強いストレス
犬が部屋を散らかす原因は、主にストレスです。お留守番中に部屋を散らかす犬が多いのは、そのためです。
- 飼い主がいなくて不安なこと
- 緊張状態が続くこと
- 物音に恐怖を感じること
- 退屈なこと
- 部屋が暑すぎるまたは寒すぎること
ストレスの原因は様々にありますが、お留守番する環境が犬にとって適切ではない可能性が高いです。5つのストレスの原因を例としてあげましたが、当てはまるものがある場合は改善してあげなければなりません。
改善する方法
飼い主がいない不安がストレスで部屋を散らかす場合、ひとまず可能な限りお留守番の時間を短くしてあげましょう。犬の幼稚園を利用するという方法もあります。お留守番前のスキンシップやコミュニケーションの時間も大切にしたいところですが、スキンシップの時間を長くとりすぎると余計に一人の時間を寂しく感じるものです。大切なのは、一人でも不安にならなくて大丈夫だということを理解してもらうことです。少しずつ、一人時間を上手に過ごすことができるように練習していきましょう。
緊張や恐怖は何から感じているでしょうか。交通量や人通りの多い環境なのであれば、窓から離れた場所にケージやクレートを置き、静かな部屋に犬のスペースを作ってあげるとよいと思います。
退屈させないためには、お留守番前に体力を使うというのがおすすめです。朝のお散歩の時間や強度を増やしてあげるとよいと思います。体力を使った後は犬も体を休めるために寝ている時間が自然と増えます。
部屋の温度と湿度はお留守番する犬に合わせて管理してあげてください。目安になる温度は、冬18℃~22℃、夏25℃前後、湿度40%~60%です。犬種・年齢・健康状態などに合わせて調整しましょう。
分離不安症
犬が部屋を散らかす原因として考えられる病気には「分離不安症」があります。精神疾患のひとつです。
ある日突然に患うものではありません。少しずつ進行します。何等かのサインが出ているはずなのですが、初期症状には気づけない飼い主も多くいます。
分離不安症 ~初期のチェック項目~
- 飼い主の後をついて回る
- 出かける飼い主を激しく吠えて引き留めようとする
- 飼い主が帰宅すると大興奮してしまう
甘えん坊な犬の特徴でもありますが、いつからかこのような行動をするようになったな…と感じる場合には、分離不安症の初期症状である可能性も考えなければなりません。
分離不安症 ~中期のチェック項目~
中期になると、ちょっと困るなぁ…という症状が見られるようになります。
- 粗相をする
- 部屋を散らかす
主にこの2つです。今まで完璧で失敗したことのないトイレをわざと失敗し、家中のあちこちで粗相をするようになってしまいます。ゴミ箱の中身を出したり、物を破壊したり、わざと飲み水をこぼすなど部屋を散らかすようになってしまいます。
何とかして飼い主の気を惹きたいのです。叱られても叱られなくても、どちらにしても飼い主に構ってもらうことができるということを理解して粗相やイタズラをします。
分離不安症の症状であるということが分かっているのであれば、叱らない方がよいかもしれません。遠回りになりますが、そのような困った行動を起こす原因に気づき、原因を解決していくに越したことはありません。怒っても、無視しても解決には結びつかない可能性が高いです。
分離不安症 ~後期のチェック項目~
分離不安症が重症化すると、犬は自傷行為をするようになってしまいます。
- 手足の先をカミカミする
- しっぽをカミカミする
初めはこのような行為をします。カミカミしすぎてしまい、皮膚が真っ赤になったり、内出血が見られたり、少しの傷や出血も見られることがあります。
- 手足の先を噛み切ってしまう
- しっぽの先を噛み切ってしまう
エスカレートすると、手足やしっぽの先を失ってしまうほど強く噛んでしまうことがあります。私の知り合いにも右足の先を失ってしまった犬がいます。そうなるまで飼い主は愛犬の分離不安症に気づけなかったそうです。
まとめ
犬が部屋を散らかす原因は主に2つあり、『強いストレス』『分離不安症』です。
犬の分離不安症は年齢に関係なく発症します。子犬にも成犬にも老犬にも見られる心の病気です。
ただのイタズラなのか、ストレスや分離不安症による症状なのか、見極める力が必要です。
普段から愛犬の仕草や行動の小さな変化を見逃さないようにすると、早期発見できると思います。
また、状況がひどくなってしまった場合は飼い主さまだけでは解決できないことが多いです。粗相したり、出かける際に大騒ぎしてしまう場合は行動治療に詳しい獣医師か、ドッグトレーナーに相談してください。自分で解決しようとすると、余計にこじれてしまう場合もあります。