犬の鼻のパターンの固有性を検証
愛犬の鼻をじっくりと見てみると、細かい溝がたくさんあって複雑なパターンを作り出していることが分かります。このパターンはそれぞれの犬に特有のものだと言われており、世界の一部では個体識別に使用している例もあるそうです。
しかし、犬の鼻のパターンを科学的に検証した研究は今のところ非常に少ないのだそうです。この度、韓国のソウル大学他複数の大学の研究者チームが、犬の鼻のパターンの固有性と不変性を調査して、その結果が発表されました。
鼻のパターンは成長しても変わらない?
犬の鼻のパターンは個体特有のもので、成長と共に変化することはないのか?ということを検証するため、研究チームは10匹のビーグルの鼻の画像を使用しました。
犬たちは2匹の母犬から産まれ、それぞれ6匹と4匹の同胎の兄弟たちです。鼻の画像撮影は生後2ヵ月から開始して11ヵ月齢までの10ヵ月間に渡って毎日行われたそうです。
撮影された画像は、視覚および生体認証アルゴリズムによって調査分析され、その結果これらビーグルの鼻のパターンは2ヵ月齢の時点で完全に形成されており、11ヵ月齢の時点でも不変だったことが分かりました。
また、この調査では2胎の兄弟犬たちという遺伝的に強く関連する個体を検証しています。このように遺伝的に関連する個体同士であっても、犬の鼻のパターンは明確に異なるということも分かりました。
この調査結果は以前の別の研究の主張をバックアップするものであり、犬の鼻のパターンは生体認証マーカーとして使用することが可能です。
調査期間は10ヵ月という短い期間であったものの、生物学的特性は成体となった初期から生涯にわたって安定しているという理解に基づいて、犬の鼻のパターンは生涯不変であるという結論が導き出されたとのことです。
しかし、研究者自身が将来的により長期の研究によって検証する必要があると述べています。
犬の鼻のパターンを個体識別に使える展望は?
犬の鼻で個体識別ができるとすれば、この研究で使用されたような生体認証アルゴリズムを使って、迷子や盗難の際に確実に個体を特定することができます。犬の鼻パターンを登録するデータベースを確立できれば、マイクロチップよりも確実だと言えそうです。
研究者はこのような実用的な点から考えた場合、犬の鼻の画像撮影の難しさを指摘しています。犬の鼻の画像を簡単にキャプチャできるユーザーフレンドリーなデバイス、または不完全な画像でも処理することができる認証システムが重要であるとして、今後これらの実際的な問題を研究していく可能性についても言及しています。
まとめ
犬の鼻のパターンは成長によって変化することなく不変であり、それぞれの個体に特有であるという調査結果をご紹介しました。
今のところカナダやアメリカの一部地域を除いて個体識別に実用化される目処は立っていないようですが、生体認証技術の発達を考えるとそれほど遠くない将来に鼻パターン登録システムが始まるかもしれないですね。
そのような実用的な目的は別にしても、世界で1つの愛犬の鼻のパターンはお昼寝中などに撮影して保存しておきたくなると思わせられる研究結果でした。
《参考URL》
https://www.mdpi.com/2076-2615/11/9/2664