手間がかかる犬の方が飼い主と固い絆で結ばれる?
アメリカのカニシャス大学で動物行動学を研究する、クリスティー・ホフマン助教授の研究チームが行った調査において、「手間がかかる犬の方が飼い主と固い絆で結ばれる」ということが判明したそうです。
研究チームは犬を飼っている家族を対象に、飼い犬への愛着度や飼い犬の性格や特徴などについてアンケート調査を行い、以下の結果を導き出しました。
- 放任主義の飼い主よりも、犬の世話をよくする飼い主の方が飼い犬への愛着が強い
- 飼い主は、おとなしい犬よりも、手間がかかる犬の方と深い絆を結んでいる
- 飼い主は、飼い主の注意を引こうとしない飼い犬とはそれほど強い絆を結んでいない
- 家族の中で子どもだけは、飼い犬の性格や特徴と愛着度に相関関係はない
飼い犬と飼い主の絆
調査結果に思うこと
「馬鹿な子ほどかわいい」
今回の調査結果を知って、まずこの言葉が頭に浮かんだのはきっと私だけではないでしょう。
けれども、馬鹿じゃない子もかわいいのにと思った方も多いのではないでしょうか。
確かに手間がかかる犬の方が、接する回数や時間は多くなるのかもしれませんが、それだけで愛情や絆の深さを測れるものではないはずです。
この調査が導いた結論の中に気になる言葉がいくつかありましたので、それぞれ考察していきます。
「犬の世話をよくする飼い主」
お世話をするから絆が深まるのではなく、絆や愛情が深いからよくお世話をするのではないでしょうか。
犬は自分で排泄物を始末することはできませんし、ご飯を作ることもできません。
暑い日にはクーラーをつけて寒い日には暖房をつけるなど、人間が気を付けていくしかありません。
飼い主は、愛犬が健康で長生きするように、不快な思いや寂しい思いをしないように、幸せを感じてくれるようになど、愛犬のことを家族の一員として大切に考えるからこそ、お世話をするのです。まめにお世話をできない人が犬を飼うのは大変なことです。
「おとなしい犬」
生まれ持った気質や性格、犬種による違いはありますが、躾次第でおとなしくなったりそうでなかったりするものです。
また、飼い主の捉え方によってもその判断はまちまちで、極めて曖昧な定義付けです。
犬の性格としておとなしさを求めるのではなく、飼い犬が状況に応じた行動をできるように、飼い主が主体性を持たなければなりません。
そして、飼い主の身勝手な都合で接し方や躾を変えることは避けなければなりません。
「飼い主の注意を引こうとしない飼い犬」
いたずらしたり、粗相をしたり、忙しい時に限ってそういうハプニングに遭遇します。
確かに飼い主の注意を引こうとしている場合もあるでしょう。
やれやれと思いながらも、愛犬のいたずらっ子のような眼を見るとかわいくて仕方ない気持ちになります。
けれども本当は愛犬がそんなシグナルを発しなくてもいいように、飼い主が気を付けていきたいところです。
飼い犬が飼い主の注意を引こうとしないというのは、実は飼い主がシグナルに気付いていないだけなのかもしれません。
手間がかかる犬とは
そもそも、手間がかかる犬とは一体どういうものでしょう。
我が子同然のかわいい愛犬。
本来は手間ひまかけて育て、慈しみ、愛情を注ぐものです。
手間がかかる、かからないというのは人間の尺度であり、結局は手間を惜しまず愛情をかけているか、いないかということに尽きると思います。
たとえば我が家の場合
我が家には2頭の室内犬がいます。
その愛犬たちに手間がかかる、かからないという感情を持ったことはありません。もっといえばそういう概念を当てはめることがないのです。
犬は人間と違って言葉を話すことができません。
長く一緒にいるので、ある程度の意思や感情は汲み取れているのかもしれませんが、本当のところはやはり分かりません。
そのため、手間ひまかけてお世話をし、愛情を注ぎ、心を寄せるしかないのです。
まとめ
この調査結果は、手間がかかる犬の飼い主にとって
「手間がかからない犬っていいわよね」
「うちの子は本当に手間がかかって大変」
という苦悩を救ってくれるものになっています。
手間がかかるイコール絆が深いという図式は、真剣に悩む飼い主にとってある意味、心の支えになります。
けれども一歩間違うと、飼い主の言うことをよく聞く犬は絆が結べないと捉えられかねません。
決して躾が行き届いていて「手間がかからない」犬が飼い主と絆を結べていないということではないのです。
余談ですが、私の母が我が家に遊びに来るとよく言います。
「この子たちは言葉をしゃべれないんだね。人間なら身体の具合が悪い時にはしんどいって言えるけど、この子たちは言えないんだね」と。
私はこの言葉をとても重く受け止めています。
家族同然といえども、人間とは違います。
手間や時間を惜しんでいては愛犬のことを守ってあげることはできません。
私たち飼い主はしっかりと「手間をかけて」愛犬と生活していかなくてはならないのです。