気象病とは
雨の日は頭痛がする、体がだるくなるなど、体調に異変を生じる方がいらっしゃいます。このように、気象の変化で体調不良が引き起こされる症状を最近では「気象病」と読んだりしています。
実際、気圧や天気での影響の受けやすさには個人差があり、詳細もまだ解明されていない部分が多いようです。
また、気象病は人間だけではなく、犬、猫、うさぎ、ハムスター、小鳥などにも起きることが分かっています。愛犬の体調が気象の変化に連動して悪化するようだと感じたなら、愛犬の様子と気象状況を記録してみると良いでしょう。
気圧が下がると体調が悪くなる理由
気象病に大きく関係しているのは、気圧だと考えられています。内耳に気圧の変化を察知する器官があり、察知した情報を脳に伝えて自律神経をコントロールしています。乗り物酔いをしやすい方は、この器官が敏感です。そのため、気象病にもなりやすいといわれています。
気圧が下がると体内の圧が下がり、血管や関節包が拡張します。血管の拡張は血流を滞らせるため、自律神経が動悸を生じさせて血圧や脈拍を上げようとします。関節包の拡張は、周囲の神経を圧迫して痛みを起こします。こういった反応が、原因の一つだと考えられています。
これは犬も同じです。ただし、気圧が低下すると天気が悪化し、台風が来ることを体験として知っていて、不安になるのかもしれません。また気温や湿度の変化に反応しているだけの可能性もあります。
いずれにしろ、てんかん、脳腫瘍、脳炎、水頭症、脊髄空洞症、関節炎などの持病を持っている犬は、気圧や天気の影響で持病の症状が悪化しやすいことが分かっています。
犬が「気圧や天気」の影響を受けているときの行動
ここからは、犬が気圧や天気の影響を受けているときの行動やチェックポイント、対処法について解説します。
1.眠っている時間が増える
普段は起きて活動している時間帯なのに、ずっと眠っていたりじっとして動かない場合は、気圧や天気の影響を受けて体調が悪く、自分で自分の身を守ろうとしている可能性があります。
2.暗い場所や狭い場所に入って出てこない
普段は飼い主さんが見える所で過ごしているのに、ケージやクレートも含めて暗い場所や狭い場所に入って出てこない場合も、体調が悪くて自分の身を守ろうとしている可能性があります。
3.食欲がない
眠りっぱなしや引きこもりっぱなしではないものの、食欲がなくご飯を食べない、食べても残してしまうといった場合も、気圧などの影響で体調がよくないことが考えられます。
4.不安そうで落ち着きがない
大好きなお散歩に行きたがらない、ずっと震えているといった、精神面の不安定さも気圧や天気の影響かもしれません。もしかすると、これからやってくるであろう台風などに対する不安なのかもしれません。中には、攻撃的な行動を見せる子もいます。
5.普段より甘えるようになる
不安そうだったり攻撃的だったりするのとは対照的に、いつもより甘えん坊になる子もいます。気圧や天気の影響で体調が悪く不安になり、それが飼い主さんへの「甘え」という行動に現れるようです。
6.持病の症状が悪化する
てんかん、脳腫瘍、脳炎、水頭症、脊髄空洞症、関節炎といったような持病を持っている子の場合は、気圧の影響で持病の症状が悪化しやすくなります。
特に、普段から脳圧を下げる薬で発作を管理している子の場合は、症状が悪化する前に薬を飲ませることで、症状を抑えられる場合もあります。お天気と愛犬の様子をよく観察した結果を元に、かかりつけの獣医師とよく相談をして指示に従いましょう。
愛犬が気象病かもしれない時の対処法
気象病が認知されるようになり、スマホのアプリ、ウェブサイトなどで気圧情報やそれに伴う健康への注意喚起を促すサイトなどが登場したり、安価な家庭用気圧計を簡単に入手できるようになってきています。
このような便利なツールを、ぜひ愛犬にも活用しましょう。
愛犬の様子と気象状況を記録し、愛犬が影響を受けるタイミングを把握します。ポイントは、愛犬が影響を受けるのが「気圧が急激に下がった時、気圧が下がりきった時、下がった気圧が元に戻る時」などのどのタイミングなのかを知ることです。
例えば関東地方にお住まいの場合は、「台風が沖縄に接近してくるとき」という把握の仕方もあります。だいたいこのタイミングで関東地方の気圧も下がってくるためです。タイミングが分かればかかりつけの獣医師と相談して、薬で発作を抑えるといったこともできる可能性があります。
基本的には、気象の影響が出続けるのは長くても1日程度です。落ち着ける場所で眠ったりじっとしたりしているのであれば、そっと見守りながらいつも通りの態度で接してください。飼い主さんの態度が違うと、不安な気持ちを煽ってしまうこともあるので注意しましょう。
症状が1日以上続く場合は、かかりつけの動物病院に電話で相談をし、必要に応じて診察してもらいましょう。くれぐれも、飼い主さんの自己判断で勝手に薬の量を増やしたり減らしたりといったことはしないでください。
まとめ
犬は、体調の悪さを飼い主さんに言葉で直接的に伝えることができません。愛犬の体調が天候に影響されているようだと気付いたら、飼い主さんが積極的に愛犬の様子と気象状況を記録し、どのようなタイミングで影響を受けるのかを把握することが大切です。
その上で、持病などがある場合はかかりつけの獣医師と相談の上、適切な対処を行うようにしましょう。