1.量や回数が足りない
子犬はまだ消化器官が発達していなく体力も少ないので、少量を何回も与える必要があります。一度にたくさんの量を与え過ぎてしまうと、消化不良を起こす可能性があります。与える量や回数が足りないと、成長に悪影響を及ぼすことになります。
ご飯の間隔が長過ぎると、子犬は低血糖になる可能性もあります。与える回数は、以下の目安を参考にしてみてくださいね。
- 生後0~1週目:8~10回
- 生後1~2週目:6~8回
- 生後2~5週目:4~5回
- 生後6~8週目:4回
- 生後2~3ヵ月:3~4回
- 生後3~6ヵ月:3回
- 生後6~12ヵ月:2回
こちらはあくまで目安の回数なので、子犬の様子を見ながら回数の調整をしていきましょう。
生後3週目くらいまでの子犬のご飯はミルクです。犬用に成分が調整された子犬用ミルクを子犬用哺乳瓶で飲ませてあげましょう。保護した子犬などで世話をしてくれる母犬がいない場合は人工哺乳で育てることになりますが、一日に8~10回ミルクを飲ませるということは2~3時間おきにミルクを与えるこということです。排泄の世話と併せて24時間体制でのお世話が必要になります。
乳歯が生えてくる生後3週目くらいからは、離乳食を開始します。離乳期用のウェットフードやドライフードをふやかしたものを与えますが、子犬の食欲や好み、体格に合わせて離乳を進めていきます。特にチワワやティーカッププードルなど超小型犬の場合は、離乳食を受け付けるのが遅かったり生後2~3ヵ月でも1日4回以上に分けて食事を与える必要があるケースもあるので注意したいところです。
子犬が充分にミルクを飲めているか、離乳食を食べられているかをチェックするポイントの一つとして、「体重が増加しているか」が挙げられます。数日の間に全く体重の増加が見られない、または体重が減っている場合には、何か病気があるか充分にミルクや離乳食がもらえていない可能性があります。子犬、特に離乳前の子犬を育てる場合には、体重も毎日チェックするようにしましょう。料理用のはかりや人間の赤ちゃん用の体重計などを使うことができます。
また、「便の状態」もご飯の量が適切かの目安になることがあります。子犬の便が緩かったり下痢のような状態になってしまった場合は、1回の食事量が多く消化不良を起こしている可能性があります。便がコロコロと硬い状態であれば、水分が不足していますので、食事中の水分量を少し増やしてみましょう。
一日に何回の食事が必要かは、上記の目安を基に子犬の状態に合わせて調節しますが、食事のタイミングを決めて与えた方が、与え忘れを防いだりちょっとした子犬の変化にも気づきやすくなるでしょう。
食事時間の間隔が狭いとまだお腹がいっぱいで食べなかったり、食べる量が少なくて次の食事の時間までもたなくなってしまうかもしれません。
例えば1日4回の食事の場合、以下のタイミングで与えると食事時間の間隔がほぼ均等になりますし飼い主さんにとっても忘れにくいのでオススメです。
- 飼い主さんの起床後すぐ
- お昼
- 夕方
- 飼い主さんの就寝前
しかし「日中は仕事で家に誰もいないから無理!」という飼い主さんもいると思います。とはいえ、ペットシッターを雇うとしても、毎日、毎月となるとお金もかかってしまいますし、知人に頼むことも気が引けたりしますよね。
そんな飼い主さんにオススメしたいのが『自動給餌器』です。必要な量を毎回きっちり食べられるようになった場合に使い始めることができるでしょう。決まった時間帯に自動でご飯を与えることができ、カメラ付きのものを使えば留守中の愛犬の様子もある程度確認ができるメリットもあります。
多くのタイプがあり、ウェットフードにも使える自動給餌器もあります。
2.犬にとって危険な食材を与える
人間が扱う食材の中には、犬にとって毒性があるものも存在し、とくに、まだ身体の小さい子犬は摂取した量が少量でも悪影響が強く出てしまうことになります。
そのような食材は、意図的に子犬に与えることはもちろんNGですが、飼い主さんの食事を準備しているときにうっかり床へ落としてしまって子犬が食べてしまう可能性も。子犬は好奇心旺盛ですので、何かが落ちていればすぐに近づいてくるでしょうし、まだマテやダメなどを知らない子犬に落ちた物に近づかせないことはとても難しいでしょう。子犬にとって危険な食材を扱う際は、細心の注意を払いましょう。
