犬種によって痛みの感じ方に違いがあるという調査結果

犬種によって痛みの感じ方に違いがあるという調査結果

犬種によって痛みに対する感覚や耐性に違いがあると多くの獣医師が感じているのだそうです。その点を調査した結果をご紹介します。

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獣医師は「犬種によって痛みへの感受性が違う」と感じている

治療を受けているマルチーズ

人間が何らかの理由で身体的な痛みを感じる時、痛みの理由となる刺激が同じくらいであっても、「ちょっと痛い」程度に感じる人もいれば「ものすごく痛い」と感じる人もいます。痛みへの感受性や耐性は人それぞれです。

これは犬にも当てはまるのでしょうか。日々多くの犬と接している獣医師は「犬種によって痛みへの感受性が違う」と感じているそうです。

2020年に発表されたアメリカのノースカロライナ州立大学とデューク大学による調査では、多くの獣医師が「痛みに弱い犬種」「痛みに強い犬種」について、ほぼ一致した意見を持っていたそうです。

また、この調査では一般市民も対象にして行われたのですが、獣医師と一般市民では痛みに弱い(または強い)と考える犬種がかなり違っていました。

https://wanchan.jp/column/detail/20527

現在のところ、犬種によって痛みの感受性に生物学的な違いがあるという科学的な証拠はありません。

このたびノースカロライナ州立大学獣医学部の研究者チームが、痛みに対する感受性は本当に犬種によって違うのか、それは獣医師が持っている印象と一致しているのか、一致していない場合「この犬種は痛みに弱い」と獣医師が評価する理由は何なのかを調査し、その結果を発表しました。

10犬種の痛みへの感受性をテスト

床に伏せているシベリアンハスキー

この調査には、過去の調査で獣医師が犬種別の痛みに対する感受性について「高い」「平均的」「低い」と回答した犬種が参加しました。

  • 痛みに対する感受性が高い(痛みに弱い)

チワワ、ジャーマンシェパード、マルチーズ、シベリアンハスキー

  • 痛みに対する感受性が平均的

ボーダーコリー、ボストンテリア、ジャックラッセルテリア

  • 痛みに対する感受性が低い(痛みに強い)

ゴールデンレトリーバー、ピットブル、ラブラドールレトリーバー

これら10犬種について、痛みの感受性を測定するためのテストが行われました。調査に参加したのは一般募集された家庭犬で、各犬種15頭ずつが選ばれました。

テストは外部刺激に対する反応性を指標として行われるもので、人間の神経学や疼痛クリニックで一般的に用いられている測定方法で行われました。これは一定のポイントにツールを使って圧力または温度を加え、犬が反応した時点の値を測定するというものです。

犬たちは用意されたマットレスの上に横たわり、後ろ足の中足骨(足首の前部分)に圧力ツール(ペン状の道具で痛くないよう先端を丸くしたもの)と、温かい温度を伝えるツールを押し当てます。

犬が反応した時点で刺激はストップします。反応するまでの時間が短いほど、痛みへの感受性が高いということになります。(このテストでの刺激は強い痛みを伴うものではありません。)

犬たちは痛みへの感受性のテストの他に、「見慣れない新しい物体への反応」「不快な態度の見知らぬ人への反応」もテストされました。

見慣れない新しい物体として、音を立てて動くサルのおもちゃが使用され、犬たちはハンドラーといっしょに試験エリアに入り、ハンドラーは犬と目を合わせないよう壁に向かって立ち、犬の目の前にサルのおもちゃが置かれます。

実験者はおもちゃのスイッチを入れて90秒間待ち、その間の犬の行動が録画され分析されました。

不快な態度の見知らぬ人では、パーカーのフードを被り大きな声で携帯電話に向かって話をしている犬にとって初対面の人です。

犬とハンドラーの前で決められたセリフを電話に向かって話した後、フードを外して犬に向かってフレンドリーに接近します。その際の犬の反応が録画分析されました。

獣医師に「痛みに弱い」という印象を与える要素とは?

薬を与えられるゴールデンレトリーバー

痛みへの感受性のテストの結果は、犬種によって違いがあることが示されたのですが、獣医師が感じている印象とは少しズレがありました。

例えば、獣医師が「痛みに弱い」として挙げたマルチーズは、圧力刺激にも温度刺激にも素早く反応し、痛みへの耐性が低い傾向を示しました。同じ小型犬であるチワワは圧力刺激には素早く反応しましたが、温度刺激には反応が緩やかでした。

獣医師が痛みに弱いとした大型犬のシベリアンハスキーは圧力、温度両方について中間程度の反応で、ジャーマンシェパードでは圧力に対しては最も耐性が高く、温度についても中間よりやや高めの耐性を示したといいます。

犬種によって痛みへの感受性に違いがあったことが今回わかりましたので、今後はこれらの違いを説明する生物学的なメカニズムを調査していく必要があります。

痛み感受性とは別に、見慣れない新しい物体に対する反応は、チワワ以外では犬種間で大きな違いはありませんでした。チワワだけは動くサルのおもちゃに近寄った犬が1頭もいませんでした。

見知らぬ人への反応では、マルチーズ、チワワ、シベリアンハスキーが消極的または拒否の態度が多く、ジャーマンシェパードも消極的な反応が多めでした。

新しい物体と見知らぬ人への態度のテスト結果から、犬が病院で診察を受ける際のストレスレベルや感情的反応性が、獣医師による痛みへの耐性の評価に影響している可能性があると研究者は述べています。

今後の研究では、犬や犬種のどのような特徴が獣医師の痛み耐性評価につながっているのかを、さらに掘り下げて調査する必要があるとのことです。

まとめ

受診中のチワワ

犬種によって痛みに対する感受性に違いがあること、しかし多くの獣医師が持っている印象とは完全に一致しないこと、一致しない理由は犬が感じるストレスや感情的反応性の強さが、獣医師が持つ印象に影響している可能性があるという調査結果をご紹介しました。

このような研究が、犬の痛みのコントロール研究に役立つ可能性や、獣医療現場では犬の不安やストレスへの理解も重要だという認識につながっていく可能性があります。

《参考URL》
https://doi.org/10.3389/fpain.2023.1165340

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