ソファの下、というスペース
日々の暮らしの中で「ソファの下」というスペースは、わたしたち人にとっては特に使うことのない、ただほこりの溜まる空間ではないでしょうか。しかし、犬たちの目線にグーと視線を落としてリビングを見渡してみると、ソファの下というスペースは、暗く囲われていて、逃げ込むには絶好の隠れ家…なのかもしれません。
潜るときの気持ちは、コレ
どうして犬たちは、そうしたところに隠れてしまうの?と疑問を持つ方に向け、ズバリ先に答えをお伝えします。この行動に共通するのは「怖い」「不安」「追われている」「身を守りたい」などの、精神状態だということです。
だからこそ、私たちは犬の細かな気持ちを感じ取り、丁寧に対応していく必要があります。
「もう、また、隠れている!!!」などと激怒し、無理矢理犬を引きずり出すことの無いように。
ソファの下に潜るときの気持ち3つ
1.ひどく驚いた
カミナリ、クラクション、花火などの、今まで聞いたことのない音。それが突然に鳴り、びっくりしてしまったというときに、ソファの下に逃げ込むケースがあります。
瞬間的に驚き、身の置き場をどうすればいいのかわからない、といった心理から、目に入ってきた安全を確保できそうなスペースへ、とっさに入ってしまったのですね。
≪対処法≫
このケースでは、音が鳴りやめば自然に出てきます。自分に危害が及ばないとわかる、慣れる、など、自分自身で整理をするのを待ちましょう。
このとき、「どうしたの~」「出ておいで~」「ほら、オヤツあげるよ」などの声掛けは不要です。おびえているようなら、音が鳴りやむまで、さらにソファの上からシーツをかけて覆ってあげるのもいいでしょう。
2.何かから逃げている
例えば、子供と犬との遊びによく見られる鬼ごっこ。追いかけまわされ、もう鬼ごっこは嫌だよ~、と、ソファの下に逃げ込んでしまうことがよくあります。
同様に、ハウスに犬を入れたい飼い主さんが追い回すとか、粗相やいたずらをした際に、飼い主さんが激怒して追いかけてくることをあらかじめ予測して隠れてしまう、などもありますね。
≪対処法≫
さて、どうでしょう。この場合、逃げ込んでしまうのは、ごく当然の行為ではないでしょうか。しつけにはいろいろな考えがありますが、わたくしは犬を叱る、罰を与えるのは不要と考えているタイプの訓練士です。
ハウスに誘導すると逃げるのは、ハウスが好きではないのですから、ハウスが好きになるように、きっかけと誘導を上手に施す必要があります。粗相やいたずらをしてしまうのは教え方の不足、または、脳と体が満足していないためです。
叱るために追いかける必要があるのでしょうか。その労力で散歩をもっと充実させるとか、トレーニングで犬の脳を使うなど、方法はいくつでもあります。
子供の鬼ごっこについては、犬が反撃してはいけないのですから、平等な遊びとして成立していません。ですから、変えなければならないのは、子供との遊び方、そのものです。
3.体調に異変を感じている
急な痛み、苦しみ、違和感。これら体のアクシデントが発生すれば、犬は不安になります。
人と違い、犬は、痛みの原因を探したりすることはしません。ただただ、今起きている異変への不安をどうにかしたい。不安を遠ざけたいという気持ちです。
また、シニア世代の犬にもこの傾向はあります。それは緊急的なケガや病気とは別のものと考えたほうが良いでしょう。
≪対処法≫
この場合、早期に対応しなければいけない病気、ケガということも考えられます。前出の〇1、〇2に当てはまらない場合は、ソファをずらす、持ち上げるなどし、愛犬の様子を確認しましょう。
このとき気を付けてほしいのは、手を伸ばして、犬を引きずり出さないでほしいということです。骨折、膝蓋骨脱臼、椎間板ヘルニア、内臓疾患、誤飲、感電火傷などのケースもありますから、いつもと様子が違うと思ったら、動物病院への受診を早期にしてください。
まとめ
暗くて囲われた場所に入る、というのは、犬の持つ本能的な行動です。野生の犬は、外敵から追われた際、負傷、病気、老衰、そして、母犬が出産をする場所は、必ずと言っていいほど暗くて囲われた場所です。いずれも、何かを守るために、その場所を選びます。犬の気持ちを理解し、おびえる気持ちをフォローしていきたいですね。