで現地へ行き、病院や警察署、被害者の家、教会、教会が設置した会合所などを訪問しました。
セラピー犬たちは皆、青いベストを着ており、そのベストにはそれぞれの犬の名前と「Please pet me.(どうか私を撫でて下さい)」と書かれています。
慈善事業の責任者である「ティム・ヘッツナー」さんは、セラピー犬について、
「セラピー犬を撫でることでとてもリラックスできます。そしてリラックスすることで、抑え込んでいた感情を外に出し、自分の身に起こったことを話し出してくれるのです。」
と、セラピー犬たちとの触れ合いの大切さを話しています。
セラピー犬の周りには人が多く集まり、抱きしめる人や床に寝そべって話をする人など、様々な方法で癒されています。
中には、セラピー犬の仕事に影響を受け、同性愛者の社会運動の象徴であるレインボーカラーのスカーフを巻いた飼い犬と共に、被害者に寄り添う人も現れているそうです。
セラピー犬の主な活動内容
セラピー犬とは、人への忠誠と深い愛情によって、高齢者や障がいを持つ方、精神的な治療を受けている方の身体と精神の機能回復を補助する活動をしています。
セラピー犬と触れ合うことで、亡くしていた記憶を取り戻したり、動かなかった手足が動くようになったりする効果が期待されています。
主な活動場所は、高齢者施設を始め、病院、障がい者施設、児童施設、小学校や中学校、刑務所、被災地などで、セラピー犬は、犬種や年齢は問わず、障がいを持つ犬であっても活躍している子もいます。
そんなセラピー犬たちの、日本とアメリカでの活躍をご紹介します。
【アメリカ】ボストンマラソン爆弾テロ事件
2013年4月15日に起きたボストンマラソンでの爆破事件。
沿道で声援を送っていただけの市民やランナーが犠牲になり、事件現場にいた被害者やニュースを見た人たちに悲しみと恐怖を与えました。
そんな市民たちを癒すべく、5匹のゴールデン・レトリバーのセラピー犬たちがボストンを訪問しました。
爆破事件の現場から4ブロックしか離れていないファーストルーテル教会で、訪れた被害者たちを癒しました。
また、事件での負傷者が入院する病院や学校なども訪問し、そっと寄り添い傷を癒したそうです。
【アメリカ】ニュータウンのサンディフック小学校銃乱射事件
2012年12月14日、コネチカット州ニュータウンのサンディフック小学校で銃乱射事件が起きました。
20人の子供と6人の学校職員が亡くなった衝撃的な事件です。
事件の起きた小学校へ通う児童たちは、ショックのあまり事件以来話せなくなってしまった子もいました。
そんな傷を負った児童たちの元へ、先述した「K9 Comfort Dogs」から9匹のゴールデン・レトリバーが学校を訪問。
児童たちはセラピー犬と触れ合うことで、両親にも話せなかった事件のことを話し出す子や、事件以来話すことができなくなった子が、母親に話し出したりする光景も見られたそうです。
【日本】東日本大震災
2011年3月11日に起きた東日本大震災で被災した方を癒すために、同年4月17日に富山県のNPO法人「セラピー犬TOYAMA」から4匹のセラピー犬たちが仙台市宮城野区の高齢者福祉施設「宮城野の里」を訪問しました。
宮城野の里は、津波で家を失った高齢者を福祉避難所として受け入れており、通常の避難所ではできない介護や支援を行っています。
セラピー犬と触れ合った人たちは、楽しそうに触れたり話しかけたりしていたそうです。
被害者の中には、津波で自宅が流され、目の前で愛犬が津波で流されていく瞬間を見た人がおり、セラピー犬を見て愛犬を思い出し泣き出してしまうこともあったそうです。
その後18日には、市立鶴谷特別支援学校を訪問し、児童たちの心を癒しました。
まとめ
セラピー犬たちの活躍によって、閉ざされた心が開かれ、少しずつ前へ進むことができている人たちがたくさんいます。
人にはない、犬たちだからこそできる力が、私たちの想像以上に存在しているのです。
そんなセラピー犬たちの活躍が今後ますます広がっていくことは間違いありません。
日本では、一度捨てられた犬たちを保護しセラピー犬として訓練する取り組みが行われています。
全盲の子でもセラピー犬として活躍している子がいます。
捨てた人間は、自分が手放した犬がセラピー犬として活躍する姿を見て何を思うのでしょう。
私は捨てた人にこそセラピー犬と触れ合って欲しいと思っています。
犬の傍にいるだけでこんなに心が落ち着くということ、撫でているだけで抑えていた気持ちがすっと消えること、犬たちの無償の愛情を実感して欲しいです。
犬たちの可能性は無限大!セラピー犬たちの今後の活躍に期待です!