以下は犬に与えてはいけない代表的な食材です。子犬のうちから飼い主さんが知っておき、犬が食べてしまうことがないようにしましょう。
ネギ類
血液中の赤血球を破壊する成分が入っており、貧血を引き起こすことがあります。死亡例もあります。ネギ類により中毒を起こすと、血尿や下痢・嘔吐、ふらつきなどが見られます。
この成分は加熱しても分解されないため、ネギそのものではなくてもネギ類が入っている料理、ネギ類が入っている料理の汁だけでも与えないように。
ネギ類には、長ネギや玉ネギの他、ニンニクやチャイブ、ニラなどが含まれます。
チョコレート
カカオに含まれる成分が原因で、嘔吐や下痢、息遣いが荒くなる、心拍数の増加、痙攣などの中毒症状を示し、重症の場合にはショック状態や心不全を引き起こすケースがあります。チョコレートの種類(カカオの含有量)や食べてしまった量と体重の関係によって、中毒症状が出るかどうか、重症度が大きく異なります。
香辛料
こしょうや唐辛子などは、胃腸を刺激して下痢や嘔吐を引き起こすことがあります。
ぶどう
原因物質は分かっていませんが、腎臓障害を引き起こすことがあります。干しブドウも同様に危険です。
牛乳やヨーグルトといった乳製品
ラクトースを分解する酵素をあまり持たない犬では、下痢・嘔吐の原因になります。人間用の乳製品ではなく、子犬用のミルクを使用しましょう。
ナッツ類
消化不良になったり、大量に含まれる脂肪によって下痢や嘔吐、また膵炎を引き起こす原因にもなります。人と同様、ナッツに対するアレルギーが疑われた犬の例もあります。
生野菜
消化機能が充分に発達した以降は、犬が好めば与えても構いません。ただし、加熱した方が食べやすく消化にも良いでしょう。消化機能が未熟なうちは積極的に与えない方が良いでしょう。食欲旺盛な子犬で、必要量を与えてもまだ食べたがるために食事をかさ増ししたい場合には、食事中の水分を増やしてみましょう。
生卵
与えてはいけないものではありませんが、加熱した方が食べやすく消化にも良いでしょう。 卵白に含まれる酵素(アビジン)はビオチン(ビタミンB7)の吸収を阻害するため、犬に生卵を与えるとビオチン不足になると言われることもありますが、非常識なほどに大量の卵白を生で食べなければ心配ありません。
肉や魚の骨
肉や魚の骨は硬く、食道や胃腸を傷つける可能性があるので与えないようにしましょう。
鶏の骨や縦に裂けやすく危険なので与えてはいけない、とよく言われていますが、豚や牛の骨でも胃腸を傷つけたり途中で詰まってしまうことがあります。小型犬ですと、「このくらい小さければ大丈夫かな」と思うような大きさの骨でも腸で詰まってしまうことがありますので、消化できない骨は与えない方が良いでしょう。
生の甲殻類(エビ・カニ・イカなど)
ビタミンB1(チアミン)を分解するチアミナーゼという酵素が含まれているため、大量に食べてしまうとビタミンB1欠乏症を引き起こす危険性があります。
キシリトール
犬では低血糖を起こす危険性があり、死亡例も報告されているようです。ボトルに入ったキシリトールガムなどを犬がいる部屋に放置しないようにしましょう。
3.食べている最中に邪魔をする
とくに子犬に限った話ではありませんが、愛犬が食事している最中に触ったりして邪魔をするのはマナー違反です。
食べている姿は可愛くて触りたくなる気持ちもわかりますが、犬に食事を安心して食べる習慣をつけることもお忘れなく。
食事中に邪魔をされると「ご飯を盗られてしまう!」という気持ちから攻撃的になってしまったり、早食いの原因になってしまうことがあります。早食いは消化不良や胃拡張捻転症候群の原因になる可能性も。
可愛がってあげたい気持ちはぐっと堪え、愛犬には安心して気持ちよくご飯の時間を過ごさせてあげましょう。
4.食器ではなく手から食べさせる
成犬になってもオヤツを手から直接食べさせている飼い主さんは多いと思いますが、子犬の毎食のご飯をいつも手から与えている場合は注意が必要かもしれません。
毎回この状態が続いてしまうと、それが犬にとっては当たり前になり、大きくなっても手から食べる習慣が抜けにくくなることがあります。普段はそれでも良いかもしれませんが、ペットホテルや動物病院へ預けたとき、飼い主さんに何かあったときなどに、用意された食器からご飯を食べることができなくなるかもしれません。
