マール遺伝子とは
マール遺伝子とは、特徴的な毛色(まだら模様)を作り出す遺伝子のことを言います。
ダックスフンドでは「シルバーダップル」という毛色があり、ベースとなる毛色に銀色のブチが入っています。
シェットランドシープドッグでは「ブルーマール」という毛色があり、シルバーブルーをベースに黒い斑点が散らばっています。
ポメラニアンにも「ブルーマール」という毛色があり、オレンジ・ブラウン・ブラック・ホワイトなどが一般的であるため、かなり珍しく感じられます。
レアカラーとされ、大理石のようで美しい毛色だと言われています。
マール遺伝子を持つ犬の被毛は大変珍しく、美しいです。
この毛色を作り出すことを目的として繁殖されることもあります。
しかし、美しい毛色の裏には病気や危険が潜んでいるということを理解しなければなりません。
マール遺伝子を持つ犬がなりやすい疾患
1.目の疾患
マール遺伝子を持つ犬は、胎児である時にメラニン細胞が正常に分布しないことが原因でさまざまな病気が起こります。
そのことが毛色にも関係するのですが、目の細胞にも関係します。
ブルーマールの毛色の持つ犬の目は「青い」という特徴を持っています。毛色だけではなく、虹彩の色が水色であるのが特徴的で美しいのです。
虹彩全部が水色の場合もありますが、一部分だけ水色で他は黒や茶色の場合もあります。しかし、その美しさばかり見てはいけません。
視力が非常に弱く、次のようなことが起こりやすいです。
- 視線を合わせることができない
- 物にぶつかりながら歩く
- 散歩中に側溝の小さな穴に手足が落ちる
- ごはんのにおいは分かるけれど場所まで辿り着けない
- お皿の水を飲むことができない(場所が分からない)
- トイレを失敗する(辿り着けなかったり、はみ出したりする)
生まれつき全く視力を持たない犬もいるようです。その場合、生活はもっと困難になるでしょう。
2.耳の疾患
胎児である時にメラニン細胞が正常に分布されないことが原因になり、耳にも影響を及ぼすことがあります。
難聴で聞こえづらい犬がいたり、全く聴覚を持たない犬もいたりするようです。
自分の名前を認識することができないので、飼い主に呼ばれても反応することができません。
しつけはコマンドではなく、ジェスチャーで根気よく教えてあげる必要があります。
3.寿命が短くなる傾向がある
マール遺伝子を持つ犬は、マール遺伝子を持たない犬に比較すると寿命が短いとされています。
先にお話しした、毛色の変化や視覚や聴覚への影響だけでなく、心臓疾患や死産なども多いとされています。
両親がどの程度マール遺伝子を持つかによって、子犬に起こる障害の程度は変わりますが、マール遺伝子を持つことで病気になる可能性は高くなります。
そのため、マール遺伝子を持つ犬は寿命が短くなる傾向があるといわれています。
まとめ
マール遺伝子を持つ犬がなりやすい疾患などを3つ解説しました。
- 目の疾患
- 耳の疾患
- 寿命が短くなる傾向がある
毛色や目の色が美しいことを理由に繁殖が行われることがあるとされています。
マール遺伝子を持つ全ての犬が疾患を発症するわけではありません。
特有の病気が発症することなく生涯を終える犬もいます。
しかし、死産や先天性疾患を引き起こすことが多い遺伝子であるとされています。
毛色や目の色の美しさから「ほしい」「飼いたい」と考える人がいらっしゃるかもしれませんが、視力や聴力などに問題を抱えていることもありますので、病気や今後の生活に対する理解が必要です。
美しさの背景にある病気や悲しい犬の現状を理解しなければならないと思います。