環境省が全国の自治体に対して発した通知について
環境省が自治体に通知した内容は「犬猫販売業者への監視・指導の徹底」でした。
今回はその内容をお話しします。
環境省が自治体「犬猫販売業者への監視・指導の徹底」とは?
2012年より、改憲法の正が行われ、犬猫販売業者への立ち入り検査だけでなく、新正された死亡診断書や検案書の提出を命じたのです。
そしてその通知が全国の自治体に通知されました。
それがまさしく「第一種動物取扱業に対する監視・指導の徹底について(犬猫等健康安全計画の厳守)」(環自総発第1601051)だったのです。
平成28年1月5日に各自治体への通知が行われ、新年あけて間もなくの新たな取り組みとなりました。
これは「犬猫販売業者」への大きな動きとなり、今までの劣悪な繁殖や違法な販売を一掃できるものではないかと期待が高まるものです。
また、今一度指導を受けてしっかりとした犬猫等の販売方法、繁殖方法を見直すことができる良い機会になるのではないでしょうか。
第一種動物取扱業に対して一層厳しい目を
今までの調査で、業者側からの明らかな不適切な届け出や虚偽のある届け出を行った業者に対してや、2012年に法改正され提出が義務付けられている「犬猫等健康安全計画」の内容がずさんであったり、基準を満たしていない業者に対し、環境省の命により、「第一種動物取扱業」の取り消しや、業務停止の命令、その他勧告、過料などの処分を自治体が行えるようになったのです。
これが、「犬猫販売業への監視・指導の徹底通知」の内容です。
この通知が出された背景
「犬猫販売業者への監視・指導の徹底」が自治体に通知されたのには背景に様々な問題があったからなのです。
驚きの結果!「犬猫等健康安全計画」が未提出続出
全国で「犬猫等健康安全計画」を提出しているかというアンケート調査で、なんと、未提出の業者が続出していたのです。
そして、「犬猫等健康安全計画」未提出業者は全体の1/4にも達してたのです。
調査の結果、営業の実態が定かではない業者もありましたが、違反業者がたくさんいるという事実が浮かび上がったのです。これは由々しき事態であると受け止めなければなりません。
また、「犬猫等健康安全計画」と同様に定期的に提出が義務づけられている「犬猫等販売業者定期報告書」も悲しいことに、第一種動物取扱業者の全体の1.5割が期限がとっくに過ぎているのにも関わらず、未提出という事実も軽視してはならない問題です。
これらの問題に対し、環境省へ報告をし、このような悪質で不適切な業者に適切な対応を行うようにという記載も加わりました。
このような悪質な業者の実態が背景にある以上、この「犬猫販売業者への監視・指導」は今後も強化されていくことになりそうですね。
川端龍平参議院議員が質問主意書提出へ
また、国会でも動きがありました。
「犬猫等健康安全計画」や「犬猫等販売業者定期報告書」の未提出、違法販売業者などの問題について、川端龍平参議院議員が質問主意書を提出したのです。
この川端龍平参議院議員の働きにより、国会内で犬猫販売業者の実態がより問題視されることとなったのです。
川端龍平参議院議員が提出した質問主意書の内容を簡約して紹介します。
- 「犬猫等健康安全計画」の提出義務を果たしていない業者は全国で180業者を超えている。提出をせず犬猫の販売を行ている業者に対しては、各自治体が勧告、命令等の厳しい対応を取り、販売の中止や廃業を促すよう国として取るべきではないのか。また、勧告、命令を経ずして罰則を科す、また営業実態のない業者の抹消をすることなどは可能か。
- 「犬猫販売業者定期報告届」についても、全国で2200件以上の未提出業者がいる。これについて口頭での督促等限界ではないか。また、過料を科す等の積極的な対応を全国の自治体で行うべきではないのか。
- 犬猫の販売の計画が国の基準をかけ離れている場合の自治体の対応がバラバラで、計画的に立ち入る自治体もあれば、苦情が入って初めて立ち入る自治体がある。また、「犬猫販売業者定期報告届」との照合を行うとした自治体はアンケートの3分の1程度である。環境省は計画に沿った実態かどうかの確認をどのようにすべきか。
- 犬猫の年間繁殖数の制限や業者の施設基準強化の開始が報道されているが、この動きはどうなっているのか。
- 犬猫以外の動物についても、指導を繰り返すも改善されないケースが多く、4で示した検討対象に含めるべきか。
これらの質問主意書は平成28年1月4日に国会にて提出されています。
この質問主意書を読んでもわかる通り、動物取扱業者の悪質さが浮き彫りとなっただけでなく、自治体の今後の対応の在り方についても問われる内容となっています。
今後の日本における課題であることは間違いないですね。
日本の犬猫販売業者における死亡率について
「犬猫等販売業者定期報告届」により算出された犬猫の死亡率は実はそれほど多くはありません。
それは一体どうしてなのでしょうか?
その実態が明らかになりました。
犬の場合の死亡率
- 繁殖を行っている業者 5.6%
- 繁殖を行っていない業者 0.8%
- 全体 2.9%
猫の場合
- 繁殖を行っている業者 6.4%
- 繁殖を行っていない業者 1.3%
- 全体 3.4%
という死亡率が算出されています。
これを見ても多いとは決して言えない数値ですね。
海外のデーターと比べても、日本の繁殖業者における犬猫の死亡率は高い方ではありません。
しかし、問題なのは海外では死産数も数に含んでいるにも関わらず、日本では死産数を含んでいないという事実です。
もし、死産数も含んだ場合犬猫の死亡率は上がることでしょう。
しかし、現状では「年度中に新たに所有するに至った犬猫の月ごとの合計数」や「年度中に死亡の事実が生じた犬猫の月ごとの合計」となりますので、あくまでも生まれた数ばかりが公表されていることになります。
この現状はあまり良い傾向とは言えず、日本の繁殖業者が優良な業者であるという解釈をされてしまうのです。
また、輸送中の死亡も犬猫の死亡率には含まれていない可能性があり、これもまだまだ解決しなければならない問題であります。
まとめ
日本における犬猫販売業者の実態が明らかになり、犬猫販売業者への厳しい監視と指導が自治体で行われるようになりました。
犬猫販売業者が提出しなければならない「犬猫健康安全計画」や「犬猫販売業者定期報告書」の未提出が明るみになり、一層の自治体の監視や指導がこれからは重要になってきます。
しかし、まだまだ問題点はあり、死亡率などの算出に関することも、もっと詳細にしていかなければならないということも課題です。
しかし、劣悪な環境での飼育がこの「犬猫販売業者への監視・指導」で今後の日本の繁殖業者の在り方が変わってくることでしょう。