かつての愛犬はどのような状況の犬だったか
我が家で迎えた保護犬は、島根県にある美保関神社の参道でトボトボと食料を探して彷徨っていた白い野犬から生まれた子です。
神社の前を通学路とする女子中学生が、帰宅途中にこの白い野犬に出逢い、あまりの可愛さに声をかけました。
意外にも人懐っこかったこの野犬は、女子中学生の後を付いてきてしまったそうです。きっとお腹が空いていたのでしょう。
お腹が大きいのを不思議に思った女子中学生は、何か食べさせてあげたいと思っていたそうです。そして案の定妊娠していたこの野犬は、彼女の自宅で子犬を産むことになります。
親切な隣人が、この女子中学生の自宅で生まれた数匹の子犬達に家族を探してあげようと、新聞に写真入りで記事を載せました。
たまたま私の親戚が新聞の記事を見て「子犬を貰ってくれる家族を探している人がいるわよ」と、私に教えてくれたのです。
愛犬を引き取るまでのストーリー
私達夫婦には、子がおりません。私は、淋しいのと家族が欲しいと思っていました。そこで「犬でも飼えば?」という近隣の声もあり、子犬を迎え育てることに…。そしてたまたま親族から新聞の切り抜きを貰ったことから、野犬だった母犬と子犬に会ってみるかどうかを主人と話し合いました。
それでも、野犬から生まれた子と聞いた時は、正直不安でした。また、シェパードに憧れていた私は「容姿もどうか?」と考えてしまうところがありました。でも思い切って会ってみようと決意。
実際に会うと生後二ヶ月弱の子犬は、おどおどして震えており、とても気の毒な状態に見えました。私は、その小さくて痩せた背を恐る恐る撫でながら「うちに来たら寂しくない?大丈夫?」と声をかけ、なだめてみました。
新聞記事を載せた家族の方には「大丈夫ですよ。大人しくて良い子です」と勧めていただきましたので、子犬が”知らない人”と暮らす不安を感じながらも、その震える子犬を入れ我が家へ連れて帰ることに。
すでに晩だったので、その日は発泡スチロールにタオルを敷いて、玄関に設けた犬の寝床に子犬を置いて寝てもらいました。念のため、逃亡予防として首には即席の首輪とリードをひもで作り繋いでおきました。
そして翌朝7時に私が玄関への戸を開けてみると、まるで「おはよう!」と言ってるかのように元気な笑顔を見せてくれました。私は「うわー、良かった。生きてる!」と独りにさせて寝かしてしまった赤ちゃん犬にホッとしたものです。
その後「9時から開く犬猫病院の先生のところへ行こうね!」と餌を与えてから病院へ。そして健康診断を受けとき、不安に思っていたことを獣医師の先生に言われてしまいます。
「極度なビビりは不安神経症?この子はおかしいのでトレーニングをしてもらってください!」
野犬にありがちなビビり…。
抱っこをしていても腕の中でブルブルと震えるこの子を「大丈夫なのか?」と素人の私でも思ってしまうくらいでした。でも、この子を手放すことは考えられなかったので「どんな子でも私が責任をもって育てます!」と言い切って帰宅。
2.2kgの健康な子犬。すぐに固まって発泡スチロールの中にずっといたこの子をどう育てるのか…私の胸に爪を立ててしがみつくこの子犬を見て考えていました。
それでも「飼います!」と誓ったのですから、最後まで責任もって家族として過ごすことを再度決意!名前は、前述のとおり美保関神社から来たことから「みほ」に。娘に恵まれたように幸せだと考えるようになりました。
現在の愛犬との生活について触れる
信じるしかありませんでした。
「大丈夫!絶対お散歩できるようになる!普通の犬たちのように暮らせるからね!」と、一日三回外出して街の様子や道路を歩くことを覚えてもらいました。
雑種犬は頭が良いと聞いていたので、覚えはとても早かったです。何を教えるのも我慢でしたが、毎日練習する項目を与えて、一緒に繰り返し人間の言葉と動作を覚えてくれました。
他人には懐かない忠誠心のあるみほ。極度のビビりがある怖がりのみほでしたが、飼い主の私たちには素直に従ってくれていました。
私が疲れていたり悲しいんでいたりすると、私に寄り添って私の顔を舐めてくれたり、自分の手を私の腕に回してくれます。もう、何でもできるもんね!お留守番時の畳ホリホリ以外は(笑)
まとめ
このような経験を通じて、飼い主の皆さんに伝えたい事…。
もし、この女子中学生が白い野犬を連れて帰らずにいたら…周りの大人達が保健所に電話を入れて、母犬が保健所に連れて行かれていたら、私は「みほ」には出逢えませんでした。
今日でも沢山のお腹を大きくした雌犬や雄犬達が、この日本のどこかで捕獲され保健所で殺処分されています。私は、血統書もない野犬の母犬と子犬に、とても幸せにしてもらいました。
ペットショップで犬を買いたいと思っている方、一度考えてみてください!ショップで売れ残った犬達や必要の無くなった繁殖犬は、保健所で殺されてしまいます。
現代は、大抵の地域でボランティア活動団体が保護犬をトレーニングして、人間と暮らせるように活動されている時代です。
流行っている犬種を飼ってみたいと願う方もいらっしゃることでしょう。それでも、家族を探している保護犬達を一匹でも救ってあげられるよう理解とご協力を祈ります。