1.楽しいドッグライフを期待している
まずはじめに理解して欲しいのが、保護犬を引き取って里親になる場合には、犬の気持ちに徹底的に寄り添った関わり方をしなければならないということです。
里親を必要としている犬の多くは、過去に虐待や飼育放棄などで心に傷を持っています。何らかのトラウマを抱えていることも多いでしょう。そのため、人と触れ合うことに恐怖を感じる犬もいますし、見知らぬものに対して強い不安を抱える犬も少なくありません。
犬を飼う人の中には、「一緒にドッグカフェに行きたい」「ドッグスポーツやアウトドアを楽しみたい」「日本中を旅したい」など、楽しいドッグライフを思い描いている人も多いと思います。
しかし、保護犬の多くは、基本的なしつけが行われていないことが大半であるうえ、トラウマを抱えていることで、そうしたお出かけやアクティビティに強い抵抗を感じる可能性が高いと考えられます。
飼い主さんの希望だけを通そうとして犬に無理強いすると、さらにトラウマを強くしたり、信頼関係を損ねてしまったりするので注意してください。
2.忙しく時間の余裕がない
保護犬に限ったことではありませんが、仕事などで忙しく時間に全く余裕がない人に犬を飼うことはできません。
犬を飼うと食事や排泄など基本的な世話をするだけでなく、散歩や動物病院に行ったり、しつけをしたりする必要があります。それは単純に時間がかかるだけでなく、精神的な負担になることもあるでしょう。そのような時に、仕事や家事育児に忙しいと、犬にしっかりと向き合うことがむずかしいと思います。
特に、保護犬の場合は不適切な飼育やトラウマの影響で、一般的な家庭犬以上にしつけの手間や時間がかかることも少なくありません。そのため、犬としっかり向き合って、じっくりと付き合う時間がないと苦労してしまうことが考えられます。
3.生活環境が整っていない
保護犬の里親になるには、安定した生活環境が必要とされています。
虐待や飼育放棄などで精神的に不安定な犬は、里親に迎え入れてもらってからも「ここは本当に安心できるのか」と疑心暗鬼になっています。そのため、家庭内や生活環境が変化しやすく、コロコロと状況が変わってしまうと犬はいつまで経っても安心して身を任せることができません。
そのようなことから、保護犬を引き取る条件として「ひとり暮らしではないこと」「犬の飼育について家族全員の同意があること」などが挙げられることが多いとされています。
ひとり暮らしの場合、留守番時間が長すぎることだけでなく、結婚や出産で家族構成が変わったり、引っ越しで生活環境が変わったりすることが考えられるので、里親として認められないこともあります。
4.最期まで犬の命を預かる覚悟がない
犬を飼い始めたら、犬の寿命が尽きるまで何があっても責任を持って飼育すること。これはどんな犬にも言えることですが、特に保護犬を引き取り、里親になるうえで絶対に欠かすことのできないことです。
野犬以外の保護犬は、元々人間に飼育されていた経験があり、不適切な飼育や虐待で傷つけられたり、飼育放棄されたりしています。一度人間に裏切られたことのある犬は、人間に不信感を抱いていることが多く、なかなか心を開こうとしないことがあります。
そのような保護犬を引き取った場合、どんなに大変でも、またその犬の心を裏切って投げ出すことは許されません。もしそうしてしまえば、犬はさらに傷つき、もう二度と人間を信用することができなくなってしまうかもしれません。
一度傷ついた犬を引き受けるからには、何があろうと最期まで愛し続け、責任を持って飼育する覚悟を持たなければならないのです。
まとめ
犬を飼う際、ペットショップやブリーダーで購入するだけでなく、保護されている犬の里親になるという選択肢があることが広く知られるようになっています。そして、実際に里親として犬を家庭に迎え入れている人も、徐々に増えてきています。
行き場をなくした犬たちは救われ、幸せになることはとても素晴らしいことだと思います。しかし、保護犬の飼育には大変なことやむずかしいことがあるのも事実です。
里親になると決めたら、そのようなこともきちんと覚悟し、犬の気持ちに寄り添って大切に育ててあげてくださいね。