犬の鼻が世界を救う!嗅覚でマラリア感染を検知

犬の鼻が世界を救う!嗅覚でマラリア感染を検知

犬の優れた嗅覚を生かして麻薬や犯人追跡、行方不明者の捜索など、様々な現場で犬が活躍しています。そしてついに、世界中で多くの命を奪っているマラリアの感染を嗅ぎ分けて、感染者をニオイで検知することができる訓練が開始されているのです。

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犬の嗅覚を生かしてマラリア撲滅!

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世界中で多くの感染者と死者を出しているマラリア。
昨年は、2億1,400万人が感染し、その内43万8,000人が命を落としています。

そんなマラリアに感染した人の息に、特有の化学物質が含まれていることが判明し、その物質を犬が嗅ぎ分けられるとして、ニオイのみでの感染者の特定が期待されています。

ロンドン大学衛生昆虫学の上級講師である『ジェームズ・ローガン氏』の率いるチームは、犬の嗅覚を利用したマラリア検知に関する研究を行うため、ガンビア共和国にある英国医学研究審議会(MRO)と協力し、ガンビア人の子供400人から尿と汗のサンプルを収集する予定で、その子供の中にはマラリア感染している子供も含まれています。

子供たちに24時間ナイロンの靴下を履いてもらい、そこから皮膚の汗を採取します。
そして、そのサンプルを使用して、犬に感染者とそうでない人のニオイを嗅ぎ分けさせる訓練を行うということです。

現在のマラリア感染診断方法は、患者の指から採取した血液サンプルを研究所で検査する方法で、「もし犬の嗅覚で嗅ぎ分けることができれば、体を傷つけることなく、場所も時間も費用もかからず多くの患者を検査することができる」、とローガン氏は言います。
また、嗅覚を利用した嗅ぎ分けは、マラリアの原虫を持つ人が数人だけの集団に有効的です。
集団内にいるマラリア保持者を特定することで、マラリアの撲滅を格段に早めることが可能になります。

このプロジェクトには、ロンドン大学衛生熱帯医学大学院だけでなく、同じくイギリスのダラム大学も参加しており、ビル&メリンダ・ゲイツ財団からの7万ポンド(日本円にして約1,100万円)の補助金と、イギリスの慈善団体「メディカル・ディテクション・ドッグズ」の支援によって進められています。

※「メディカル・ディテクション・ドッグズ」とは
犬ががんを嗅ぎ分けることができるかの研究を行う団体。
デイジーというラブラドールは、息や皮膚、尿など550のサンプルから乳がんを患う人を特定することに成功。
2015年には、アーカンソー医科大学で訓練されたシェパードのフランキーが、尿のサンプルから甲状腺がんを88%の確率で検知する成果をあげた。

犬の嗅覚の仕組み

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犬がニオイを嗅ぐときの仕組みは、まずそのニオイを含んだ空気が鼻の穴を通り、鼻腔と呼ばれる空気のたまり場所にいきます。
鼻腔の表面は粘液上の物質で覆われていて、この粘液に溶け込んだニオイが嗅神経を刺激します。
そして、嗅神経で発生した信号が脳内の嗅球と呼ばれる部位に届くことで、情報が処理されます。

嗅球は、人が約1.5gなのに対して犬は中型犬で6gほどあり、犬の脳の大きさは、人間の10分の1なので、人間と同じ大きさの脳を持つ犬がいたとしたら、その犬の嗅球の大きさは人間の40倍に達することになります。
そんな脳を持つ犬はいませんが、いかに嗅覚が大きいかということがわかりますね。

犬の嗅覚は、嗅ぎ分けるニオイによって異なりますが、人間の1000~1億倍優れています。
花や自然界に存在しない化学物質など、犬にとって興味のないニオイは鈍感ですが、動物の発する有機物には敏感と言われています。
また、犬には複数のニオイが混ざっていても、個々のニオイを嗅ぎ分ける能力があります。
この能力によって、警察犬は犯人だけのニオイを、災害救助犬は行方不明者のニオイだけを特定することができるのです。

まとめ

犬の嗅覚が優れていることは周知のことですが、その嗅覚によって感染者を特定できる可能性まで出てくるとは誰が思ったでしょう。
毎年多くの犠牲者が出ているマラリアを撲滅できるのは、医学の力や人の力ではなく、犬の力によってかもしれません。
今回のマラリア検知プロジェクトが成功し、少しでも多くの人を救うことができるよう、切に願うばかりです。

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