愛犬の可愛がりすぎに注意を
愛犬をわが子同然、あるいはそれ以上に可愛がる飼い主さんは多いです。愛犬を愛し、可愛がるのはいいことなのですが、必要以上に可愛がりすぎるのは考えものです。
なぜかと言うと、可愛がりすぎによってさまざまな問題が起こり、愛犬と飼い主さんの幸せや健康に影響を及ぼす可能性があるからです。
では、飼い主さんが愛犬を必要以上に可愛がりすぎると、どのような問題が起こるのでしょうか?以下からご紹介していきます。
愛犬を必要以上に可愛がりすぎることで起こる問題
1.わがままになる
愛犬を可愛がりすぎている飼い主さんは、愛犬のために尽くす傾向があります。愛犬がおやつを欲しがればおやつを与え、遊びたがれば一緒に遊び、散歩へ行きたがれば散歩へ連れて行くという具合に、おねだりに応えてしまうのです。
その結果どうなるかと言えば、愛犬は「おねだりすれば何でも言うことを聞いてもらえる」と学習し、わがままになるでしょう。
わがままな犬は要求が通るまで吠え続けたり、要求を通そうとして飼い主さんに噛みついたりするなど、困った行動を起こすようになります。そうなってからわがままを直すのは難しいので、愛犬がわがままにならないようにすべきです。
愛犬がわがままにならないようにするために重要なのは、おねだりには応じないこと。愛犬が吠えたり鳴いたり、飛びついたりしておねだりをしてきても無視を貫きましょう。愛犬に我慢や諦めを教えるのも飼い主さんの大切な役目です。
2.分離不安になる
家にいると、愛犬とずっとベッタリで過ごしてしまうのは、愛犬を可愛がりすぎている飼い主さんのあるあるでしょう。愛犬とのコミュニケーションは大事ですが、ずっとベッタリだとお互いに依存してしまう可能性があります。
飼い主さんに依存している犬は、分離不安になりやすいです。分離不安とは、飼い主さんと離れると大きなストレスや不安を感じ、体調不良や問題行動を起こすことを言います。
飼い主さんがいなくなると吠え続けたり物を破壊したりするので、安心して留守番をさせることができなくなってしまいます。
お互い依存しないためにも愛犬と別々に過ごす時間も必要です。一日中愛犬と一緒にいられる日でも、敢えて飼い主さんは別の部屋で過ごしたり、愛犬をハウスに入れたりして、数時間は別々に過ごすようにしましょう。
3.肥満になる
飼い主さんに可愛がられすぎている犬は、肥満になりがちです。その理由は、おやつや人間の食事をおねだりすればもらえることが多いからです。
おねだりしたものをうれしそうに食べている愛犬を見ていると、飼い主さんは幸せな気持ちになるでしょう。しかし愛犬が食べすぎによって肥満になれば、愛犬の健康が蝕ばれてしまいます。肥満は糖尿病や膵炎、心臓病、関節炎などを引き起こし、寿命も縮めてしまうのです。
愛犬のことを大事に思うのなら、欲しがるままに食べ物を与えてはいけません。おやつは愛犬が1日に必要な食事量(エネルギー量)の10%以内にとどめ、与えたおやつ分、フードの量を減らす必要があります。人間の食事は、犬にとって砂糖や塩分、脂肪分が高すぎるため、与えてはいけません。
4.信頼関係を築けない
愛犬を可愛がりすぎている飼い主さんは、愛犬に好かれても頼れる存在とは思われていないことが多いです。可愛がるだけでは愛犬からの信頼を得ることはできないからです。
愛犬にとって飼い主さんが頼れる存在でなければ、愛犬は安心して過ごすことはできませんし、何より信頼関係を築くことができません。飼い主さんと愛犬との間に信頼関係がないとしつけが上手くいかなかったり、いざというときに愛犬が言うことを聞いてくれなかったりします。
犬は、必要に応じて毅然とした態度で正しい行動を教え導いてくれる人に信頼を寄せます。愛犬をただただ可愛がるだけではなく、愛犬がよくない行動をしたときには毅然とした態度で接して、信頼関係を築いていきましょう。毅然とした態度と言っても暴力は絶対にNGです。
5.人獣共通感染症のリスクが高くなる
犬を可愛がりすぎるあまり、過剰なスキンシップを取ってしまう飼い主さんは少なくありません。過剰なスキンシップとは、犬とキスをしたり、口移しで食べ物を与えたり、一緒に寝たりすることを指します。
こうした過剰なスキンシップは、人獣共通感染症に感染するリスクを高めるので注意が必要です。
人獣共通感染症とは、動物と人間との間でうつる感染症のことを言い、ズーノーシスや動物由来感染症、人畜共通感染症と呼ばれることもあります。狂犬病やパスツレラ症、Q熱、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)などが人獣共通感染症にあたります。
人獣共通感染症を予防するためには、愛犬とキスをしない、口移しで食べ物を与えない、一緒に寝ない、食器を共有しない、愛犬を触ったあとは手を洗う、といったことを守ることが大事です。
まとめ
今回は、愛犬を必要以上に可愛がりすぎることで起こる問題を5つご紹介しました。わが子同然の愛犬をたくさん可愛がりたくなるのは当然のことでしょう。でも可愛がりすぎると結局は愛犬につらい思いをさせてしまったり、飼い主さんが困ることになったりします。
愛犬と飼い主さんがお互いに幸せに、そして健康に暮らしていくために愛犬を必要以上に可愛がりすぎないように注意しましょう。何事も『過ぎたるは猶及ばざるが如し』です。