1.心臓病
心臓の異常が死に直結するのは想像に難くないと思います。人間の場合、いわゆる「突然死」のうち実に6割以上を心臓病が占めると言われていますが、実はこれはわんこの場合も一緒です。
「心臓病」という名称の疾患があるわけではなく、心臓のトラブルに起因するさまざまな疾患を総称してこう呼びますが、わんこの心臓病で最も多いのは「僧帽弁閉鎖不全症」。特にシニア期の小型犬で発症が多いことが知られています。
定期検査と食事管理を
僧帽弁閉鎖不全症に好発犬種があるように、心臓病は遺伝的要素が強いものや急性のものが多く、予防は難しいと言われています。そんな中でも数少ない予防可能な心臓病が「フィラリア症」ですから、毎年の定期検査と予防薬の服用を欠かさないことが大切です。
また、一般的に肥満や塩分の過剰摂取は心臓をはじめとする循環器官に大きな負担を強いることが知られていますから、フードやおやつを与えすぎることや、人間用に味付けされた食べもののおすそ分けは極力避け、健康的な食事管理をすることが大切です。
2.消化器疾患
消化器疾患というと慢性的なものや、発生から重症化まで時間がかかるようなイメージが強く、予期せずして突然亡くなってしまう「突然死」とは結び付かないかもしれません。
ですが実は消化器疾患にも突然死の原因となりうるものがあります。代表的なものが胃拡張や胃捻転です。これらの疾患を発症すると急激に血行が悪くなり、臓器が壊死して突然死を招く可能性があるのです。なお、心臓病とは反対に大型犬で好発する傾向があります。
早食いや大食いを防ぐ
胃拡張や胃捻転の原因ははっきりとはわかっていませんが、早食いや大食い、また食事直後に激しい運動をしたことが原因で消化器官にダメージを与える可能性があることが知られています。
どうしてもがっついて食べてしまうという子には、わざと凹凸を持たせた早食い防止皿の利用などで早食い・大食いを防ぐようにしましょう。
また食べてすぐにお散歩に行ったり、激しい遊びを始めたりするのではなく、食べた後にはいったんクールダウンして「食休み」をとることを習慣化するようにしましょう。
3.中毒
わんこにとって有害なものを誤飲・誤食してしまうことによって起きる中毒症状も、わんこの突然死を招く原因の1つ。特に摂取量によっては死を招く危険な食材として代表的なものは、ネギ類やチョコレート、ブドウ、キシリトールです。
体が小さく体重も少ない小型犬では、想像よりもわずかな量で致死量に至ってしまうこともあるので格別の注意が必要でしょう。
また食材の誤食だけでなく、お散歩中に除草剤や農薬に汚染された道草を食べてしまったり、道端にポイ捨てされていたタバコを口にしてしまったりといったケースも考えられます。
誤飲・誤食を防ぐ工夫を
家庭内ではわんこが誤飲・誤食してしまいそうなものは、わんこの手の届かないところに収納しておくことが何よりも大切です。
また人間にとっては全く無害のおいしい食材がわんこにとっては有毒ということもあるため、飼い主さんが正しい知識を身に着けることも怠ってはなりません。食材そのものだけでなく、食材を煮込んだ煮汁にも有毒成分が溶け出している場合があることも知っておく必要があるでしょう。
またお散歩やお出かけの際には、道端に誤飲してしまいそうなものが落ちていないかをしっかり確認し、わんこが匂いを嗅ぐなど興味を示しているようすがあれば、すぐに引き離さなければなりません。
事故による外傷
健康上に何ら問題がなかったとしても、突然の事故によって命を失ってしまうケースもあります。お散歩中にリードを放してしまったり、家のドアや門が開いていて脱走してしまったりして、交通事故に巻き込まれてしまえばわんこはひとたまりもありません。
脱走を防ぐ
交通事故の多くは脱走によって起こります。お散歩の際にはリードをしっかり持って放さない、念のためにダブルリードを使用する、家では玄関や廊下に柵を設けるなどといった対策を講じることが一番です。
また花火や雷といったわんこが驚いてしまいそうな「爆音」には要注意です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?大切な愛犬を亡くすことはどんなケースであれ辛いものですが、全く心の準備ができないままにお別れのときを迎えてしまう「突然死」は飼い主さんの心により深い傷を残し、ペットロスも重篤化する傾向があります。
もちろんどんな対策をとっていたとしても防ぎきれない突然死はあります。ですが、せめて防ぐことができるものに対しては十分な予防策をとっておきたいものです。