危険!?カタツムリの毒性について
日本ではあまり一般的ではないものの、「エスカルゴ料理」があるように「食用」としても知られているカタツムリ。それだけにカタツムリに毒性があることはあまり知られていません。
ですが世界に目を向けてみると、実はわんこだけでなく人間がカタツムリを口にして重篤な健康被害を受けた例がいくつも報告されています。
危険なのは「カタツムリ」ではなく「寄生虫」
実は「カタツムリ」そのものには毒性はありません。問題になってくるのはカタツムリに寄生している「寄生虫」なのです。
カタツムリを中間宿主とする寄生虫として有名なのが広東住血線虫です。広東住血線虫に寄生されたカタツムリを体内に取り込んでしまうと、脳や神経系に症状が現れ、最悪の場合には死に至る恐ろしい感染症を引き起こします。
注意!カタツムリを食べた後の危険症状
わんこがカタツムリを食べてしまい、そのカタツムリが広東住血線虫に寄生されていた場合、どのような症状が現れるのでしょうか。
1.嘔吐
カタツムリに限らず誤飲や誤食によって身体に何らかの悪影響が出ている場合、典型的に現れる症状が嘔吐です。わんこは比較的よく嘔吐する動物のため見過ごしてしまいやすいですが、明らかに元気がない体が痙攣している等、他の症状が合わせて現れている場合は注意が必要です。
2.後脚の麻痺
広東住血線虫の感染症が脳神経系を冒すことはすでにご紹介しましたが、その結果、両方の後脚に麻痺症状が出ることがあります。足がブルブル震えて立ち上がれない、歩くことができない等の症状が見られたら危険です。
3.失禁
同様に失禁つまり「おもらし」をしてしまう場合もあります。
広東住血線虫による感染症は、人間ですら命を落とすことのある恐ろしいものです。体の小さなわんこ、特に小型犬やパピー期の子犬にとっては影響が大きく致命的になる場合もあります。
これらの症状が見られたら早急に動物病院を受診し、カタツムリを食べてしまったことを伝えましょう。
カタツムリの誤食を防ぐために
ではカタツムリの誤食から愛犬を守るためにはどうしたらよいのでしょうか。
1.愛犬から目を離さない
カタツムリに限らず、愛犬を誤飲・誤食から守るための基本は「愛犬の行動から目を離さない」ことです。見つけた瞬間に何の前触れもなくパクッと食べてしまわないとは言い切れませんが、わんこは多くの場合、対象を口に含む前にクンクンと匂いを嗅ぐものです。
「何かの匂いを嗅いでいるな?」と気づいたとき、もしもその対象がカタツムリだったら、すぐにリードを引っ張って愛犬をカタツムリから引き離しましょう。また、一度カタツムリに興味を持った子はその後も気にする可能性が高いですから、継続して注意を払っておく必要があります。
2.カタツムリがいる環境を避ける
「触らぬ神に祟りなし」と言うように、カタツムリと出会うことがなければ愛犬が誤食してしまうこともありません。カタツムリを見かけたことがある草むらや、なぜかやたらとカタツムリが群がっているコンクリート塀など、お散歩コースや公園などに特定の「カタツムリスポット」がある場合にはそこに近づかないことがベストです。
3.カタツムリ駆除をする
とはいえ、自宅の庭などの愛犬の行動範囲にカタツムリがいる場合には、避けることもできませんよね。その場合には根本的な対策としてカタツムリ駆除を考えてもいいかもしれません。
ただし駆除剤などを使用する場合には、薬品の成分がわんこに有害な可能性もあるため、使用する際はしばらくわんこを外に出さないようにするなどの注意が必要です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?愛犬がカタツムリを食べてしまうなんて見ただけで「げっ」と思ってしまいますが、実は見た目の気持ち悪さ以上のリスクが潜んでいます。雨の日や雨上がりのお散歩の際には、愛犬の行動や仕草に十分な注意が必要です。
広東住血線虫は、カタツムリやナメクジを中間宿主とし、ドブネズミやクマネズミを終宿主とする寄生虫です。アフリカマイマイという大型のカタツムリが重要な中間宿主になりやすいですが、他の貝類も中間宿主になりえます。 しかし、調査によると日本国内では沖縄県、奄美大島を含む南西諸島、鹿児島県、福岡県、広島県、愛知県、静岡県、神奈川県、小笠原父島を含む東京都、北海道など、各地で捕獲され たドブネズミやクマネ ズミに自然感染が認められているので、どこにでもいると考えた方が無難です。 今回はカタツムリがテーマになりましたが、ナメクジやその他貝類などにも注意が必要です。