犬の一生をリサーチしてデータベースを作るという試み
イギリスのブリストル大学が、犬を総合的に研究するための史上初のユニークなプロジェクトをスタートさせました。プロジェクトの名は、『ジェネレーション・パップ』ジェネレーション・ギャップという言葉とパップ=Pup子犬 を引っ掛けたものです。
これは生後16週前後の子犬の行動や、健康状態を生涯にわたってリサーチをして、その世代の犬に関する膨大なデータベースを作り、様々な研究に役立てようという試みです。
具体的に、どのようにデータを集めてリサーチを行なっていくのでしょうか。
リサーチのための子犬の飼い主を一般募集
現在、ジェネレーション・パップのリサーチに協力してくれる、子犬の飼い主の登録が募集されています。
対象は、イギリスまたはアイルランドに住んでいる生後16週齢以下の子犬の飼い主で、オンラインによる登録で、誰でも参加ができます。犬は雑種も含めて、どんな犬種でもOKです。
登録をした飼い主は定期的なアンケート調査で、住環境や行動の状態、日常の生活習慣などについて回答します。
また、研究チームは対象になった犬のかかりつけの獣医師の医療記録にアクセスして、犬の医療履歴を正確に知ることができます。
アンケート調査の他に、不定期で口腔内の粘膜や、尿などのサンプルの提出が依頼される場合もあります。
こうして参加者から提供されたデータは安全に管理されて、研究チームの調査のためだけに使用されます。
データの提供は、犬の生涯を通じて行われるのが基本ですが、参加者はいつでも自由に登録を解除することもできます。
データベースを作って調査することで、何の役に立つ?
生後16週前後から犬の一生分の医療記録、生活習慣、行動、住環境などのデータを大量に集めることで詳細な研究分析が可能になります。
犬の健康や行動に対して、どんな要素がどのように影響を与えるのかという研究成果を活用して、効果的な予防措置や、治療方法を見つけることが目標とされています。
- 子犬の心と体の発達に何が重要なのか?
- 特定の病気は犬の生活習慣とどのような関連があるのか?
- どんな要素が問題行動と呼ばれる行動を作り出すのか?
- 疾患や行動に遺伝的な要素がどのように関連するのか?
など、このプロジェクトで作られるであろうデータベースが、未来の犬の福祉に大きなプラスになることが期待されています。
研究をバックアップしているのは動物保護団体
このプロジェクトについてもう一つ特筆すべきは、資金的なバックアップをしているのが動物保護団体である点です。団体の名は、イギリス最大の犬の保護団体『ドッグズトラスト』です。
同団体はイギリス国内に17のリホームのためのセンターを持ち、運営は全て寄付やイベントなどを通じて独自の資金調達で行っています。保護団体が調達した資金を、このような研究に対して提供するというのは素敵なことですね。
まとめ
イギリスでスタートした、飼い主の協力を得て、犬の一生分の医療や生活全般のデータベースを作ろうという初の試み『ジェネレーション・パップ』をご紹介しました。
イギリスとアイルランドの犬の飼い主さんたちから集められた、それぞれの犬の一生分の記録。
その膨大なデータを利用して、病気の治療法や犬の福祉の向上に役立てられることが予想されます。
外国の研究とはいえ、新しく発見された有益な情報は、日本の犬にとってもきっと役に立つはずです。次の世代の犬たちのために、ジェネレーション・パップに期待したいですね。
《参考》
https://generationpup.ac.uk