1.飼い主さんに怒られたくない
犬のしつけをしたり一緒に生活をしたりしていると、犬を叱ることもあると思います。叱ること自体がすべていけないわけではありませんが、不必要に厳しい罰を与えたり、適切でないタイミングや強さでの叱り方をしたりすると、犬は恐怖を感じます。ただ怖いという感情が残るだけで、「これをしてはいけなかったんだ」「こういうときはこうすればいいんだ」というような『学習』につながらないのです。
このように飼い主さんから叱られたことで、ただ強い恐怖を感じただけという経験をしたり、「なぜ怒られているかわからない」という状況を多く経験したりすると、犬は飼い主さんに怒られることを避けようとします。その結果、できるだけ余計な行動は取らないように、飼い主さんの前では大人しくしているようになるのです。そうした様子を見て、「おりこう」だと感じることもあると思いますが、これは単純に委縮しているだけなので犬にとっては大きなストレスとなってしまいます。
ただし、ほめるしつけをしている場合、正しい行動をすると飼い主さんにほめてもらえるということを犬は理解しています。「飼い主さんにほめてもらいたい!」というポジティブな感情で、「おりこう」にしていることはとても良いことだと思います。このような場合は、必ず犬の行動を評価し、しっかりとほめてあげるようにしましょう。
2.飼い主さんに嫌われるのが怖い
飼い主さんに怒られたくないという感情を持つ犬のなかには、「嫌われたくない」と思う犬もいます。特に、一度信頼している飼い主さんから捨てられたり、一緒に生活ができなくなったりした経験のある犬は、嫌われることに恐怖を感じる可能性があります。
そのため、必死になって飼い主さんの理想に応えようとする様子が見られたり、感情を出さずひたすら大人しくしていたりするのです。自分の感情を押し殺しながら「おりこう」にしていることは、とてもつらく悲しいことだと思います。こうした傾向のある犬の場合は、たっぷりと愛情をかけて信頼関係を築いてあげることが大切です。そうすることで、犬も少しずつ自由な振る舞いができるようになるでしょう。
ストレスサインに要注意!
言葉を話さない犬のストレスには、なかなか気づいてあげられないことも多いと思います。しかし、よく観察していると、犬は様々な形でストレスサインを出しているので、しっかりと様子を見てあげてください。
犬がストレスを感じているときに見せる行動のひとつが、「カーミングシグナル」と呼ばれるボディランゲージです。このボディランゲージは、自分や対峙している相手の気持ちを落ち着かせるために行うもので、不安やストレスを感じているときにもよく見せます。
約30種類ほどあるとされていますが、特にわかりやすいのが「あくび」や「体を掻く」といった行動です。眠くなるような場面ではないときに、あくびを何度もくり返したり、皮膚に異常はないにもかかわらず体を掻いたりしている場合、精神的なストレスによるものだと考えられます。
さらに、より強いストレスを感じているときには、自分の手足を舐め続けたり、尻尾の毛を噛んでむしったりすることもあります。これらはストレスなどによる精神疾患の症状でもあるため、止めようとしても簡単にはやめられません。動物病院や専門家と相談をして、適切な対処を取る必要があります。
まとめ
「おりこう」に見える犬のなかには、自分を押し殺して我慢をしている犬もいます。そのため、犬が体を思い切り動かしたり、本能を発揮して活動したりできるような場面を用意してあげるといいでしょう。
ドッグランでたっぷり走ったり、自然の中で水遊びをしたり、存分ににおいかぎをさせたりと、その犬が好きな遊びを提供してあげましょう。
精神的にも体力的にも満たされると、ストレスは自然と解消されていくので、定期的に時間を作って、犬が心から楽しめるリフレッシュの時間を共有してくださいね。