1.寝床を整えている
犬がベッドやクッション、マットなどの上でくるくると回っている場合は、寝る場所を整えようとしていることが考えられます。くるくると回った後に納得したように、その場に伏せたり丸まったりして休んでいるのであれば、寝床が整ったということでしょう。
野生の世界で生きていた犬の祖先となる動物たちは、草や落ち葉の上などで寝たり休んだりしていたため、その下に危険なものが落ちていないか、害虫がいないかなどを確認してから乗っていました。また、寝心地がよくなるように足で踏みしめて整えていることもあると思います。
こうした習性の名残りで、現代の犬たちも自分の寝床を整えたり、安全を確認したりするために、寝る前にくるくる回る行動が見られます。
2.トイレする場所を探している
犬はオシッコやウンチをする前にも、その場をくるくると回ることがあります。寝場所の安全確認と同様に、トイレをする場所に危険なものが落ちていない、また危険な生き物が潜んでいないかということを確認しているのです。
野生の世界では、睡眠中に並んで排泄中も非常に無防備になる状態です。そのため、寝る前や排泄前には、その場所で安心していられるかを念入りに確認するのです。
3.気になるものがある
犬が地面のにおいを嗅ぎながらくるくる回っていたり、何かを追いかけるように回っていたりするときは、気になることがあるのかもしれません。地面に他の犬のにおいがついていたり、食べもののにおいがしたりすると気になって、時間をかけてあらゆる方向からにおいを嗅いで確認するのです。
また、空中に漂うにおいを嗅いでいる場合もありますし、チラチラと動く光や影が気になっている場合もあります。なかには、ほんの少しだけ視界に入る自分の尻尾が気になって、くるくる回って追いかけ回すこともあるでしょう。
夢中になって楽しそうに回っているようであれば、何か気になるものがあるのかもしれませんね。
4.ストレスが溜まっている
犬が同じ場所を無心になって回っている場合、ストレスによる常同行動を起こしていることも考えられます。常同行動とは、強いストレスを感じたときやストレスに長い期間さらされたときなどに起こるもので、意味のない行動をひたすらくり返すものです。
これは退屈や不安、寂しさなどを感じたときにも起こるので、くるくる回る行動が見られたとき、引っ越しをした、留守番が長かったなど生活に変化はなかったか確認しましょう。思い当たることがあれば、回る行動を叱ったり止めたりするのではなく、遊んだりスキンシップをしたりしてストレスケアを心がけましょう。
5.病気や認知症による影響
近年では、高齢化が進んだことで認知症を患う犬も増えてきました。その症状のひとつとして、同じ場所をくるくると回ることがあるのです。この場合はぐるぐる速く回るというのではなく、やや大きめの円を描くようにゆっくり歩き回るといった様子が見られます。
また、壁などにぶつかったり、狭い場所に入り込んで出られなくなったりすることもあるので、認知症の症状が出ている場合は、生活空間の安全確保が必要です。さらにごくまれではありますが、脳機能や平衡感覚を司る前庭神経に異常が起きていることもあります。
愛犬の行動におかしな様子が見られることが増えたら、一度動物病院で検査してもらうといいでしょう。
まとめ
犬がくるくると回るのは、においを嗅いだり足で踏みしめたりして安全確認をしていることが多く考えられます。
そのほかにも、自分の尻尾や影を追いかけて遊んでいることもあるでしょう。
多くの場合は、問題視するようなことではないので放っておいてかまいませんが、なかにはストレスや病気の影響の可能性もあります。回る行動が気になりだしたら、それ以外にも異変がないかしっかり観察してみましょう。