1.歩くスピードが遅くなる
犬が年齢を重ねると足腰が弱くなるため、少しずつ歩くスピードが遅くなったり、すぐに疲れた様子を見せるようになったりします。
筋力が低下したり関節の軟骨がすり減ったりすることで、ひざや腰に負担がかかりやすく、痛みを感じたり思うように体を動かせなくなったりするのです。そのため、運動した後に後ろ足が震える様子が見られるようになることもあります。
ただし、足腰が弱って若い頃のように走れなくなったり、運動をしたときに疲れやすくなったからといって散歩自体をやめてしまうのはNGです。「運動で疲れるとかわいそう」と思う飼い主さんもいるかもしれませんが、適度な運動をやめてしまうとますます筋力が衰えて、体を支えられなくなったり体力が低下してしまったりします。
自力で動けるうちは、ゆっくりでも短い距離でもかまわないので、犬の体力に合わせて無理のない範囲で散歩を続けましょう。
また、犬にとって散歩はストレス発散や、精神的な刺激を感じる機会となる大切な時間です。そのため、短時間でも散歩に出たり抱っこやカートを利用して外の空気を吸わせてあげたりするといいでしょう。
2.段差の前でためらうようになる
犬が年を取ると足腰が弱って踏ん張りが効きにくくなります。そのため、ソファやベッドなどにのぼったり、階段を降りたりすることを躊躇するような仕草を見せるようになることがあります。
足の筋力が低下するとどうしても足を高く上げることがむずかしくなり、ちょっとした段差でもつまずいてしまったり、階段を降りるときに体を支えきれずすべり落ちてしまったりするのです。これは私たち人間でも同様のことが言えるでしょう。
これまではスムーズに登ったり降りたりする段差の前で一瞬躊躇したり、飼い主さんの顔を見上げて助けを求めたりするようになったら、足腰が弱くなっているのかもしれないということを意識してみてください。
これ以上関節に負担をかけたり、怪我をしたりすることのないように、できるだけ段差の利用は避けるようにしましょう。
3.排泄時によろける
前述した通り、年齢を重ねた犬は筋力が低下しているため、自分の体を支える力も弱くなっています。そのため、走ったりジャンプをしたりといった行動ができなくなり、次第に歩くことすら大変になることもあります。
特に後ろ足の筋力は衰えやすいので、少し運動しただけで震えることも多く、歩くときに後ろ足を引きずるようになることもめずらしくありません。また、排泄時にしっかりと踏ん張ることができずによろけてしまったり、なかなか排泄の体勢を取れなくなってしまったりすることもあります。
このような場合は、飼い主さんが後ろから体を支えたり、介助用ハーネスを利用したりするといいでしょう。
4.物音や声掛けに反応しない
飼い主さんの帰宅時に鍵の音を聞きつけて玄関まで走って迎えに来ていた犬が近づくまで帰宅に気がつかなくなることがあります。また、おやつが大好きな犬がおやつの袋のガサガサ音に気がつかなくなることがあります。
このように、物音や声掛けへの反応が鈍くなったと感じたとき、犬の老化現象として耳が聞こえにくくなっていることが考えられます。
耳が聞こえにくくなると、見えない場所から触ったときに驚いてしまうようになったり、必要以上に警戒心が強くなったりすることがあります。犬が安心して暮らせるように、きちんと犬の視界に入ってから触るようにするなど、配慮して接するようにしてあげましょう。
5.熟睡している時間が長くなる
犬は基本的によく眠る動物で、成犬であっても1日の半分程度を寝て過ごしています。老犬になると体力が低下するため、さらに寝ている時間が増えて、1日の大半を寝て過ごすようになるでしょう。
また、若いときは敏感に感じ取っていた様々な気配や物音にも気がつきにくく、余計に目が覚めにくいことで、長い時間熟睡しつづけるという傾向もあります。老犬が寝ていたり、横になって体を休めていたりするときは、必要以上にかまうことはせずゆっくりと休ませてあげるようにしましょう。
まとめ
犬種によって異なりますが、犬は7歳前後からシニア期に入るとされています。いつまでも一緒に暮らしていたい飼い主さんからすると、それはあまりにも早いタイミングだと思います。
また、突然「老犬」になるのではなく、少しずつ体力や筋力が衰えたり耳が遠くなったりしていくため、意識していないと愛犬が年老いたことを実感できない人も多いかもしれません。
しかし、若い頃のままの生活を続けることは、大切な愛犬の心身に負担をかけることにもなりかねません。
犬の年齢や状態に合わせた適切な接し方ができるように、日頃から愛犬の様子にしっかりと目を配ってあげてくださいね。