ガイコツのような犬
保護依頼
オリーブの木が茂り、一見、ギリシャののどかな田舎道という風情ですが、タキス・シェルターのタキスさんが指さす先にある犬小屋に鎖でつながれた犬は、完全にネグレクトの状態で栄養失調におちいり、回復するかどうかも定かでないほどガリガリにやせ細っていました。
そのため、飼い主はタキスさんに犬の引き取りを願い出たようです。何とも無責任な話ですが、犬を見捨てるわけにもいかず、タキスさんが到着したところです。
近づくと犬小屋の中にいましたが、動く気力もないようです。鎖を引っ張っても目を固く閉じて動きません。
「ごめんよ」と言いながら鎖を引っ張り、上半身を手で持って無理に引き出します。現れた犬の体は、ショッキングなほどやせ衰え骨と皮です。タキスさんの口からも思わず「オーマイゴーッド!犬のガイコツですよ。ひどいなんてものじゃない。」
立っているのもやっと。お尻には大きな腫瘍も抱えていました。
タキスさんに引かれて、震えながらよたよたと歩きます。生きている犬を鎖につないでここまで放置できるとはね。
元気よく吠えている犬たちが周りにいますが、彼らの今後も心配になります。でもまずはこの子をシェルターに保護しなければ。犬も「助けてもらえるのかな…?」と感じているのかもしれません。
車に積んだケージに素直に入りました。鎖がケージの床に当たってチャラチャラと音を立てます。いやな音ですね。
シェルター
犬はシェルターで一生懸命ドッグフードを食べています。まだかろうじて立ち、食べて飲み込む筋力が残っていてよかったです。きっと消化もできるでしょう。
あのままもう2、3日経っていたら、もう取り返しがつかないところまで衰弱していたかもしれません。
ポリポリと食べながら見上げる瞳は輝いています。
お!左上にちらっと足が見えている、他の犬が近づいてきたらこの子「オン、アン!」と2声吠えてけん制しましたよ。「これ、あたしの!あっち行って!」
撮影しているタキスには食べるのを中断して、顔を寄せてきました。
「この人は、助けてくれたの。この人、好き。」
もう一度、真上からのショット。この状態でよく立っていると思いませんか?
周りにいる他の犬たちも、何となく今は手を出してはいけないと感じるのか、遠巻きに見ています。
シェルターに馴染んで
1~2日が経ったよう。犬の食欲は落ち着いた様子です。もう遠慮なく周りをうろつく仲間の犬たちを気にする様子もなく、タキスさんの方へヨチヨチと歩いてきます。タキスさんは犬を「リサ」と呼んでいます。
「状態はすでに少しだけ改善していますよ。」
「2週間ほどしてもう少し体力がついたら、この腫瘍を切除してあげようと思います。それまでこの子が生き延びてくれればですけどね。」
なぜ
リサはあの場所で10年も鎖につながれたまま、「生かさず、殺さず」の状態に置かれてきました。ぜひシェルターで体力をつけて病気を治し、思ったように動ける喜びを知ってほしいと思います。
なぜある一定の人は、犬をキープして虐待するのでしょう。リサの場合、サディスティックに暴力をふるわれたわけではなく、ただ漫然と放置されていたという感じです。誰も犬を飼うことを強要などしていないのに。なぜ、なぜ…。
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掲載YouTubeチャンネル:Takis Shelter