こうした事態を未然に防ぐためにも、子犬のころからご飯は食器を使って自分で食べられるように習慣化させることをオススメします。
5.散歩の前に食べさせる
散歩に行く前にご飯を食べさせると「胃捻転」を起こす可能性が高まると言われているため、散歩の前にご飯を食べさせるのは控えましょう。
胃捻転は、胃の中に溜まった液体やガスの増加によって胃が異常に膨らむ(胃拡張)だけではなく、その膨らんだ胃がねじれてしまう病気のことをいいます。胃捻転が起こると緊急に治療を開始しなければならず、場合によっては臓器のうっ血からショック症状や死を引き起こす危険性があります。
胃拡張や胃捻転を起こさなくても、食べた直後の運動や散歩は消化によくないでしょう。運動や散歩をした後、落ち着いてからご飯を与えるようにしましょう。
胃拡張や胃拡張捻転症候群の症状には、以下のようなものがあります。万が一このような症状がみられた場合は、すぐに動物病院に電話をし、受診してください。
なお、胃拡張捻転症候群は運動とは関係なく起こることもあり、ストレスや食べた物が原因となることもあります。
- 大量のよだれが出る
- 吐こうとするがうまく吐き出せない
- 呼吸が浅く苦しそうにしている
- お腹がパンパンに張っている
- ぐったりしていて元気がない
胃拡張捻転症候群は、食後の運動(散歩)のほかにも、早食いや大量の食事や水分を一度に摂取することで起こりやすくなる可能性もあるので注意したいですね。
6.食べないからと言っておやつやトッピングばかり与える
犬にも食が細い子はいますが、特に子犬が食べないと心配になってしまいますよね。ミルクや離乳食をあまり食べない場合には、スポイトやシリンジを使って食べさせる(飲ませる)必要があります。それでもうまく食べられない、飲めない、口に入れても出てしまう場合には、動物病院に相談しましょう。違う方法を教えてもらえたり、何か異常がないかチェックしたりできるでしょう。離乳食の時期にあまり食べない場合、ご飯のタイミングが早かったり与える量が多いこともあるでしょう。この時期に、食べないから、もっと食べて欲しいからと言って主食以外のおやつやトッピングを安易に与えてしまうと、「食べなければ、もっとおいしいものがもらえる」と学習してしまいます。ウェットフードを利用したり、ドライフードをふやかしたり、粒の小さいドライフードに変えてみたり、食事のタイミングを変えてみたりして、「ご飯」を食べてくれる方法を見つけましょう。偏食のくせをつけないためにも、体重を測って充分に食べられているかをチェックしながら、与えられたご飯を食べることを習慣づけましょう。
生後5~6ヶ月にいわゆる思春期を迎えると、無条件に飼い主さんに従うことが少なくなったりご飯の食べ方にむらが出てくることがあります。この時期にはもう、少し食べない時間が長くなっても体に悪影響はないでしょう。食べなければおやつが出てくる、食べなければおいしいものがもらえる、と犬が学習することがないようにしましょう。
7.大きい状態もしくは硬い状態のまま与える
子犬はまだ消化機能が未発達なので、ふやかさないドライフードなどの硬いご飯を与えると消化不良を起こす可能性があります。さらに粒のサイズが大きいドライフードを与えてしまうと、うまく口に含んだり、思うように噛んだり飲み込めない可能性もあります。
そこで、ある程度ご飯をふやかしたり、粒の小さいものを選ぶことで上記のトラブルを未然に防ぐことができます。また、ドッグフードはお湯や子犬用ミルクでふやかして温かい状態で与えると、風味が増すため、食いつきが良くなる効果も期待できますよ。
個体差はありますが、生後2~3ヵ月頃からふやかしたご飯から徐々に硬いままのドライフードに移行していくと良いでしょう。
まとめ
子犬を初めて飼うと、様々なことが不安になったり「どうしたらいいの?」という疑問ばかりが浮かんでくるはずです。小さな子犬を保護した場合には、世話をしてくれる母犬もおらず人間が全てのお世話をしてあげる必要があります。
その中でも食事は生きることに直結する行為ですから、飼い主さんがきちんと情報や知識を得て理解した上で与えていきたいですよね。
子犬の時期は、体の大きさの割に生涯でもっともエネルギーを必要とする期間なので、その犬に合った正しい食事内容や食事方法を見つけてあげることがとても重要です。