犬が食べ物を喉に詰まらせたときの対処法
1.気道を確保する
犬が食べ物を喉に詰まらせたときは、まずは、気道を確保します。
気道とは、呼吸をするための空気の通り道です。食べ物が詰まると空気が通りにくくなりますし、窒息する恐れがあります。ほとんど空気が通らないほどの大きさの食べ物を喉に詰まらせてしまった場合、気道を確保することで、犬の命を救うことができる可能性が高くなります。
犬が食べ物を喉に詰まらせた時、立った姿勢のままで踏ん張り、吐き出そうとします。この時、吐き出しやすい姿勢ができるようにサポートします。
- 犬の背後から行います
- 犬の前足の後ろ(横腹)から手を入れます
- その手を犬の前足の間に通し、手のひらを喉に当てるようにして支えます
喉が真っ直ぐ伸びてしまわないようにするのがポイントです。犬が少しうつむくような姿勢になるようにサポートすると、気道の確保がしやすいです。
2.背部を叩打する
気道を確保することができたら、犬の背部(肩甲骨の間)を叩打します。犬が喉に詰まらせた食べ物を吐き出そうとしているタイミングに合わせ、5回ほど強めに叩くと、吐き出すことができる可能性があります。
背部を叩打する時のポイントは、手のひらを大きく広げて叩くことです。必ず手のひらで叩き、こぶしを握って叩くのはやめましょう。
3.両サイドから胸を圧迫する
気道が確保された状態で、犬の両サイドから胸を圧迫させることで、喉に詰まらせた食べ物を吐き出させることができる可能性があります。
手のひらを大きく広げ、犬が吐きだそうとするタイミングに合わせて圧迫します。これは、チェストトラスト法と呼ばれている対処法です。
4.上腹部を圧迫する
気道を確保することができたら、犬の背後に立ち、上腹部に両手を当てます。この時、両手は指を絡めるようにします。恋人繋ぎのような握り方です。
両手を上腹部に当てたら、斜め上に突き上げるようにして圧迫します。これは、ハイムリック法と呼ばれる対処法で、基本的には中型以上の犬に行います。小型犬には行いません。
犬が食べ物を喉に詰まらせないための予防策
ではここからは、犬が食べ物を喉に詰まらせないための予防策について、原因ごとに解説します。
ドッグフードを早食いさせないようにする
犬がドッグフードを早食いした時、喉に詰まらせてしまうことがあります。早食いしてしまうと、口の中いっぱいにドッグフードを入れ、ほとんど噛むことなく飲み込んでしまう、という特徴があります。
- 少量ずつお皿に入れる
- 早食い防止の器を利用する
- 一粒ずつ手で与える
このような方法で、食べ物を喉に詰まらせることを予防することができます。
大きい食材を与えない
犬に大きい食材を与えると、喉に詰まらせてしまうことがあります。
ブロッコリー、さつまいも、りんご、鶏肉、このような食材をトッピングやおやつとして与えることがあるのではないでしょうか。よく噛んで食べなければ、喉に詰まらせてしまいやすい食べ物ばかりです。
予防策は、愛犬が食べているドッグフードと同じくらいの大きさに切ってから与えるようにする、ということです。さらに小さいサイズでもよいと思います。
個包装された人間用のお菓子等を置きっぱなしにしない
ドッグフードよりも食材よりも、犬が食べ物を喉に詰まらせてしまう原因として多いのが、個包装された人間用のお菓子を袋ごと丸飲みしてしまうことです。
実は、私の愛犬(中型犬)も幼い時に個包装されたバウムクーヘンを袋ごと丸飲みしてしまったことがあります。
喉には詰まりませんでしたので、獣医師に電話相談をし、しばらく様子を見ることになりました。翌日のお昼過ぎ、うんちと一緒に袋が排出され、検査によって体の中に「異物無し!」と診断されました。
一瞬の出来事なので何もできなかったのですが、本当に恐ろしいです。うっかりテーブルに置きっぱなしにしないよう、注意しなければならないですよね。
まとめ
犬が食べ物を喉に詰まらせたときの対処法を4つ解説しました。
- 気道を確保する
- 背部を叩打する
- 両サイドから胸を圧迫する
- 上腹部を圧迫する
これらの対処法は、正しい方法で行わなければ全く無意味なものになってしまいます。
飼い主が冷静に判断し、正しく行うことができるかどうか。これまでに経験がない場合、正直、難しいのではないかと思います。
実際に起きてしまった時、試してみるかどうかはご自身の判断と責任です。まずは、愛犬が食べ物を喉に詰まらせてしまうことがないよう、対策するとよいと思います。