「ウルフドッグ」とは
ジャーマン・シェパード・ドッグ等の犬とオオカミを交配させた犬種を「ウルフドッグ」と呼びます。「オオカミ犬(おおかみけん」)と呼ばれることもあります。
ほとんど見かけることのない犬ですが、日本で暮らすウルフドッグは500頭くらいいるのではないかとされています。
ウルフドッグの種類
国際畜犬連盟(FCI)に公認されているウルフドッグの種類には、チェコスロバキアン・ウルフドッグとサールロースウルフドッグがあります。
チェコスロバキアン・ウルフドッグ
ジャーマン・シェパード・ドッグとカルパチアン・ウルフの交配によって誕生しました。
甘えん坊な一面がある一方で、オオカミの本能によって狂暴化する恐れがあるとも言われています。
平均寿命は12年~16年ほど。体重は20㎏~26㎏ほど。大きな個体では、50㎏を超えることもあるとされています。
毎日、2時間~3時間の散歩や運動を必要とし、高い身体能力を持っています。2m程度の高さであれば軽々と越えられてしまうため、庭に出す時は目を離さないよう注意が必要です。
サールロースウルフドッグ
『Leendert Saarloos』という人物によって生み出された犬であることから、「サールロース」と名付けられたとされています。
オランダ原産のウルフドッグで、飼い主や家族への従順さ、オオカミの本能による用心深さを持っています。
体重は40㎏程度あり、平均寿命は10年~12年と、大型犬と同じくらいです。毎日、1日2時間以上の散歩や運動を必要とし、十分な広さのある場所での運動が望ましいとされています。
ウルフドッグには、飼い主が自転車に乗って併走する運動がよいと言われることがありますが、日本では法律によって禁止されています。刑事罰の対象にもなりますのでやめましょう。
ウルフドッグを飼う際に求められる条件
では、ウルフドッグを実際に飼おうとした場合、その難しさはどのくらいなのでしょうか?
ここからは、ウルフドッグを飼う際に求められる条件を解説します。
庭付き一戸建て持ち家が望ましい
ウルフドッグは狭い空間が大嫌いです。ここが、狭く薄暗い空間を好む犬との大きな違いです。
広い空間を自由に動き回れる環境でなければ暮らすことができないため、犬のために自由にできる庭付き一戸建ての持ち家が望ましいでしょう。アパートやマンションでの暮らしでは窮屈に感じ、ストレスになってしまう可能性も。
また、室内が広いことだけではなく、日差しや風を感じられる広い庭もあった方が望ましいでしょう。
散歩は1日2時間以上
ウルフドッグは運動量が多く、体力もあります。飼い主との散歩を運動とするのであれば、毎日、2時間以上を必要とします。朝1時間、夕1時間といった具合でしょうか。
散歩に連れて行くための時間の確保も必要ですが、飼い主の体力も必要です。運動不足によるストレスが、ウルフドッグを狂暴化させてしまうことがあると言われているため、絶対に不足させてはなりません。
多頭飼いが望ましい
ウルフドッグはオオカミの血を引く犬です。群れで暮らすことへの執着心が強いとされており、1頭では不安を感じやすく、臆病になってしまいます。
オオカミ本来の群れで暮らすという環境を与えることで安心して暮らすことができるため、ウルフドッグ数頭の多頭飼いが望ましいのです。
基本的には、1頭で飼うことは避けた方がよいとされ、1頭で飼う場合には、人が常に在宅している環境であることが望ましいです。
まとめ
オオカミとしての特性の強いウルフドッグは、飼い主との密なコミュニケーションを望む犬です。群れでの暮らしに執着があるからでしょう。飼い主との適度な距離を望む犬との違いです。
しつけは犬とほとんど変わりませんが、飼い主が確実にリーダーとなること、主従関係を明確にすることが望ましいです。
オオカミとしての特性で言いますと、縄張りを持ち、他の群れとの接触を嫌うことから、飼い主や家族以外との交流や触れ合いはあまり好まない可能性が高いです。
憧れを持つ人も多い魅力的な犬ですが、飼うことはそう簡単ではないようです。