英国とアイルランドの飼い犬の不妊化についてのアンケート結果

英国とアイルランドの飼い犬の不妊化についてのアンケート結果

イギリスとアイルランドの犬を対象にした調査プロジェクトが、犬の不妊化についてのアンケート調査を行いその結果を発表しました。イギリスとアイルランドの犬の不妊化についての詳細がわかる報告をご紹介します。

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大規模調査プロジェクトによる犬の不妊化アンケート

オーストラリアンシェパードの子犬

イギリスのブリストル大学獣医学部と大規模動物保護団体のドッグズトラストが2016年に共同でスタートした『ジェネレーション・パップ』という調査プロジェクトがあります。

https://wanchan.jp/column/detail/11785

生後16週未満の子犬の飼い主に登録を呼びかけて、アンケートやサンプル収集に協力してもらうことで犬の一生分のデータベースを作り上げるというものです。イギリスとアイルランドの犬が対象になっており、募集は登録が1万匹に達するまで続けられます。

そのジェネレーション・パップが、不妊化手術の状態について飼い主がデータを提供した713匹の犬についての統計結果を発表しました。

犬の成長と不妊化手術のタイミング

女性とゴールデンレトリーバーの子犬

アンケート調査では、犬の性的な成熟の時期と不妊化手術のタイミングについて質問がありました。犬が生殖可能な状態まで成長したかどうかの基準として、発情が確認されたかどうかが質問され、調査は犬が7ヵ月、9ヵ月、12ヵ月、15ヵ月の月齢でそれぞれ行われました。

その時点で不妊化手術を受けておらず最初の発情を迎えていたのは、7ヵ月齢では8.7%、9ヵ月齢では34.3%、12ヵ月齢では77%、15ヵ月齢では90%でした。

不妊化手術を完了した犬の割合は、7ヵ月齢では全体の22.1%、9ヵ月齢では33.2%、12ヵ月齢では45.4%、15ヵ月齢では59.9%に達しました。(15ヵ月で手術する飼い主が59.9%という意味ではなく、15ヵ月齢の時点では調査対象全体の59.9%が手術済みであるということです。)

他の調査結果ではイギリスの全年齢の犬のうち、不妊化手術をしている犬の割合はオスでは55%、メスでは59.2%であることと比較してもほぼ同じような結果と言えます。

しかし動物病院での診察記録からの統計では、イギリスの犬の75%が不妊化手術済みという統計もあります。これは高齢になって治療の一環として不妊化手術をした場合も含まれるからと考えられます。

愛犬に不妊化手術をした理由

手術後のお腹を剃った犬

不妊化手術をするかしないかを左右するいくつかのファクターがありました。

  • ケネルクラブに登録している犬は不妊化手術をしない率が高かった
  • ブリーダーから迎えた犬は、保護団体から迎えた犬よりも未手術の割合が高かった
  • メス犬はオス犬よりもわずかに不妊化手術をしている犬が多かった

飼い主が愛犬に不妊化手術をすることを決めた理由には次のようなものがありました。

  • 子犬が生まれることを望まないから
  • 愛犬に生殖行動を始める兆しが見えたから
  • 攻撃的な行動を予防するため
  • 攻撃的な行動の兆しが見えたから
  • 将来の病気のリスクを低下させるため
  • 獣医師に勧められたから
  • ブリーダーに手術するよう言われたから
  • 保護団体に手術するよう言われたから

望まない子犬が生まれてくることを防ぎたいというのは、最も一般的な回答でした。

まとめ

ホワイトシェパードの親子

イギリスとアイルランドの飼い主を対象にした、飼い犬の不妊化の状態に関するアンケート調査の結果をご紹介しました。

不妊化手術をするかしないか、するとしたらその時期は?などについては、さまざまな議論や研究がなされています。この調査のように一般的にどのような意見や行動があるのかを明確にしておくことは、医学的な研究にも保護活動の推進や教育のためにも必要です。

外国の数字ではありますが、日本でも共通する点があるかと思います。

《参考URL》
https://bvajournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/vetr.1265

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