アーカンソーからワシントン・D.C.へ大移動
通報・発見
米国・アーカンソー州で、激しい雷雨の中、警察車両に先導されて動物愛護団体Humane Society of the United States が向かった先は、林を開墾して建てたような一軒家。家のまわりにはごみが散乱し、とても荒れています。そして、多くの犬が吠えているのです。ここは崩壊した子犬工場です。
さっそくこの大きな犬は、「ここから出してあげるからね。」とささやく人にすり寄っていきます。
小さなケージに詰め込まれた猫たちも「助けてー!ここから出してー!」
強烈な異臭のただよう家の中に足を踏み入れる前に、全員強力なマスクを装着しました。そこで目にしたのは、何段にも重ねられたケージの中の小型犬たち。
呼吸器系にダメージを受けてゼィゼィと音を立てている子や、鼻水を垂らす子、ケージの中で狂ったように左右に揺れている子など。目をそむけたくなる惨状です。でも直視しなければ。
この子はベタベタな毛がからまったのか、ケージから体が離れずうごけません。目は、白内障でしょうか。
全てのケージの中は糞尿でドロドロの状態。病原菌の巣窟です。犠牲となっている犬たちを、ていねいに1匹ずつケージから取り出していきます。あらゆるすき間に犬が押し込められている印象。
どうか、救出もれがないように、お願いします!
どんなに汚れ切って、病気にかかっていても、ワンワン、キャンキャン、助けを求めて声を上げてるのは、まだよいほう。この子など、ケージの中で全く無反応に丸くなっていました。
もう生きる気力というものが失われているように見えます。
ドアを開けると、雨粒が屋根や地面をたたく音。新鮮な空気が流れてきます。腕に抱かれた犬はぼんやりとその様子を眺めます。「息苦しくない…。なんだか明るくて…広くて…気持ちいい…。」
足腰が弱っているのか、少しふらつきながら誘導されて歩くこの子は、体毛を失っているように見えます。人の手の感触に、うっとり。きっと、初めての経験。
獣医師が待機する緊急シェルターで弱った犬たち(猫たちも)の一時的な医療処置をほどこします。脱毛した犬、毛が固まっている犬、歩けない犬、盲目の犬…なぜここまで放置してしまったのでしょう。
大移動
アーカンソーから米国の首都ワシントンD.C.に全ての犬たち(たぶん猫も)100匹以上を移送しました。そこでさらに医療チェックを受け、予防接種や去勢・避妊などの処置を受けた上で、いよいよ里親探しがはじまります。
動画ではすでに、小さい子どものいる家族が引き取る様子もちらりと見えます。暗い現実に差し込んだ、「希望」という一筋の光のようです。
この動画のような状態に、今、まさにこの瞬間も、閉じ込められている犬や他の動物たちが、星の数ほどいると思うと、やるせない。やるせなさを小さな行動に移すのは、少しの勇気。
動画を見ることは保護活動支援につながります。
※こちらの記事は動画の制作・配信をしている団体より許可を得て掲載しております。
動画制作者:Humane Society of the United States
掲載YouTubeチャンネル:The Humane Society of the United States