犬が膝の上に乗るのは立場の逆転なのか
もし「犬の膝の上に乗るのは立場が逆転しているからだ!」と言い出す人がいたら、ぜひ最新の科学的研究を知るべき、とおすすめしてあげたいです。今となっては「膝の上」云々の説は、都市伝説以外のなにものでもありません。
そもそも犬は人間に対して主従関係を求めていませんし、同じ犬同士であっても縦ではなく横のつながりでできています。
例えば人間の子供で考えてみてほしいのですが、子供が同じ子供同士や大人に対して接するときに、上下関係を意識してなにかアプローチをしてくることはあるでしょうか。
犬は人間の2〜3歳ほどの知能と同程度と言われており、一緒に生活をしていると(本当に子供と同じだな…)と感じてしまうくらい似たような行動や態度を示します。
だからこそ小さい子供を思い出してみてほしいのですが、彼らや彼女らは決して上下関係を意識してはいませんし、単純に快か不快か、メリットかデメリットかで取るべき行動を決めて生活をしています。
犬が「膝の上に乗る」本当の意味
では、なぜ犬は人間の膝の上に乗ってくるのでしょうか?
先述したように、犬は快適か不快か、そしてメリットがあるのかデメリットがあるのかで判断して行動をしています。そのため、膝の上が単純に犬にとって快適だったり、乗ることでなにかメリットを感じているに過ぎません。
犬の専門家もしくは専門家に限らず『上下関係』や『下剋上』という言葉をよく使う人は、そのような自分にとってのメリットを求めて行動する犬に対して、「関係性が崩れている」といいます。しかし、逆になぜ自分のメリットになることを求めて行動することが、関係が崩れていることになるのかが不明です。
人間だって、小さな子であれば大好きな両親や先生のお膝に積極的に座りますし、大人でも好きな人相手にそうした行動を見せますが、その行為は「関係が崩れている」証なのでしょうか。私はそうは思いません。
犬にとっても、快適か不快か、メリットがあるのかデメリットがあるのかで判断して行動しているだけなのです。
犬の座布団で何が悪い?
「犬が膝の上に乗るのは、あなたを主人ではなく『座布団』としか思っていない」という専門家もいます。そんなことを専門家の立場から言われたら、このままではいけないしなんとかしなくては!と思う飼い主さんもいるでしょう。
けれども、その前にぜひ自分自身で考えてみてほしいのです。
「犬の座布団で何が悪い?」
どうでしょう?犬があなたのことを仮に座布団だと思っているとして、あなたと生活を共にするうえでなにか困ることがあるでしょうか。
もし困ることがあるとしたら、膝の上の犬が可愛くて動きたくない…というくらいではないかと思います。
犬との関係性云々を言うのであれば、自分のことを信頼し、安心できる相手だと認識してもらう方がよほど重要であり、従わせるための関係性など必要ありません。
まとめ
『犬が膝の上に乗るのは立場の逆転』という意見は、まだまだ根強く残っています。
しかしそれには科学的根拠はないため、健全に犬との関係性を築くには大きな問題となる考えと言えるでしょう。
仮にその説の通り立場が逆転していたとして、犬があなたの膝の上に乗ることに特別な問題はないはずです。
犬があなたの膝の上に乗るのは単純に快適だと感じていたり、それをすることでメリットがあるからで、それ以上でも以下でもありません。
もし本当に犬との関係を良好なものにしたいなら、そのような「どちらが偉いのか?」というような関係性ではなく、犬が安心できると思えるような関係性になれるよう努力をしてほしいと思います。