静岡県警とNPO法人「災害救助犬静岡」との連携協定
静岡県警は菊川市にあるNPO法人「災害救助犬静岡」と連携協定を近く結ぶ方針を決めました。
これは、熊本地震で活躍した災害救助犬を、今後発生が予想されている南海トラフ巨大地震や東海地震にて、積極的に人命救助のために活用する狙いがあります。
今後は相互連絡の手順を決め、災害が発生次第すぐに出動できるような円滑な連携を目指しているそうです。
2011年に発生した東日本大震災での、災害救助犬の捜索活動への貢献をきっかけに、静岡県警は活用方針を検討していました。
そして、今年4月に発生した熊本地震では、「災害救助犬静岡」と合同で捜索を行い、実際に行方不明者を発見したことから連携強化のために協定を結ぶことを決定しました。
この協定を結ぶことで、災害救助犬とハンドラーと呼ばれる指導者とが、災害現場へスムーズに入れるような調整を行うことが期待されています。
熊本地震では、「災害救助犬静岡」から静岡県警へ捜索協力の意向を伝えた上で、地震発生翌日の4月17日に7人のハンドラーと災害救助犬9匹が現地へ入りました。
18日には、土砂被害のあった南阿蘇村へ入り、県警広域緊急援助隊と合流し捜索活動を行いました。
現場は、災害救助犬の鼻が効きにくい粘土質の地質で水分が少なかったため、県警の部隊が土砂や障害物を除去することで、捜索しやすい環境をつくったおかげで、土砂に埋もれた行方不明者の女性を発見することができました。
災害救助犬の活用に関しての問題点として、広域災害時の災害救助犬の不足や携帯電話などの連絡手段が使用できないときの活動についてあげられます。
「災害救助犬静岡」を顧問する杉山和平氏はこの問題点について、災害無線の活用と災害救助犬とハンドラーの育成が緊急の課題で、より一層行政機関と協力が必要になる、といいます。
そしてこの協定について杉山氏は、災害救助犬の重要性が認識されている証拠である、と喜びを伝えています。
※災害救助犬…災害で土砂に埋もれた行方不明者を嗅覚によって捜索する犬。警察犬は特定の人物を捜索することに対し、災害救助犬は不特定の行方不明者を捜索することができる。菊川市のNPO法人「災害救助犬静岡」は、ハンドラーと災害救助犬の認定試験を県内で唯一実施しており、約50人の会員と約20匹の災害救助犬が所属している。
県警と民間法人が連携したことにより期待できること
警察と民間法人が連携したことで最も期待できることは、災害時の迅速な救出活動への参加ができるということです。行方不明者の生存確率は72時間を境にどんどん低下していってしまいます。民間団体が救出活動を行うには、現場の安全確認ができてからと、どうしても時間がかかります。
しかし、警察と連携することで現場の安全を確保しつつ、捜索を行える体制をつくることができ、迅速な救出活動を行うことができるのです。
災害救助犬のメリットは、短時間で広範囲の行方不明者を捜索できることです。この災害救助犬の働きを最大限に生かすためには、より早く現場へ行くことが必要になります。
熊本地震では既に警察との連携で、災害現場での警察による土砂撤去作業と災害救助犬の捜索が平行して行われています。今後どの現場でもこのような取り組みが行われれば、きっとより多くの命を救うことができるはずです。
さらに、民間団体で得る情報には限界があります。現場の正確な情報が手に入ることは、救出活動を行う上で重要なことです。最も早く現場に入る警察や自衛隊からの情報を元に、捜索チームが組まれることで、民間団体が現場へ行ってからチームを編成するよりも、より早く体勢を整えることができます。
まとめ
災害救助犬の働きが注目され、警察との協定が結ばれることになり、本当に犬の力は想像以上のものであると感じました。
震災大国である日本だからこそ、このような結びつきの強化は今後必要になることですね。今後も災害救助犬の活躍に期待せずにはいられません。
どの災害現場でも迅速な対応ができるように、今回のような協定が日本全国で広がることを願うばかりです。