【動物看護師体験談】外耳炎を放置されたトイプードルとクレーマー飼い主

【動物看護師体験談】外耳炎を放置されたトイプードルとクレーマー飼い主

外耳炎で動物病院に来院してくるワンちゃんが多いことをご存知でしょうか?その発症割合は4匹に1匹ともいわれています。ひどくなってしまうと耳の奥まで炎症がおよび神経症状をおこす恐れがあります。重症化するほとんどが何もせず放置され、飼い主が気づかないケースが目立ちます。実際に放置されてひどい外耳炎を引き起こしたトイ・プードルとその飼い主さんについて今回お話ししたいと思います。

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私は現在、動物病院で動物看護師として働いています。動物病院では予防関連の他、病気や怪我などで多くのワンちゃんが飼い主さんと一緒に来院してきます。

その中でも愛犬の状態や症状をちゃんとみていないのにも関わらず、クレームをおっしゃってきた飼い主さんについて今回お話ししたいと思います。

ひどい慢性外耳炎のトイ・プードル

病気でぐったりしている療養中のわんこ

ある日、1頭のトイ・プードルが耳が痒いということで動物病院に来院してきました。このトイ・プードルは、これまでも何回か耳の痒みや炎症により外耳炎を引き起こし、その都度治療してきました。

「またたぶん耳を痒がっていると思うのよね」と飼い主さんは言いました。

しかし前回の診察から1年以上も来院しておらず、特に他の動物病院への通院や治療もしていないとのことでした。

また耳の症状について「たぶん」と曖昧なところが、飼い主さんなのになぜ分からないのかと疑問に思いました。

飼い主さんの説明と実症状の食い違い

飼い主さんのお話からすると軽度の外耳炎なのかと思っていました。しかし診察が始まり実際に耳の中を診てみると耳の皮膚が赤く腫れてただれており、分泌物の量も多く膿も出てひどい状態でした。

耳の処置をしている間、トイ・プードルは足でカリカリしていたり、頭を振っていたりと強く痒がっている様子が何度もみられました。

明らかに飼い主さんが話していた内容と耳の状態が異なっており、以前も外耳炎を起こしている影響から慢性外耳炎を引き起こしていました。

早い段階でちゃんと治療すればここまで重症化せずに済んだばすなのに、どうして気づいてあげれなかったのかと、私はとても悲しい気持ちになりました。

状態を全く理解してもらず

様子を伺うトイプードル

耳の皮膚が赤く腫れ、ひどい痒み、分泌物の量が多いことを獣医師とともに飼い主さんに説明をしました。すると…

「えーー!こんなに汚かったの?全然知らなかった!」と、飼い主さんの口からはまるで他人事のような言い方…。この人は愛犬の事をちゃんと見ていないのかと思いました。

そしてあまりにも耳の状態が悪かったため、今回は効果が持続する薬を耳に投与する治療をおこないました。あらかじめ飼い主さんには「持続する薬を使用したため料金が少しかかる」ということを説明をしました。

しかし、いざ治療が終わり会計時になったとたん飼い主さんの態度が一変しました。

「今、そんなにお金持っていないから払えない。後で支払いに来る」と、一方的に今は払えないと言われました。

獣医師と相談のうえ何とか説得してもらい、今持ち合わせの分だけはお支払いいただき残りの分は明日支払いする約束をしました。

来院せず電話口でクレーム

茶色のプードル

約束した次の日になっても飼い主さんは来院せず、数日間経過しても連絡すらありませんでした。こちらから何度も飼い主さんに電話しましたが、全く出る様子がありません。

料金の未払いの飼い主さんに対して督促状を送る病院の方針があったため、次の電話でも出なかった場合、督促状を送ると決めていました。

そして最後の電話をかけた時、ようやく飼い主さんは電話に出てくれました。しかしそこでも強硬な態度!

「何でこんなに料金が高いの。聞いてないんだけど、何回も電話かけてこないでくれる!こんな高い金、払いたくもないわ」

と、面倒くさそうな口調で料金が高いのがおかしい、知らないとの一点張り。改めて耳の状態から今回の治療法について説明をしましたが、全く聞き入れてくれませんでした。

「だから何回もうるさいわね。払いたくないと言っているでしょ!」

何度説明しても払いたくないと言い張り最後には勝手に電話を切られ、私は泣きたくなる気持ちになりました。

結局、その飼い主さんは治療費を支払いにくることはありませんでした。

獣医師と話し合った結果、今回は督促状を郵送せず、もし今後来院された際は治療費の未払いのため診察を断る方針を決めました。しかし、今もなお来院どころか電話すらありません。

犬の外耳炎

動物病院にて耳の診察を受けている犬

あれから何年か経ちますが、ふとあのトイ・プードルのワンちゃんは元気にしているかな、ちゃんと治療してもらえているのかなと思い出すことがあります。

ワンちゃんが外耳炎を発症することは多く、トイ・プードルやコッカースパニエル、キャバリアなど耳が垂れている犬種は耳の通気が悪くなりやすい傾向があります。また細菌や真菌による増殖やアレルギーが原因の場合もあります。

適切に治療をしなければ再発を繰り返したり、ひどくなると膿が出てきます。さらに重症化すると、耳の奥まで炎症が進み内耳炎や中耳炎を引き起こし、斜頸や眼振といった神経症状が出てくる恐れがあります。

まとめ

ソファーでくつろぐトイプードル

トイ・プードルは外耳炎になりやすく、適切に治療をおこなったり日常ケアをすることがとても大事です。

しかし今回のように痒みなどの症状があるのにも関わらず放置してしまうと赤くただれてしまったり、重症化すると神経症状まで現れてくる危険性があります。

そうなってしまうと通院はもちろんですが、治療内容も変わってくるためその分の費用もかかります。

とても残念ですが、そのような当たり前のことを納得できず理解できない「自分勝手な」飼い主さんが増えてきています。

しっかり愛犬のことをみて、早い段階のうちに動物病院に連れていく……これは犬を飼育するにあたって守ってほしいことであり、飼い主としての責任をもってほしい、と思うことでもあります。

そして愛犬が辛い思いをしていることに気づいてあげてください。それが動物看護士としての私の願いです。

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