心臓病を放置され最期の別れもできなかったシーズー

心臓病を放置され最期の別れもできなかったシーズー

犬も高齢になるほど心臓病になりやすく、適切な治療を続ける必要があります。しかし症状があるのにも関わらず放置されてしまったり、自己判断で勝手に治療をやめてしまい、その結果さらに悪化して来院するケースも少なくありません。実際に放置されて末期の心臓病で亡くなったシーズーと、無頓着でかつ愛犬とのお別れを拒否した飼い主についてお話しします。

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私は現在、動物看護師として働いています。

犬種にもよりますが、様々ある病気の中でも犬は心臓病になりやすく、高齢になればなるほど発症率は上がっていきます。

しかし何もせず放置してしまうと、肺に水が溜まる肺水腫を起こして命を落としてしまう危険性が高まります。

そのため早期発見とともに継続的な治療が必要ですが、中には放置されてしまったり、治療を勝手にやめてしまうケースも少なくありません。

今回は、実際に末期の心臓病による肺水腫で亡くなってしまったシーズーについてお話ししたいと思います。

末期の心臓病で来院してきた初診のシーズー

見つめるシーズー犬

ある日、初診で15才のシーズーが動物病院に来院してきました。

「昨日から何か呼吸が速い気がするけど苦しくなさそうだし、たぶん与えたオヤツが喉に引っかかったのかなー」

あっさりとした口調で飼い主さんは言ってきましたが、実際に診察を始めてみて、すぐに異変に気づきました。

そのシーズーは明らかにお腹で深く呼吸しており、とても苦しそうな状態でした。

飼い主さんが話している内容と、目の前のシーズーの状態に違いがあり過ぎて、正直唖然としてしまいました。

詳しく検査したところ、心臓病からくる末期状態の肺水腫を起こしていました。

また肝臓に腫瘍もみられ、その影響もあって血液検査では肝機能だけではなく腎機能も悪く、電解質のバランスも崩れており、とても危険な状況でした。

誰がみても明らかに危険な状態が分かるはずなのに、それすら全く気づいていない飼い主さんが理解できませんでした。

またワクチン等の予防関連も今まで全くしていないどころか、不妊手術も受けていませんでした。

大切な家族であるはずの愛犬の事をなぜちゃんとお世話してこなかったのかと、悲しく思わずにはいられませんでした。

「そんなに状態悪いんですか?えー、昨日まで普通にごはん食べていたのにな」

獣医師が検査結果や今の危険な状態について飼い主さんに説明しましたが、他人事のような反応で危機感すら感じられませんでした。

それでも治療に対しては同意を得られたため、シーズーはそのまま入院することとなりました。

すぐに治療を開始したが命を助けることができなかった

獣医師とシーズー

まもなくシーズーの治療を開始しましたが、病院に連れてきていた時点でかなり状態が悪かったこともあり、呼吸が荒く、嘔吐などの症状もみられました。

辛いところを最期まで頑張ってくれましたが、残念ながらこのシーズーは息をひき取りました。

初診患者ということもあり、今までの既往歴など分かりませんでした。

しかし年齢は15才とのことで、人間の年齢に換算すれば70代後半〜80代前半といわれているため、その年齢を考えると難しいところがあるかと思います。

とはいえ飼い主さんが愛犬の異変に早く気づいて治療を受けていたら助かったのかもしれない、もう少し寿命を全うできたのかもしれない…と、当時の私には大きな悲しみとともに、何とも言えない悔しい気持ちが込みあげていました。

遺体の引き取りを拒否、さらに火葬や埋葬までしてほしいと要望

犬の骨壺

精一杯の治療も虚しくシーズーが亡くなってしまった経緯を、獣医師が飼い主さんに電話で説明しました。

そして、引き取りにきていただく旨を伝えたところ、飼い主さんから衝撃的な発言をされました。

「そうですか…でも引き取りたくないの、だからそちらで火葬してもらえないかしら、場所はどこでもいいから」

なんと飼い主さんから、「亡くなった愛犬の遺体を引き取りたくない」と断られてしまったのです。

さらに火葬、埋葬まで動物病院側で全てやってほしいと言ってきたのです。

今まで私が病院で働いてきたなかで、今回のように亡くなった愛犬の遺体の引き取りを完全拒否され、さらに動物病院側での火葬、埋葬の手続きをおこなって欲しいという要望を受けることなどなかったため、非常に大きなショックで言葉を失いました。

私が働いている動物病院では、亡くなった犬猫などの動物は、専用の棺桶に入れて飼い主さんに受け渡しています。

そのため、その旨を改めて飼い主さんに伝えましたが先方の態度は変わらず、「動物病院側で勝手にやってくれ」の一点張りでした。

致し方なくこの時だけは特別に動物霊園で火葬・埋葬していただき、その経緯を手紙にて飼い主さんにお伝えしました。

悲しいことですが、このシーズーは、大好きな飼い主さんと最期のお別れをすることができなかったのでした。

まとめ

目を閉じているシーズー

あれから数年経ちますが、残念ながら飼い主さんからお礼の言葉や返事はきていません。

愛犬を失った悲しみで連絡できなかったのか、それとも悲しみすらの感情も抱いていなかったのかは分かりません。

しかし、愛犬の飼育や健康管理はもちろんですが、最期まで看取ってあげることも飼い主としての務めだと思います。

「犬を飼う」ことで預かる命の重さを、そして飼い主として最期までしっかり飼育する責任について、すべての飼い主さんに改めて見つめ直してほしいと思います。

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