犬のQOLとは?
『QOL=Quality of life(クオリティオブライフ)』とは、人生の豊かさを図る言葉として以前から使われていますが、最近は犬や猫等の「動物のQOL」が話題になっています。
犬の幸福度は見た目だけで判断できず、飼い主としては幸せにしてあげたいと願う反面、犬にとっての幸せは何かわからず不安になることがあるものです。
そこで登場するのが犬のQOLです。QOLを直訳すると「生活の質」という意味になりますが、犬の場合は動物福祉(アニマル・ウェルフェア)の理念として掲げられている「5つの自由」が尺度となっています。
- 飢えや渇きからの自由
- 不快からの自由
- 苦痛障害病気からの自由
- 恐怖抑圧からの自由
- 正常な行動を表現する自由
物理的にいい飼育環境を提供するだけでなく、犬が精神・肉体的に幸せに暮らせることが飼い主に求められています。この5つの自由は、2012年から動物愛護法の基本原則となっているのでぜひ覚えておきましょう。
犬が犬らしく幸せに生きるためには、一体どうすればいいか考えることがとても大切です。
犬の幸せ度を高める3つのポイント
「犬を幸せにしたい」という想いは、飼い主さんなら誰しも持っているはずです。
犬を幸せにすることは、決して甘やかすことではないことはご承知かと思います。しかし、実際にどんな行動をすればいいのか、わからないものですよね。
今回は、QOLの観点からわかる犬の幸せ度を上げるポイントをご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
1.コミュニケーションをしっかり行う
体調や機嫌はいいのか、何が好きで嫌いなのか、今日は楽しく生きているのかなど、犬の小さな変化に気づくためには綿密なコミュニケーションを軸に置かなければなりません。
しつけトレーニングも大切ですが、スキンシップをしながら愛犬への理解を深めてあげることが、結果として犬にとっての喜びであり幸せなのではないでしょうか。
とくに、言葉が話せない犬の体調はいち早く気づきたいものです。毛のツヤがあるか、ケガはないかなど、昨日と今日の違いがいえるほど犬に関心を持つことで犬のQOLは上がります。シニア期を迎えた犬であれば、1日の関わりがより重要になってきます。
犬がいなくなってから「こうすればよかった」「幸せだったかわからない」と悔やんでしまうものですが、そのような後悔を少しでも減らすには、愛犬と日々関わっていくしかありません。体は衰えても、犬の心の豊かさをQOLによって考えることができます。
2.快適な住環境を維持する
犬の生活の質を上げるために必要なのは、快適な住環境の維持です。それはセレブリティな暮らしという意味ではなく、清潔で水分や食べ物に不十分がない暮らしを指します。
犬が体を休められる清潔な寝床があり、体にやさしい栄養補給と水分補給を与え続けることは決して簡単なことではありません。飼い主自身の生活を送りながら犬の世話をすることは並大抵のことではないため、犬を迎え入れる際には相当な覚悟が必要です。
金銭的な問題も発生するので、責任を取れる範囲での飼育も求められます。ただ犬を甘やかすことがQOLではなく、快適な生活を変わりなく与え続けることが本当の意味でのQOLです。
3.犬の本能を刺激する体験
人間社会の中で生きる現代の犬は、室内での飼育が当たり前のようになっています。その上で、犬らしさを求めることは少々難しくなっていますよね。
愛犬に犬らしい生活をさせたい時にできることは何かといえば、散歩中に匂いを存分に嗅がせてあげる、たまには広い場所で走り回らせてあげるといった簡単なことで大丈夫です。犬は匂いを嗅いだり、外の世界を歩いたりすることで刺激を感じることができます。
小型犬だから外の散歩は不要だと考える方も増えていますが、家の中だけではストレス発散がうまくできません。犬の本能を刺激する体験をさせてあげることが、犬のQOLで大変重要なポイントです。
歩行が困難になってきても過剰な補助をするのではなく、犬自身の「歩きたい」「動きたい」という気持ちを損ねない程度のサポートを行うことも大切ですね。犬の気持ちに寄り添うことは難しいものですが、迷った時は「もし自分が犬だったらどうだろう?」と考えてみてはいかがでしょうか。
まとめ
一緒に暮らす愛犬には豊かな人生を送ってほしい、そう願うのはどの飼い主さんも同じだと思います。人間より年齢を重ねるスピードが早い犬ですから、1日1日を大切にしたいですね。
犬の幸せを考えること自体が犬のQOL向上につながります。そしてそれを実行することで、犬が犬らしく幸せな人生を送りやすくなります。ぜひ1度、愛犬にとっての本当の幸せについてじっくり考えてみてください。