犬の笑顔の意味
犬は、交流相手となる犬や人に向けて、人の笑顔によく似た表情を見せることがあります。目を細め、唇の両脇(口角)を上げ、前歯を見せるような表情です。
実はこの表情は、向けられている相手によって、意味が変わってくる事が分かっています。
犬のボディランゲージとして、この表情には下記のような意味があります。
- 何度も目を細めたり瞬きをするのは、相手に対して敵意がないという友好的な気持ち
- 口角が上がっているのは、リラックスしているサイン
- 前歯を見せるのは、相手に対する服従の意
つまり犬に対して向けられている時は、どちらかというと相手を落ち着かせ、なだめようとしているサインだと言えるでしょう。特に、服従の意が強い場合は、頭を下げて低い姿勢になリ、しっぽを水平にして振ったり、耳を伏せたりしていることが多いです。
しかし、飼い主さんに向けられている時は、飼い主さんの気を引きたい、飼い主さんとの交流が嬉しいといった気持ちを表していると言えます。その場合は、全身に緊張感がなく、しっぽを高く上げてゆるく揺らしたり、躍動感のある動きをしたりすることが多いです。
飼い主さんが愛犬に対してリラックスさせ、心からの笑顔を愛犬に向けることで、愛犬の笑顔を増やすことができます。お互いに笑顔で見つめ合うことで、愛犬も飼い主さんも、共に幸福感を得ていることは、科学的にも証明されています。
愛犬が「嬉しそうな顔」をしてくる時の心理
犬の笑顔の意味が分かったところで、ここからは愛犬が「嬉しそうな顔」をしてくる時の心理について解説します。
1.嬉しい
笑顔のような表情は、犬が人と一緒に暮らしてきた中で習得した、人とのコミュニケーション手段だと考えられます。
飼い主さんが愛犬に笑顔を向けてくれたことに素直に嬉しいと感じ、愛犬も飼い主さんに笑顔を返してくれていると考えられます。
2.かまってほしい
愛犬が飼い主さんに笑顔を向けた時に、優しく接してもらったりかまってもらったりした経験を持つ犬は、かまってほしくて笑顔を見せることがあります。
長いお留守番の後や、忙しくてしばらくかまってあげられなかった時などによく見るのではないでしょうか。
3.落ち着かせようとしている
飼い主さんの様子がいつもと違う時に、愛犬が笑顔を見せながらそっと近づいてきて、傍に寄り添ってくれることがあります。
いつもとは異なる飼い主さんの様子に不安を覚え、飼い主さんに対して落ち着いてもらおうとしている行動だと考えられます。
4.敵意がないことを伝えている
あまりよく知らない人に向けている場合は、緊張して相手のことをよく観察すると共に、「敵意はありませんよ」と伝えようとしていると考えられます。
しっぽが下がっていたり、全体的に緊張して動きが硬かったりと、喜んでいるときとは少し様子が異なるはずです。
嬉しくないのに笑顔に見える時もある?
一見すると笑顔のように見えても、実は愛犬が緊張したり不安を覚えたりしている場合もあるため、注意が必要です。
例えば、口元が緩んで軽く開いているけれども口角が下がっているという場合です。この表情は笑顔のように見えるかもしれませんが、愛犬が不安や不満を感じている時の表情です。同様に歯が露出している時も、不安や不満を抱いているサインです。
また同じく口元が緩んで軽く開いているけれども、目に白い瞬膜が見えている状態の時も注意が必要です。この場合は、不安を感じて緊張しているサインです。同じく口を開けながら、舌を垂らして浅くて早い呼吸(パンティング)をしている時も、笑顔に見えて実は緊張しているサインです。
愛犬が笑顔のような表情を見せてくれた時は、顔の表情だけではなく、全身の状態もよく観察し、本当に嬉しいと感じているのか、不安や緊張を覚えているのかを判断することが大切です。
まとめ
人が犬と一緒に暮らすようになったのは、1〜3万年前頃からだと考えられています。この長い歴史の中で、犬は人とのコミュニケーション手段を身につけてきました。その中の一つに、人の笑顔によく似た表情があると考えられています。
ただし、顔の表情だけで判断すると、愛犬の不安や緊張を見逃してしまうこともあります。愛犬からのサインは、顔などの一部だけで判断せず、全身から読み取ることが大切です。
また、飼い主さんが愛犬に向けて心からの笑顔を見せれば見せるほど、愛犬も飼い主さんに心からの笑顔をみせてくれるはずです。
お互いの幸福度を高めるためにも、愛犬との笑顔の交流を心がけてみてください。