1.チョコレート
犬にとって危険な食べ物として有名なもののひとつが、「チョコレート」ではないでしょうか。厳密にいうと、チョコレートに含まれているテオブロミンという成分を摂取することで、犬は中毒症状を引き起こしてしまうのです。
テオブロミンはチョコレートの原料であるカカオマスに含まれる成分なので、カカオマスを含んでいるココアなどでも中毒症状を起こします。
反対に、中毒成分を含むカカオマスを使用していないホワイトチョコレートの場合は、テオブロミンによる中毒症状は起きません。ただし、消化不良などの原因になるため、ホワイトチョコレートもできるだけ犬には食べさせない方がいいでしょう。
チョコレートをどの程度食べると危険なのか、ということについては、多くの飼い主さんが気になるところだと思います。
一般的に、『犬の体重1kgあたり100mg程度のテオブロミンが致死量となるとされています。また、体重5kgの小型犬の場合、一般的な板チョコ2枚分程度で中毒を起こすとされていますが、個体差が大きいため、2枚以内なら安全というわけではありません。
食べたチョコレートにどの程度のカカオが使用されているかということや、犬の体質の影響で、ごく少量でも中毒を起こして死亡してしまうこともありますし、たくさん食べても問題がなかったということもあります。
実際のところ、その犬にとっての致死量は食べてみないとわからないので、そもそも犬には絶対にチョコレートを与えないようにする必要があります。
2.ねぎ類(玉ねぎ、長ねぎ、にらなど)
チョコレートと並び、「犬に与えてはいけない食べ物」として広く知られているのが、ねぎ類だと思います。
玉ねぎや長ねぎ、にらなどのねぎ類には、アリルプロピルジスルフィドという成分が含まれており、この成分が中毒症状を引き起こすためです。
アリルプロピルジスルフィドが体内に摂取されると、赤血球が破壊されて溶血性貧血を起こしてしまいます。症状としては、血尿や嘔吐、下痢、体のふらつきなどが見られ、最悪の場合死に至ることもある恐ろしい中毒です。
中毒を起こすのは、体重の0.5%以上を摂取したときだと言われることがありますが、それ以下でも症状が発現した例もあるので、安全な量というものは断言できないのです。
また、アリルプロピルジスルフィドは加熱しても変質せず、水分に溶け出す性質を持ちます。そのため、ねぎそのものを食べなくても、ねぎが入っていたスープや煮汁を飲むだけでも同様の中毒を起こす可能性があるので気をつけてください。
さらに、症状は食べてすぐに出るのではなく、数日経ってから出ることもあります。万が一食べてしまった場合は、動物病院に相談の上、しばらくの間健康状態をしっかりと観察するようにしましょう。
3.ぶどう・レーズン
最近では、皮ごと食べられるぶどうが増え、スーパーなどでも様々な品種が販売されています。年間を通して、家庭でも食卓に上る機会が多いフルーツだと思いますが、犬にとっては危険な食べ物なので注意が必要です。
犬がぶどうを食べると、腎臓に悪影響を及ぼすことがわかっています。中毒症状としては、嘔吐や下痢などが見られますが、急性腎不全に陥ることもあり、最悪の場合死に至ります。
ぶどうによる死亡事例は、2000年代になってから注目されるようになっているため、犬にぶどうを与えてはいけないということを知らない飼い主さんも少なくありません。手軽に食べられるフルーツだからこそ、つい「おすそ分け」してあげたくなることもあると思いますが、絶対にしないようにしてください。
どの程度ぶどうを食べると危険かということですが、こちらについても明確にはなっていません。過去に中毒症状が現れた例としては、体重1kgあたり生のぶどうの場合は3g、レーズンの場合は2.8g以上というものがあります。
個体差もあり、どの程度なら食べて安全かということはわからないので、チョコレートやねぎ類と同様に、少量でも与えないようにすることをおすすめします。
まとめ
この記事では、犬にとって特に危険な食べ物を紹介しました。いずれも食べると中毒症状を起こし、重篤な状態に陥り、最悪の場合死に至る可能性があるものばかりです。
しかし、どの食材も飼い主さんにとっては美味しく安全に食べられるもので、多くの一般家庭にあるものばかりだと思います。
直接与えることはしなくても、ちょっとした隙に愛犬が口にしてしまうことがないように、保管には十分気をつけてください。