1.顎関節症
上あごと下あごの骨が嚙み合うように形成されている顎関節は、とても複雑で繊細な部位といえるでしょう。そんなあごの関節に異常が起こり、痛みを感じたり開閉に支障が出たりする疾患を「顎関節症」と言います。
犬のあごがガクガクと震えていたり、開閉しにくそうにしていたりするときは顎関節症になってしまっている可能性が考えられます。
顎関節症の原因は、先天的な骨の異形成から衝突による脱臼や骨折といった怪我まで、様々なものがあります。
軽度であれば、痛みを取る対処療法や外科的治療などで治療をおこなえることもあるので、犬のあごの動きに違和感を感じたときは、できるだけ早めに動物病院を受診してみるといいでしょう。
2.歯周病など口内トラブル
犬があごを震わせているときや開閉しにくそうな様子が見られるときは、口内で何らかのトラブルが起きていることも考えられます。
とくに、歯肉に腫れや炎症が起きて痛みが生じる歯周病が原因で、あごの動きに支障が出てしまうことはめずらしくありません。痛みからあごが震えてしまうこともありますし、歯肉が後退して歯がずれたり抜けたりして上手く噛み合わせができなくなることもあります。
また、口内に腫瘍ができていたり、口まわりの筋肉や神経に異常が起きていたりすることもあります。
3.痙攣や全身の震え
犬のあごが震えているとき、体全体の震えが影響していることもあるでしょう。犬は寒さやストレス、興奮などによって体を小刻みに震わせることがあり、その震えが口元でも起こることはめずらしいことではありません。
また、強いにおいを嗅いだときにそれに反応して、痙攣のように鼻や口元を震わせることもあるでしょう。
さらに、脳神経に異常が起きてコントロールができなくなり、痙攣発作を起こすことも。全身に痙攣が起きるだけでなく、体の一部に症状が出ることもあるので、小刻みな震えが見られるときは十分に注意して観察するようにしましょう。
4.不安や恐怖を感じている
犬のあごが震えるのは、病気や身体的なトラブルばかりが原因とは限りません。なかには、不安や恐怖、ストレスといった精神的なトラブルを要因としていることもあるのです。
緊張状態にあると自律神経のバランスが崩れて、体に震えが起こることがありますが、これは人間にも犬にも起こりうることです。
そのため、あごを震わせているときは、その場の状況をはじめ、表情や行動をしっかりと観察して犬に強いストレスを与えているものはないか確認してみてください。
一時的な震えであればそれほど気にする必要はありませんが、長く続いていたり頻繁に見られたりする場合はほかの要因を考えるとともに生活環境の見直しをしてみましょう。
5.老化現象
年齢を重ねると犬の体には様々な変化が起こります。体力や筋力が低下して、これまで問題なくできていた行動や姿勢をとることがむずかしくなったり、見たこともない行動をするようになったりすることもあります。
あごが震えるのも老化現象のひとつと考えられ、関節内の軟骨がすり減ったり筋肉が衰えたりして、あごの開閉がスムーズにできなくなることがあるのです。
とくに、老犬になると歯周病にかかったり自律神経が乱れたりして、あごが震える要因が増えることも考えられます。
まとめ
犬のあごが震える原因は、病気や怪我といった身体的なトラブルから、ストレスのような精神的なトラブルまで様々なことが考えられます。
この記事で紹介したことを参考に、犬のあごが震えているときは口元のチェックだけでなく、全身の状態を確認してみてください。また、頻繁に起こる場合は動物病院で相談するようにしましょう。