東日本大震災はペットにも大きな影響を与えた。私の経験から伝えたい「犬のための防災対策」 #知り続ける

東日本大震災はペットにも大きな影響を与えた。私の経験から伝えたい「犬のための防災対策」 #知り続ける

2011年3月11日の東日本大震災から、まもなく11年が経過しようとしています。長い年月が過ぎた今だからこそ、落ち着いて情報を整理する余裕が生まれました。当時の状況を踏まえ、自分自身の実体験から学んだ『犬の防災対策』についてお伝えしたいと思います。

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我が家の愛犬「レモン」

誕生日ケーキと犬

最初に、我が家の愛犬を紹介します。

  • 名前:レモン
  • 種類:ロングコートチワワ
  • 年齢:15歳(震災当時は4歳)
  • 家族に迎えた経緯:ペットショップで一目惚れ

現在、レモンはシニア犬になりましたが、一緒に東日本大震災を乗り越えた大切な家族です。

震災を風化させないために、当時の記憶を呼び覚まし、実際のエピソードを記録として残します。

東日本大震災が起こったときの状況は悲惨だった

私が住む宮城県では、東日本大震災で震度6強の大きな揺れを観測しました。地震発生当時は勤務中だったため、レモンは自宅で留守番しており、近くには誰もいない状況でした。

犬の安否が心配で、今すぐ帰りたい気持ちを抑えながら…まずは自分の身の安全確保が最優先です。

非常階段を使って外に出ると、ヘルメットをかぶって避難してきた人たちで溢れかえっていました。
ヘルメットがなくクッションを頭に乗せている人、泣いている人、みんなパニック状態です。

職場で働く全員の安否確認がとれ、ようやく帰宅できるようになったのです。

やっとの思いで帰宅…愛犬も無事だが心細い様子

当時、交通手段が全てストップしていたため、雪が降りしきる中、数時間かけて徒歩で自宅に帰りました。信号機は倒れ、大勢の人がゾロゾロ歩く異様な光景は、今でも目に焼きついています。

ようやくたどり着いた自宅は、幸い目立った被害はありませんでした。家の中は停電により真っ暗で、先に帰宅した家族がロウソクに火をつけ、リビングに集まっていました。

愛犬レモンも家族と一緒にいました。「無事でよかった…!」とホッとしたのを覚えています。

微かな灯りを囲み、パンやお菓子で空腹を満たします。レモンも心細そうにしていましたが、暗闇で少しだけドッグフードを食べました。

震災後は愛犬の笑顔が少なくなった

布団に寝転がる犬

数日間何度も余震が続いたため、わずかな物音にもレモンは怯えていました。震度6クラスの地震を経験したのは初めてですし、ひとりで留守番していて相当怖い思いをしたはずなので、無理もありません。

しばらく笑顔を見せてくれる機会が少なくなり、不安な気持ちがひしひしと伝わってきたので、夜中は一緒にベッドで寝るようにしていました。

被災したペットは、心に深い傷を負っています。
飼い主がそばにいられる環境が一番ではありますが、万が一の事態を想定し、預け先を探しておくこともペットを守る選択肢の1つになります。

私が伝えたい「犬のための防災対策」

大量のドッグフード

ドッグフードはすぐに売り切れてしまうため非常食を

ライフラインが止まってしまうと、人間の食料調達が優先されがちです。事実、震災翌日に行った近所のスーパーでは、食材を買い求める人たちで長蛇の列ができていました。

ドッグフードは需要が高く、あっという間に売り切れてしまいます。車でペットショップやドッグカフェをはしごして、どうにか購入できましたが、種類まで選んでいる余裕はありません。

持病があったり、特定のドッグフードしか食べない犬がいるのであれば、災害に備えて非常食を用意しておきましょう。

避難時にはキャリーバッグを使った

避難指示が発令されたら、迷わず犬を連れて避難しましょう。抱っこでは、余震に驚いて犬が逃げてしまう可能性があります。キャリーバッグに入れて移動するのが得策と言えるでしょう。必ず用意しておいてください。

ペット受け入れ可能な避難所を調べる

ペット受け入れ可能な避難所は限られていますが、東日本大震災以降、「ペットと同行避難」のガイドライン(※)が環境省により作成されました。

ガイドラインには「同行避難」「同伴避難」という言葉がありますが、どのような意味かを覚えておくと良いでしょう。

  • 「同行避難」は、"ペットと共に安全と言える避難所まで一緒に行く"という意味を持ちます
  • 「同伴避難」は、"避難所にて飼い主がペットのお世話をする"という意味を持ちます

同行避難はできたものの、人とペットが別々の空間で暮らすこととなるケースもあります。犬は大きなケージにまとめられ、状況によっては直接お世話をできないケースもあるかと思います。
そういった避難所では一時的に生活スペースが離れてしまう状況も考えておかなければなりません。しかし、犬を安全な場所に避難させることが第一優先。これは飼い主の義務と言えます。

一方で同伴避難は、ペットと一緒にいれてお互いが安心できる環境を作れるかと思われますが、これも状況によりけりのようです。避難所の環境によっては常に同じ部屋でお世話をできるというわけではないことが記されています。

また大きな地震がきても慌てないよう、ペット受け入れ可能な避難所を調べ、その内容やルールを把握しておくのがベストと言えるでしょう。受け入れが難しい場合は、ペットの預け先(家族や親戚など)をあらかじめ考えておいてください。

被災中、離れている時にはペットカメラが役立つ

犬と離れた場所にいる状況下で災害が起きたら、すぐに駆けつけることは難しいと思います。そこで利用したいのがペットカメラです。

室内全体を見渡せる場所に設置しておけば、犬の安否と室内の被害状況を映像で確認できます。

また、マイクとスピーカーが内蔵されているモデルであれば、カメラ越しに犬に声をかけることも可能です。姿が見えなくても、飼い主の声は犬にしっかり届いています。

東日本大震災を経験して、犬の飼い主さん全員に伝えたいこと

桜を乗せた犬の後ろ姿

年々、震災の記憶が薄れて形骸化していくのは、仕方ないと分かっています。ですが、地震も然り、忘れた頃になって災害は突然発生します。

家庭犬として育った犬が野生で生きていくのは、正直、不可能に近いです。だからこそ、飼い主の存在が不可欠で、防災対策が意味を成すと言えます。

自宅近くの避難所はどこか、把握していますか?
被災してしまった時に慌てないよう、ペット受け入れ可能な避難所であることを必ず調べておきましょう。

(※)参考
人とペットの災害対策ガイドライン(環境省)
災害時におけるペットの救護対策ガイドライン(環境省)
避難所運営ガイドライン(内閣府)

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