1.他の人や犬に吠えているとき
犬が散歩などで他の人や犬に向かって吠えているときなどに、気をそらすためにおやつを出して与えたり、「やめなさい」と言いながら抱っこをしてなだめたりするのはNGです。
このようなことをすると、犬は「吠えているとご褒美がもらえる」「吠える行動を飼い主さんも応援してくれている」と間違った学習をしてしまう可能性が高いのです。
おやつのようなわかりやすいものだけでなく、飼い主さんの声かけやスキンシップも犬にとってのご褒美になります。そのため、不用意にご褒美を与えないようにしましょう。
2.犬が怖がっているとき
「犬が吠えたり攻撃的な態度を見せているときに、ご褒美となるような接し方をしてはいけない」と書きましたが、それと同様の理由で、犬が怖がっているときにもご褒美をあげてはいけません。
苦手なものや怖いものを克服するために、ご褒美を与えて慣れさせるということは確かに効果的なトレーニングです。しかし、それは明らかに怖がる様子を見せる前の段階でご褒美を与え、少しずつ強い刺激に慣らしていかなければなりません。
すでに怖がっている様子のときにご褒美を与えると、「怖がる」という行動が強化されてしまうことがあります。「怖がっていれば飼い主さんが助けてくれる、甘えさせてくれる」と思って、不安や恐怖を克服できなくなってしまうのです。
3.犬を叱っているとき
多くの飼い主さんは「犬を叱るときに、ご褒美なんかあげるはずがない!」と思うことでしょう。しかし、実は飼い主さんが気づかないうちに、ご褒美となるものを与えてしまっていることがあるのです。
飼い主さんのことが大好きで、とにかくかまってもらいたいと思っている犬にとっては、飼い主さんから注目されることや声をかけられること、体に触れられることがご褒美に感じられます。そのため、飼い主さんにかまってもらいたくて、わざといたずらやトイレの失敗をしたり、吠えて騒いだりする犬もいます。
そのようなときに、優しく「だめだよ」と声をかけたり、「こら!」と言いながら抱き上げたりすると、犬にとっては叱られているというよりも、ご褒美をもらった気分になってしまいます。
飼い主さんにかまってもらうためにいたずらなどをしている犬には、あえて声もかけず目も合わせず無視をするようにしましょう。犬の性格によっては、「叱られることすらうれしい」と感じてしまうことがあるので、叱り方には注意してください。
4.犬がご褒美を要求しているとき
おやつやおもちゃ遊び、飼い主さんとのスキンシップといった、犬にとってのご褒美をもらうために、犬は様々な行動を起こします。その例として、飼い主さんの目の前に来ておすわりや伏せなどを披露したり、おもちゃを持ってきてぐいぐいと押しつけてきたりすることがあります。
このような行動に対して、毎回応じてしまうと、犬にとってはそれが当たり前のことになってしまうことがあります。そして、その要求に応じてもらえないと、吠えたり噛んだりして強引に従わせようとするようになることも…。
ご褒美を与えるのは、絶対に飼い主さんからの発信で行うべきことです。犬がご褒美をもらうためにした行動に対して、要求通り常にご褒美を与えていると、犬はどんどんわがままになってしまうことがあるので、対応には気をつけてください。
まとめ
この記事で解説してきたように、犬にとってのご褒美は、必ずしもおやつやおもちゃのように形となってあらわせるものだけではありません。
ご褒美とは、「もらってうれしいもの・こと」のことを指すため、飼い主さんのことが大好きな犬の場合は飼い主さんになでてもらったり、声をかけてもらったりすることも十分ごほうびとなるのです。
反対に、犬の好みを考慮せずにご褒美のつもりでおやつを与えても、実際はあまり喜んでいないということもあります。
まずは愛犬にとって何がご褒美になるか、ということを考えてみてください。そして、知らない間にご褒美を与えてしまっていることがないか、ということも見直してみましょう。
犬を本当に喜ばせることのできるご褒美は、くれぐれも適切なタイミングで与えられるように意識してください。