犬や猫の鼻紋を使った個体識別
大切な愛犬や愛猫がいなくなってしまった、迷子の犬や猫を保護して飼い主に連絡を取りたい、こんな時に頼りになるのは名前や連絡先を書いたIDタグやマイクロチップです。
しかしタグは破損したり外れてしまったりすることもあり、マイクロチップは保健所や保護施設などでの専用機器による読み取りが必要です。
IDタグもマイクロチップも大切なものですが、現在ペットの個体識別のためのより頼もしいアプリが開発されています。それは犬や猫の鼻のシワのパターン「鼻紋」を使ったものです。
鼻紋は人間の指紋と同じように、成長によって変化することなく、それぞれの個体に特有であることがわかっています。鼻紋を使った個体識別がいよいよ実用化されようとしています。
https://wanchan.jp/column/detail/29575
スマホアプリでペットの鼻紋を登録
鼻紋を使った個体識別は、スマートフォンのアプリという形で提供されます。アプリを開発しているのは、韓国を拠点とする技術系スタートアップ企業Petnow社と延世大学の研究チームです。
利用者はアプリをダウンロードした後、スマートフォンのカメラで愛犬や愛猫の顔をスキャンして登録します。
このアプリを使った個体識別の精度は約99%と発表されています。猫の場合は鼻だけでなく顔全体をデータとして使用します。
犬や猫が行方不明になった場合にはアプリにその旨を報告します。迷子になった動物を見つけた人がPetnowのアプリで顔をスキャンし、その動物が登録されていればアプリに表示され飼い主に連絡が届きます。
このアプリが上手く機能するためには、犬や猫の飼い主だけでなく広くアプリの存在を知らせる必要があります。迷子の動物を見つけた人がアプリの存在を知らないと飼い主に連絡が届かないからです。
Petnow社は、韓国政府がこのアプリへのペットの登録を義務化することを期待していると語っています。
同様のアプリを複数の企業がテスト中
鼻紋を使った個体識別アプリの開発は、Petnow社が初めてではありません。韓国のソウル大学の研究者が設立したスタートアップ企業iSciLab社は、韓国政府から国家補助金の支援を受けて同様のアプリを開発しており、現在アプリを無料配布して試行中です。
テストは2014年に終了する予定で、iSciLab社は将来的に鼻紋をペットの個体識別の世界標準とすることを目指しています。
また日本でも、S'moreという会社がNoseIDという鼻紋を登録するアプリのテスト版を無料で配布しています。
マイクロチップと同じように企業が複数あることで、「A社には登録しているがB社には対応していなかったので読み取りができなかった」などの問題が生じる可能性もありますが、競合があることで技術が改善される可能性もあります。
どちらにせよ、普及して知名度が上がるとペットにも飼い主さんにも恩恵が大きそうです。
まとめ
犬の鼻のシワのパターン「鼻紋」で個体識別をするスマートフォンのアプリが開発されているという話題をご紹介しました。
迷子の犬や猫の話題はSNSなどで見かけない日がありません。一番大切なことは愛犬や愛猫の脱走予防策をしっかり取ることです。また一番シンプルな対策「名前と連絡先を書いたタグ」も必須です。
最先端の技術によって、このような悲しい事態が改善されるとしたら嬉しいことですね。
《参考URL》
https://www.freethink.com/consumer-tech/nose-print
https://www.koreatechdesk.com/korean-startup-launching-a-nose-print-identification-for-dogs-an-alternate-to-the-microchip-embedding-process/
https://www.smore-pets.com