どんなタイプの犬が認知機能障害になりやすいか?という研究結果

どんなタイプの犬が認知機能障害になりやすいか?という研究結果

犬の老化に伴う疾患の1つである認知機能障害について、どのようなタイプの犬に多く発症しているかという研究結果が発表されました。気になる内容をご紹介します。

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犬のエイジングを研究するプロジェクトからの報告

シニアのゴールデンレトリーバー

アメリカでは獣医学の様々な分野の科学者が共同で犬の老化について多角的に研究するプロジェクト『ドッグ・エイジング・プロジェクト』が進められています。現在28の大学や研究施設が参加しており、これまでにも犬の寿命についての統計など数多くの研究を発表しています。

研究プログラムからの報告〜犬の寿命についての統計結果

https://wanchan.jp/osusume/detail/21617

このプロジェクトでは家庭犬の飼い主の参加を募集してアンケート調査などでデータの収集を行っています。この度、参加者から寄せられた回答の結果を分析して、認知機能障害に関連する要因にはどんなものがあるかがワシントン大学の研究者によって発表されました。

年齢以外にどんな要因が認知機能障害に関連しているのだろうか?

シニアのジャーマンポインター2頭

犬も人間と同じように加齢とともに脳の認知機能が低下してきます。慣れ親しんだ人の顔がわからなくなったり、空間認識が失われたりする重度の認知機能障害は人間で言えばアルツハイマー病に相当する疾患です。

年齢が高くなれば認知機能障害を患っている犬も多くなるのですが、年齢の他にも関連する要因があるかどうかを調査するのがこの研究の目的だったそうです。

調査には2020年10月30日から2020年12月31日までの間にプロジェクトに登録された15,019頭分のデータを使用。犬の年齢、不妊化手術の状態、15カテゴリーの健康問題についての履歴、犬種タイプ、活動レベルなどについて認知機能障害との関連が調査されました。

こんな犬が認知機能障害の率が高かった

ディスクを咥えたジャックラッセルテリア

認知機能障害に関連すると考えられる要因について、データ分析の結果は次のようなものでした。

1.年齢

年齢が上がる毎に認知機能障害の率が高くなるのは言うまでもないのですが、年齢が1歳上がるたびに有病率は52%増加しました。

2.活動レベル

年齢、健康状態、犬種タイプ、避妊去勢状態などを同様の条件に揃えて比較すると、飼い主が「活動的ではない」と答えた犬は「非常に活動的」とされた犬に比べて、認知機能障害の率は6.47倍になっていました。

3.病歴

活動レベルの場合と同じように病歴以外の条件を同様に揃えて比較すると、神経障害、眼および耳に病歴のある犬は認知機能障害の率が約2倍になっていました。

4.犬種タイプ

アメリカンケネルクラブの犬種グループで分けた場合、テリアグループ、トイグループ、ノンスポーツグループは他の犬種グループに比べて認知機能障害の率が約3倍でした。

こうして見ると、やはり運動は重要な要素と言えるようです。運動のために散歩に出ることで、嗅覚を刺激するのも重要です。犬種グループについては小型犬を多く含むグループなので、運動量が少なくなりがちということも推測されます。

まとめ

飼い主と走るポメラニアン

犬の老化をリサーチする『ドッグ・エイジング・プロジェクト』から、犬の認知機能障害に関連する要因を調査した結果をご紹介しました。認知機能障害発症に関連する要因がはっきりすれば、予防方法や進行を遅らせる方法の開発につながるかもしれません。今後のプロジェクトの進行に注目して、続報を待ちたいと思います。

他の研究では、歯を清潔に保つことが認知機能の低下を予防するという報告も発表されています。飼い主の努力では変えられない部分もありますが、愛犬の認知機能をしっかりと保つためにできることを心がけて行きたいですね。

《参考URL》
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34417706/
https://dogagingproject.org/research-publications/

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