餓死寸前まで追い込まれたシベリアンハスキーをレスキュー
通報
近隣で飼われているシベリアンハスキーの状態を心配した住民から、RSPCA (英国王立動物虐待防止協会) 南オーストラリアに通報がありました。通報を受け現場の住宅に向かったRSPCAのインスペクターが目にしたのは悲惨な光景でした。
誰もいない民家のフェンス越しにインスペクターが見たのは、ガリガリに痩せた2匹のシベリアンハスキー。なんとか裏庭に入ることができたインスペクターは保護を試みましたが、そのうちの1匹、3歳の男の子「ジェダイ」はすでに力尽きていました。もう一方の8歳の女の子「スノー」は極限の状態ながらも命を繋いでいました。
スノーの被毛は抜け落ち、肋骨が浮き出し、足の筋肉が落ちて歩くのもやっとの状態です。
スノーよくがんばりました、もう大丈夫だからね!
治療
保護当時の体重は11.3kg (平均体重は20kg前後)、ボディコンディションスコア (動物の脂肪の蓄積具合を数値化したもの) は9段階の1で極度に衰弱しており、おそらく数週間何も食べていないと思われます。
検査の間RSPCAのスタッフがスノーを落ち着かせていると、スノーはキュンキュンと悲しそうに鳴き始めました。愛情に触れて「辛かったよ」とやっと訴えることができたのかもしれません。
なすすべもなく力尽きてゆくジェダイを見送ったスノーの心の傷は人間には計り知れないものですが、体の傷同様に癒す必要があるようです。
一時預かりのお家での食事療法が始まって2ヶ月後、スノーの体重は約2倍になりました。健康を取り戻したスノーは、避妊処置を受けて里親募集に参加できるまでになりました。
永遠の家族との出会い
ある日、もふもふの家族を迎えるべくRSPCAの施設を母親と訪れたトラビスさんはスノーに一目惚れ。すぐさま家族に迎えることに決めました。
そして今ではすっかりベストフレンド、なくてはならない存在になりました!
シベリアンハスキー本来のふかふかな被毛になったスノーはとても美しいですね♪
健康になり輝く笑顔のスノー、トラビスさん一家の愛情をたっぷり受けて心の傷も癒えていくことでしょう。
元飼い主に下った判決
2匹の犬を虐待したとして、26歳と25歳のカップルに下された判決は
- 5ヶ月と12日間の自宅拘禁 (20時間の社会奉仕活動と電子監視の遵守を含む)
- それぞれ約1500ドルの費用の支払い
- さらなる命令があるまで、いかなる動物の所有も禁止
なんとなく軽すぎるようなイメージがありますが、自宅拘禁となったのは幼い子供が3人いるためのようです。刑の重さはともかく、なんの罪もない動物にこれだけの苦痛を与えたことへの反省はしっかりして欲しいと願います。
まとめ
まるで悪意のない、無邪気で健気な存在である動物をここまで虐待できるとは同じ人間として恥ずかしい限りです。お腹が空いていても辛くても言葉で伝えられない、それでも人間を信じて耐えていたかと思うと胸が張り裂けそうになります。適切なケアをしてくださる皆さんや優しい飼い主さんに出会えた今、いつまでも幸せに穏やかに暮らして欲しいと心から願います。
保護当時のスノーと現在の美しい姿はこちら
※こちらの記事は動画配信をしているYouTubeチャンネルより許可を得て掲載しております。掲載YouTubeチャンネル:RSPCA SA
RSPCA South Australia
▼ 公式サイトはこちら
https://www.rspcasa.org.au/