1.喉への刺激による生理現象
犬が咳をしている原因のひとつが、喉に刺激を感じたときの生理現象です。具体的には、ホコリのような異物が入ったときや、冷たい空気を吸い込んだとき、冷たい水を飲んだときなどに体を守るための防御反応として咳が出ます。
また、リードを強く引っ張られて首に外的な圧力がかかった場合や、興奮しすぎて呼吸が乱れた場合などにも、むせるように咳き込むことがあるでしょう。
これらの原因で起こる咳は、ごく一時的なものなので特に心配する必要はありません。時間が経てば咳は収まりますし、体調にも問題がない場合が多いと思います。
ただし、異物を飲み込んでしまったことで喉に違和感を覚え、咳き込んでいる場合は注意が必要です。壊れたおもちゃの破片やクッションの綿などを飲み込むと、一時的に喉に痛みや異変を感じるだけでなく、その後食堂や腸内に詰まってしまうことがあります。
誤飲や誤食は重大な事故につながる恐れがあるため、咳をしていてその可能性が考えられる場合は念のため動物病院に相談するようにしてください。
2.アレルギーや喘息
人間と同じように、犬もアレルギー反応を起こすと咳をすることがあります。アレルギーの原因は様々で、ハウスダストや花粉、食べ物などが考えられますが、それらに接したときにアレルギー症状が出るのです。
また、気管支が急激に収縮して呼吸に異常をきたす喘息によって咳き込むこともあります。喘息の場合、かなり激しい咳が止まらなくなり、息苦しそうな様子を見せます。
犬の喘息は、アレルギー反応が出たあとに発症することが多いとされているため、アレルギー体質の犬の場合は喘息が起きたときの対応も相談しておくようにしましょう。
3.呼吸器や心臓系の疾患
犬が頻繁に咳をする原因には、以下のような疾患も可能性として考えられます。
気管支炎
口で取り込んだ空気を肺に送るための気管支で、炎症が起こる気管支炎の症状にも咳が挙げられます。
炎症を起こすことで気管支が狭くなり、呼吸がしにくくなり、悪化すると呼吸困難におちいることもあります。
気管支炎が起こる原因には、アレルギー物質やウイルス、細菌など様々なものが考えられます。
気管虚脱
気管虚脱とは、呼吸をしたときに気管がへこんだ状態になり、うまく肺に空気を取り込めない状態を言います。
喉へのちょっとした刺激で軽い咳をくり返したり、ガーガーという呼吸音が聞こえたりする場合は気管虚脱を起こしている可能性があります。
気管虚脱はチワワやヨークシャーテリアのように喉が細い犬や、パグやブルドッグのような短頭犬種に起こりやすいとされています。
フィラリア症
フィラリア症は蚊が媒介する疾患で、心臓や肺動脈に寄生虫が寄生することで様々な症状を引き起こします。食欲不振や嘔吐、咳、腹水などの症状が見られ、放置すると死に至ることもあります。
一昔前とは異なり、早い段階で治療ができれば投薬によって完治することも可能なので、定期的な駆虫と早期発見が重要だとされています。
肺炎
肺は呼吸をする上で非常に重要な器官です。そのため、肺に異常が起こると咳の症状が出やすく、ウイルスや細菌に感染して肺炎を起こしたときにも咳をくり返すようになります。
それ以外にも、水や食べものが誤って気道に入ってしまうと、誤嚥性肺炎を起こすことがあります。慌てて食べる癖のある犬や、飲み込む力が弱くなった老犬などに起こりやすいので、食事の際は十分注意して観察してあげましょう。
僧帽弁閉鎖不全症
肺と同様に、心臓に異常が起きた場合のも咳き込むことがあります。心臓内にある僧帽弁がうまく閉じなくなってしまう疾患で、年齢を重ねた小型犬に起こりやすいとされています。
呼吸が上手くできなくなるため息切れしやすくなったり、少し動いただけで咳き込んだりするようになります。
まとめ
犬が咳をすることはめずらしくありません。冷たい水を飲んだり、首輪を引っ張られたりしたときに、一時的に刺激を感じて咳き込むこともあるでしょう。そのような場合は特に心配する必要はありませんが、呼吸器や心臓の疾患が原因で咳をしている可能性もあります。
咳をすることが増えたと感じたときや、咳以外にも体調の変化があるときは念のため動物病院で相談したり、検査を受けたりすることをおすすめします。