愛犬の誤飲は飼い主さんの責任
犬は数千年という年月を人と共に過ごし、今では家族の一員として迎え入れられるまでになりました。しかし犬と人は異なる動物種なので、体の作りにもさまざまな違いがあります。そのため私たちには馴染みの食材や飲み物でも、犬には危険なものがたくさんあります。
今や家族の一員として暮らしている犬たちにとって、口にできる食べ物や飲み物は飼い主さんからもらえるもの、または身の回りに置かれているものだけです。そのため、万が一犬にとって害になるものを口にしてしまった場合、それは飼い主さんの責任だといえるでしょう。
そこで今回は、ご家庭の中でもよく飲まれている炭酸飲料を、愛犬が舐めてしまった場合の影響や飼い主さんがすべきこと、注意点などについてご紹介します。
炭酸飲料とは
天然に湧き出た鉱泉や温泉の飲用が炭酸飲料の始まりで、健康増進のために病人に飲まれていました。炭酸飲料を最初に作ったのはクレオパトラだという説もあり、ぶどう酒に真珠を入れて溶かしたものを、不老長寿や美容の秘薬として飲用していたそうです。
日本における炭酸飲料の分類については、日本農林規格(JAS)の中に定められています。大きく2つに分類され、1つ目は「水に二酸化炭素を圧入したもの」です。2つ目は「1つ目の炭酸飲料にフレーバーリング等を加えたもの」です。
1つ目は炭酸水やクラブソーダのことです。2つ目には、香料を加えたサイダーやラムネ、果汁または果汁ピューレーを加えたフルーツソーダ、植物の種実などからの抽出物を加えたコーラ、ジンジャーエール、乳製品を加えたクリームソーダなど、さまざまな飲料が含まれます。
最近は調理器具としてソーダマシンが人気を博しており、ご自宅で炭酸水やスパークリングワイン、フルーツソーダなどを作られているご家庭も多いようです。つまり炭酸飲料が以前にも増して、より身近な存在になっているといえるでしょう。
炭酸飲料の2つの分類を明確にするために、1つ目の分類を「炭酸水」、2つ目の分類を「炭酸飲料」と記載することにします。今回主に取り上げるのは、炭酸飲料です。元の飲料によっては、犬に有害な成分が含まれている可能性があるからです。
万が一愛犬が炭酸水を舐めてしまった場合、あまり心配する必要はありません。基本的には愛犬に害となるような成分は含まれていません。ただし軟水ではなく、ミネラル分が多い硬水で作られた炭酸水の場合は、常用的に舐めさせない方が良いでしょう。
愛犬が炭酸飲料を舐めてしまったときに飼い主がすべきこと
万が一愛犬が炭酸飲料を舐めてしまった場合、飼い主さんが真っ先にすべきことは、残っている炭酸飲料を速やかに片付け、舐めた製品の成分を確認することです。カフェイン、タンニン、テオブロミン、ネギ類、糖分、塩分、アルコールなどは、犬に有害な成分です。
カフェインはコーヒーやお茶類に、テオブロミンはチョコレートやココアの中に含まれており、ネギ類やアルコールと共に犬に中毒症状を引き起こす原因になります。糖分や塩分の過剰摂取は犬の健康を害し、お茶類に含まれるタンニンはミネラルの吸収を阻害します。
次に確認することは、愛犬が舐めてしまった量の確認です。ほんの少し舐めただけなのか、しっかり飲んでしまったのかを確認しましょう。動物病院で診てもらう場合も、飲んだ炭酸飲料の成分と飲んでしまった量については必ず確認されるはずです。
次は愛犬の状態の確認です。何か顕著な症状が現れているか、何の変化もなく元気に過ごしているかを確認してください。明らかな症状が現れている場合は、すぐに動物病院に連れて行き、診てもらいましょう。
特に愛犬に変わった様子が見られない場合でも、有害な成分が含まれていた場合はかかりつけの動物病院に電話をし、舐めた炭酸飲料の成分や舐めた量、愛犬の様子を伝えて、しばらく様子を見ていても大丈夫かどうかを確認しておくと安心できるでしょう。
炭酸飲料に関する注意点
人間のための食べ物や飲み物は、愛犬に食べさせないことが基本です。特に炭酸飲料は、ハイボールなどアルコールと一緒に飲んで酔っていたり、愛犬への配慮をするには幼すぎるお子さまが飲まれることが多いため、取り扱いには注意が必要です。
また炭酸水の場合も、製品によってはクエン酸ナトリウムや炭酸水素カリウムなどのミネラルが添加されており、淡い塩味がついているものがあります。主にカクテルの材料にするものですが、この場合は炭酸水といえども愛犬に与えるべきではありません。
昨今は、自宅で既成のジュースやワインなどを炭酸飲料にできるソーダマシンも流行しており、炭酸飲料がさらに身近な存在になっているでしょう。愛犬が飼い主さんの目を盗んで有害成分入りの炭酸飲料を舐めないよう、十分な注意をはらいながら炭酸飲料のある生活を楽しんでください。
まとめ
愛犬は、飼い主さんにとっては家族の一員です。しかし、人間と犬では体の作りが異なるということをしっかりと意識する必要があります。
その上で、日常的に私たちが口にする食材や飲み物の中にも、愛犬には有毒なものがあることを知り、それらを愛犬の口に入れないように管理しましょう。