人を怖がるのは、怖い人しか知らなかったから…
通報・発見
砂ぼこりを上げてギリシャ・クレタ島の田舎道を走っていった先に、犬の姿が見えました。車が接近すると、犬は道端から吠えています。その前には大きなドラム缶状のものが横たわっています。
実はこれがこの子の犬小屋、犬はそこから伸びる鎖につながれ、長年のネグレクトに耐えてきたのです。タキス・シェルター代表のタキスさんが保護に向かいます。
車を降りて近づくと犬は怖がって吠えながらウロウロ、そして小屋の後ろに隠れてしまいました。とても神経質になっています。人間が怖くてたまらない、という様子。
近づいてよく見ると、背骨や肋骨がゴツゴツと浮き出し、極度にやせ細っていることがわかります。
犬小屋を隔てて対峙。犬はきっと混乱しながらも考えている;「この人はもしや、やさしいのだろうか…。」
犬はまだ怖がっていますが、ゆっくりと鎖をひっぱってこちら側に来てもらいました。そして、ファースト・コンタクト。続いて、頭をなでることができましたよ。少しずつ縮まる、心の距離。
タキスさん;「ここは田舎のただ中です。この犬は骨と皮!オンリー・ボーンズ!」
犬はだいぶ落ち着いてきましたが、まだこの場を離れるということを理解できず、足を踏ん張ります。でも食べ物を見せたり、体をさすったりしながら、ついにキャリーケースに入れることができました。
シェルターに到着
タキス・シェルターに到着しました。背景で犬たちが盛んに吠えていますが、少し距離のある安全で静かな場所でキャリーケースのフタを開けます。犬はこわごわ、出てきて、すぐにその場所を確かめようと歩き出しました。でも背中を丸めて不器用そうな歩き方。長年、鎖につながれたままで、まともに歩けなくなってしまったのです。
でも、シッポが、嬉しそうに左右に揺れています!犬はわかったんです、ここが今までよりずっと、いい所だと!
人は怖がったけれど、犬仲間には最初から興味シンシン。全てが新しく、全てが珍しく、楽しそう!姿勢もシャキッとしてきました。
そして、食べる!がっつく!食べて、健康を取り戻そう!
食べて、周りを見回して、また食べて。楽しい、どこココ、不思議、おいしい、おもしろい、おいしい、ナニコレ!色んな感情が入り混じって、何から始めればいいのかわかんない!という感じ。笑
こんな反応をしてくれると、タキスさんもしみじみと、「よかったなあ。」と思うのです。
過去を忘れて
フェンスの向こう側にいる犬たちの中の1匹、白犬の「ミルト」が新参のこの子「オティス」を前にちょっと興奮して、ウゥゥ~と軽くうなったり吠えたりしています。タキスさんが「ミルト!あっち行きなさい!」と言うと、ミルトはさっと身をひるがえして画面から消えました。その後のタキスさんの言葉がおもしろいです。
タキスさん;(ガリガリのオティスを指さして}「ミルトだってここに来た時はこの子のようだったんですよ。すっかり忘れたみたいですけどね。」
忘れさせてくれたのは、あなた~、タキスさん!オティスもきっと、鎖につながれ孤独に生かされていた過去をすっかり忘れることができるでしょう。
そして最後の動画では、とても落ち着いて、タキスさんにすべてをゆだねるオティスの姿です。
動画を見ることは保護支援にもつながります!
※こちらの記事は動画配信をしているYouTubeチャンネルより許可を得て掲載しております。
掲載YouTubeチャンネル:Takis Shelter