1.皮膚疾患
雨が多く降る梅雨は、外だけでなく室内の湿度もぐっと上がってしまいます。適度な湿度は快適に過ごすために必要な条件ですが、気温も湿度も高い状態というのはジメジメと蒸し暑く、「不快」に感じるものです。
この不快な状態は気分だけの問題ではなく、犬の体にも悪影響を及ぼします。特に湿度による影響を受けやすいのが、皮膚です。
高温多湿の蒸した状態では、被毛に覆われた犬の皮膚も蒸れてしまい、皮膚についている雑菌や細菌が増殖しやすくなります。さらに、傷が化膿したり、炎症を起こしたりすることもあります。
このような状態では皮膚のバリア機能が弱くなって、ちょっとした刺激にも負けてしまうようになり、いつも以上に皮膚トラブルが起こりやすくなってしまうのです。
また、雨が降っているときにお散歩に行くことも増えるため、被毛が濡れてしまうこともあるでしょう。被毛が濡れたときにさっと拭くだけで内部が乾いていない状態のまま放置してしまうと、皮膚が余計に蒸れてしまって皮膚に大きな負担を与えてしまいます。
体が濡れてしまったときは、自然乾燥を待たずにしっかりとタオルやドライヤーで乾かしてあげるようにしてください。
2.外耳炎
梅雨は湿度が高く皮膚に悪影響を及ぼしますが、それは耳の中にも同じことが言えるでしょう。
犬は元々の体温も高いため、特に分厚い被毛で覆われている部分や、耳の中のように狭く入り組んだ部分はどうしても蒸れやすいのです。
さらに言えば、たれ耳の犬は高温多湿状態の小さな部屋=サウナのようなものが、耳の中にできてしまっているようなものだと考えられます。たれ耳の場合、湿気だけでなく汚れもため込みやすいため、雑菌の繁殖が起こりやすく外耳炎になってしまうことも多くあります。
外耳炎になると強いかゆみが出たり不快感を覚えたりするため、犬は頭を振ったり後ろ足で頻繁に掻いたりするようになります。引っかき傷が原因でさらに状況が悪化してしまうこともめずらしくないので、愛犬が耳を気にする素振りを見せたり頭を傾けたりしていたら、耳を確認してみてください。
耳の中が赤かったりジュクジュクとしていたり、強いにおいがするときはすぐに病院に連れて行ってあげましょう。また、そうでなかった場合も特に梅雨の時期は、耳の中のチェックを頻繁に行うことをおすすめします。
3.食中毒
梅雨は室内の湿度も高くなりがちで、保存しておいた食べ物が湿気てしまったりカビが生えてしまったりすることがあります。
乾燥している冬であれば常温保存でも問題なかったドッグフードや犬用のおやつに、カビや雑菌が繁殖してしまうこともめずらしくありません。それが原因で食中毒を引き起こしてしまうこともあるので、湿度も気温も高い梅雨は食べ物の管理にいつも以上に気を配る必要があります。
特に、ボウルに出したドッグフードをなかなか食べないからと言って、長時間出しっぱなしにして食べるのを待つのは厳禁です。
袋や容器から出したドッグフードが空気に触れて油の酸化が始まり、菌の繁殖の危険もあるので食べ残しをそのままにするのはやめましょう。ドッグフードを出しておく時間は20分や30分などと決めておき、その時間内で食べ切らない場合は片付けてしまいましょう。
4.運動不足による心身のトラブル
梅雨になったからといって、すべての犬が運動不足になるとは限りませんが、雨が続くとどうしてもお散歩の回数や時間が減ってしまう傾向があります。そのため、必然的に体を動かす時間も減って、肥満や筋力低下などのトラブルを招くことがあります。
また、梅雨が明けると一気に本格的な夏に突入し、犬にとってさらに厳しい季節となってしまいます。近年の夏は、気温が35度を連日超えることもめずらしくなく、命の危険すら感じる暑さが続きます。そのような時期は明け方から日が暮れるまでうだるような暑さとなり、外に出ると熱中症に陥ったり足裏を火傷してしまったりすることも…。
そのため、梅雨から夏にかけては運動不足による肥満や筋力低下、またストレスの蓄積などが起こらないように注意しましょう。悪天候の日や厳しい暑さの中に犬を連れ出す必要はありませんが、散歩が減った場合は家での遊びやトレーニングを取り入れて、心身を充実させてあげてくださいね。
まとめ
梅雨は私たち人間にとっても何かとやっかいな時期ですが、犬の心身にも負担をかけたりトラブルを引き起こしたりすることがある時期です。
ただし、今回こちらで紹介した内容を頭に入れて、適切な対応を取れば、大きな問題が起こる前に予防することができるはずです。
梅雨の時期は、いつも以上に愛犬の体のチェックやお手入れをこまめにするようにして、健康的で快適な日々を過ごしましょう。